「渡邉医院の絶対に変えない方針・ポリーシーはなんですか?」という質問を受けました。
そういきなり聞かれて何だろうと考え、一番最初に頭に浮かんだのが「目の前にいる患者さん一人一人をしっかり治していくこと。そのことが多くの患者さんを救うことになる。」という言葉です。この言葉は、父が急に倒れ、私が急遽京都に帰ってきて、渡邉医院の診療を引き継いだ時の父の言葉です。急に京都に帰ってきて、診療に焦りを感じている私の姿を見て、父が私に言った言葉です。今もこの言葉は大切にしています。
この言葉以外に頭に浮かんできたものを頭に浮かんだ順にあげてみます。
「渡邉医院の絶対に変えない方針・ポリシー」
・目の前にいる患者さん一人一人をしっかりと治していくこと。
・患者さんが、今何を悩んでいるのか?何を治したいのか?をしっかり聞く。
・診察、診断した後に、今の病気の状態を解りやすく説明する。
・今の症状を良くするにはどんな治療が必要なのかを説明する。
・患者さんにとって最善の治療方法を提供する。
・今起きていることを誠実に患者さんにお話しする。
・患者さんと一緒に病気を治していく。
・なかなか受診しにくい診療科なので、受診する際には相当の決心を持って受診される。そのような状態の患者さんに対して優しく対応する。
・決して「もっと早く受診してほうがよかったのに」とは言わない。受診して治そうと決心した時が治療する一番の時であること。
・患者さんが笑顔になること。
・術後など、患者さんが心配する項目はこれまでの経験上わかっているので、患者さんが不安になる前に、不安になるであろう項目を先手先手に話をしてあげる。
・患者さんの診察、診断、治療を通じて、さらなる技術を進化させていく。患者さんがいろんなことを教えてくれる。
・常に妥協せず治療法等の改善をしていく。
と言ったことが一気に頭に浮かんできました。
「医療を提供する立場で大切にしていること」
この中で、医療を提供するといった立場から言うと、やはり、患者さんの症状を聴き、診察し、正しく診断を下す。そして、その病気の状態や、患者さんの状況を考え、患者さんにとって最善の治療方法を提供する。その際には、患者さんに解りやすい言葉で、そして患者さんが納得できるように説明をすること。そしてその際は、ゆっくりと話す。このことが重要だと思います。また、肛門疾患に関しては患者さん自身が一番良く解ります。肛門の病気は例えば、出血するとか痛みがある。また、腫れてくるなど、必ず患者さんが感じる自覚症状があります。そして病気が悪化すると、その症状が段々強くなってきます。出血が頻繁になって、量が増えてくる。痛みがだんだん強くなるなど、必ず患者さんが感じる症状があります。なんの症状もなく気が付いたら悪くなっているということはありません。治療に関しても、具合よく治っていかなければ患者さんが感じる症状はとれません。嘘やごまかしは通じない診療科です。そういったことからも、今の患者さんの状態、今起きていることを誠実に話をしていくことが求められます。
「患者さんを笑顔に」
そして、私が一番大切にしていることは、患者さんを笑顔にしてあげることです。
肛門の病気はなかなか、相談することもできずに一人で悩んでいる患者さんも少なくありません。肛門科に罹りたくても、なかなか勇気をもって受診することが出来ない。診察を受けに来られる患者さんの中には表情がとても暗く、眉間にしわを寄せている患者さんもいます。そういった患者さんを診察し、治療をしていくことで、笑顔になって帰っていかれる。このことを私は大切にしています。
「渡邉医院の歴史が方針・ポリシーを支える」
でもこういった医療を提供できるのも、渡邉医院が肛門科一筋ぶれることなく90年続けてきたことにあると思います。この歴史が様々な診察方法や診断技術、そして手術などの技術を進化させてきたきたのだと思います。ですから、肛門疾患に対しての様々な治療法を渡邉医院は持っています。治療の選択肢がたくさんあります。患者さんの病気の状況、状態、そして患者さんの今置かれている状況などを考えて、患者さんにとって今一番良い、最良の治療法を提供できるのだと思っています。また、術後の患者さんのデータも豊富に積み重ねています。そのデーターから、患者さんが、術後などにいつ、どんな不安を抱かれるのか。そしてそれにどう対応してあげればいいのかなどのノウハウもあります。患者さんが不安を抱く前に先手先手でその不安を取り除いてあげる。このこともとても大切だと思います。先取鎮痛というのがあります。痛みが出る前に先手先手で痛みを照っていくことで、治癒も早まるというものです。このことは患者さんの感じる不安にも通じるものがあると思います。
患者さんはいろんなことを私に教えてくださいます。そのことを大切にして、「目の前にいる患者さん一人一人をしっかり治していく。」ことで、今以上の診察、診断、そして治療の技術を高め、進化させていきたいと思います。