8月に入って連日暑さの厳しい日が続いています。体調を崩されている方はいませんか?熱中症の予防にも、喉が渇かないうちにこまめに水分を補給してくださいね。
8月は肛門科の話から少し離れて、戦争について考え、お話させてもらっています。今回は、戦争について今回は戦争と科学について少し考えたいと思います。
これは2016年の7月27日の毎日新聞の記事です。ここに書かれていうことはなにかと言いますと。
「問われる「軍民両用」研究」という内容の記事です。日本の科学者の代表機関である「日本学術会議」は戦後、軍事研究を否定するという方針を堅持してきました。その方針の見直しを始めたという内容の記事です。
この議論が始まったきっかけは、防衛省が2015年度に「安全保障技術研究推進制度」という制度を創設しました。防衛装備品に応用できる最先端研究に資金を出すという制度です。初年度は109件の応募があり、そのうち58件は大学が占めていました。2016年度は予算枠が6億円に倍増されて、2017年度は110億円と2016年度の18倍にもなりました。
戦後の日本では、平和憲法のもとで、軍事研究を回避する歴史的伝統が培われてきました。
日本学術会議は、1950年4月に、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」をだしました。
また日本物理学会は1967年に、「今後、内外を問わず、一切の軍隊からの援助、その他一切の協力を持たない。」とし、そこには「日本学術会議は「戦争のための科学には協力しない。」を基本原則のひとつとしている。この原則は日本国憲法にもとづく日本の研究者の原則であり、世界の科学者に対する我々の誇りである。」と述べられています。
この日本の科学者の誇りを見直そうとする、場合によっては捨てようとする、そういった議論が進みました。
議論の結果、日本学術会議は去年2017年3月24日に新たに軍事的安全保障研究に関する声明をだしました。その声明の内容は、
日本学術会議が1949年に創設され、1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また1967年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があったとして、
近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承するとしました。
そして、科学者が追求すべきは、何よりも学術の健全な発展であり、それを通じて社会からの負託に応えることである。学術研究がとりわけ政治権力によって制約されたり動員されたりすることがあるという歴史的な経験をふまえて、研究の自主性・自律性、そして特に研究成果の公開性が担保されなければならない。
今の軍事的安全保障研究では、研究の期間内及び期間後に、研究の方向性や秘密性の保持をめぐって、政府による研究者の活動への介入が強まる懸念がある。
防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」(2015年度発足)では、将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、問題が多い。
学術の健全な発展という見地から、むしろ必要なのは、科学者の研究の自主性・自律性、研究成果の公開性が尊重される民生分野の研究資金の一層の充実である。と声明をだしました。
本来は、科学の進歩、研究に対しては、純粋に資金面や研究環境も含めて支援していくことが国として必要ですし、本来国がとらなければならない立場だと思います。今行っている、政府の国立大学への運営交付近を削減して防衛費の研究費を配分するといった政策は直ちに中止することが必要だと思います。
このように、ここでもまた、戦時中に起こったときと同じようなことが芽生え始めようとしています。しかし、先ほど紹介したような、こういった記事が出ること、そして私たちがこういった動きに注意して、しっかりと意見することで、こういった動きをくい止めることができます。
また、大学や研究機関における軍事研究(軍学共同)に反対する団体・研究者・市民が参加する連絡会として、2016年9月に軍学共同反対連絡会が設立されました。この連絡会が、2017年度、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に110億円を計上したことに対して、防衛装備庁に「安全保障技術研究推進制度」の廃止を要請し各大学・研究機関に応募しないよう求める緊急署名を行いました。
学術の健全な発展という見地から、科学の進歩、研究に対しては、純粋に資金面や研究環境も含めて支援していくことが国として必要だと思います。