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2019.09.25

いつ肛門科を受診したらいいの?

 やっぱり暑さ寒さは彼岸までという言葉があるように、一気に涼しくなってきまいたね。これから秋へと季節が進んでいきます。紅葉の季節に入っていきますね。また秋は食欲の秋。10月のレシピもホームページに紹介しています。またこちらの方もみて下さいね。

 さて、患者さんの悩みに、「いつ肛門科を受診したらいいのだろう?」というのがあります。いつもこの質問をされた時にこたえる私の言葉が、「思い立ったが吉日。」です。

 やっぱりもうそろそろ受診しようと思った時が一番だと思います。医療には「早期発見、早期治療」という言葉がありますが、肛門の良性疾患、内痔核や裂肛、そして痔瘻は基本的には悪性の病気ではありません。これらの病気で命に係わることはまずありません。肛門の病気に対しての治療の基本は、嫌な症状を取り除くということが目的です。ですから「これまで悩んできた嫌な症状をそろそろ取り除こうかな?治してしまおうかなあ?」と思った時が肛門科を受診する一番の時だと思います。それが例えば、痛みが強くなってきたとか、出血が多くなってきたとか、出血が頻繁に起きるようになったとか、受診のきっかけはいろいろあると思います。

 肛門科を受診しようと思ってためらってしまう原因は何なんだろうと考えてみました。
 恥ずかしいんから?怖いから?その人にとっていろんな原因があると思います。でもたぶん受診できない原因はこうかなあと思います。それは受診したら、必ず病気を治さなければならないと思ってしまうところにあるのではないでしょうか?

 治すとなると、「長いこと痔を持っていたからきっと手術になってしまうんだろうなあ。」とか、「手術は痛いんだろうなあ。」。また、「手術になったら入院かなあ?何日入院しなければならないのかなあ?」とか、「その間仕事はどうしよう。仕事は休めるかなあ?」など、受診をすると考えただけで、病気以外に様々な不安が頭をよぎっていきます。そしてその不安が段々大きくなていってしまいます。そうすると「やっぱり今は手術できない。」、「仕事は今は休めない。」。そして、「やっぱり今は受診できない。」といった風に考えが言ってしまうのではないでしょうか?

 でも、もう一度考えてみて下さい。例えば内痔核の場合、今まで出血や脱出などのいろんな症状があったのに、嫌な症状があったにも関わらず、今日まで我慢出来ていたではないですか。内痔核は悪性の病気ではありません。スッキリ治すのには手術が必要な内痔核でも、今すぐ手術をして治さなければならないというわけではありません。自分が治そうと思った時、納得した時に手術をすればいいと思います。

 ですからまずは、今の病気の状態がどうなのかを知るために受診してみてはどうでしょうか?治すための受診ではなく。
 今の自分の病気は何なのか、そしてその病気の状況はどうゆう状態なのか。そしてその治療方法はどういったものがあるのかを聞くだけでも十分だと思います。
 意外と自分が考えているほど病状は悪化していない場合も多々あります。自分の病状をしっかり知っておくこと、このことがとても大切なことだと思います。そして治療に関しては「よし自分の病状は分かった。しっかり治してしまおう!」と思った時に治したらいいと思います。

 私も内痔核とその治療をお話するときには、例えば手術が必要な患者さんには、最後はこう言っています。「一番大事なところは、内痔核は悪性の病気ではないところです。嫌な症状を取り除くのが内痔核の治療です。慌てることはありません。この際スッキリしてしまおうと思って、時間が取れたときにしっかり治したらいいですよ。」と。

 時々、「手術が必要です。ほっておくと出血がひどくなったり、血栓が詰まってすごく痛くなってしまいますよ。直ぐに手術しましょう。」と言われることがあるようです。
 不安を抱えながら受診してこのように言われてしまうと、ますます不安が高まり、冷静に判断できなくなってしまいます。こんな時は一端、「今日は自分の病気の状態が分かって、治療法が分かったので良かったです。手術に関してはもう一度考えて、治そうと思ったらお願いしたいと思います。」と、その場で直ぐに決めなくてもいいと思います。
 自分がしっかりと病状を理解して、納得して手術を受けようと思った時は、直ぐに決めてもいいと思います。

 でも慌てることもありません。例えば出血がひどくなったとしても、出血に対しては手術をしなくても出血を抑える方法はいろいろあります。
 例えば痔核硬化療法や軟膏などを使うことで出血は治まることがあります。また血栓が詰まって腫れてしまって、痛みが強くても消炎鎮痛剤の座薬を使うなどして痛みを抑えることができます。内痔核を根本的に治すことが出来なくても出血や痛みなどの症状を軽減させることはできます。
 そのうえで自分が治そうと思った時まで保存的にみていくことが出来ます。
 渡邉医院を受診している患者さんの中にも、手術が必要な患者さんで、自分が治そうと思うまで軟膏を使っている方もいます。軟膏がなくなったら受診され、「今のところ軟膏を使っていると大丈夫です。」とおっしゃっています。私も「手術してスッキリ治そうと思ったら言ってくださいね。その時は手術しましょう。それまでに、出血がひどくなったり、痛みが出たときは直ぐに診せて下さいね。その症状をとる方法は手術以外にもありますからね。」と言っています。

 医師側も、自分の考えを患者さんに押し付けるのではなく、患者さんが今何を望んでいるのかをしっかり聞いてあげられる、そして「待つ」ことができるそんな度量を持たなければいけないと思います。

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