今回からは、「症状からみるお尻の病気」を3回に分けてお話します。第1回目は「出血編」です。
肛門の病気の症状にはいろんな症状があります。1)出血。2)痛み。3)排便時に何か出てくる。4)肛門の外側に何かできている。常に出ている。5)肛門が腫れている。6)肛門がムズムズする。かゆい。7)何か気持ち悪い。はさまった感じがする。8)排便後も残った感じがする。すっきり出ない。などすぐに8つの症状が頭に思い浮かびます。
肛門の病気には必ず症状が出ます。例えば、内科の病気では、自分が気が付かないうちに病気が進み、おかしいな?と思って診察を受けると、「血圧が高くなっていますね。」とか「血糖値が高くなっていますよ。」とか「肝臓の具合が少し悪いですね。」など、自分が気が付かないうちに病気が進んでいるということがあります。でも、肛門の病気はそんなことはありません。必ず症状が出ます。例えば、出血した。その出血の頻度が多くなってきた。出血の量が増えてきた。など、必ず症状がでて、病状が進むと症状も強くなります。逆に言うと、出血もなく、何の症状もなく、お尻のことが気にならないときは、もう治っているということです。
さて第1回目は「出血編」です。出血はとてもびっくりする症状の一つです。
さて、排便時に出血する場合は、便をするときにどこか傷がつくことで出血します。傷がつかない限り出血はしません。傷がつく場所で、出血の仕方が決まり、出血の仕方で病気を判断していくことができます。
排便時に出血する際に痛みを伴うか、伴わないかも一つの判断基準になります。
排便時にいたくなく、ポタポタ出血する。便器が真っ赤になる。場合によっては、シャーと音をたてて出血する。拭いたら血が着いていた。などの痛みなく、鮮血が出る場合は内痔核である場合が多いです。
排便時に、便が通るときに内痔核をこすり、傷がついて出血。この時だけ出血で、常に肛門の中で出血しているわけではありません。傷のつき具合、内痔核の大きさで出血の量が決まります。
それに対して、排便時痛みはないが、少し固まった血の塊が大量にでたり、下痢状の出血の場合は、直腸や大腸の病気の可能性があります。大腸炎、直腸炎(感染性大腸炎 潰瘍性大腸炎、クローン病 虚血性大腸炎など)、大腸憩室炎、大きな大腸ポリープ、大腸がんや直腸がんなどがないかを検査する必要があります。
血の塊が下痢状に出てくる。新鮮血というよりは、やや黒っぽい血の塊がでます。また、この下痢状の出血が何回も繰り返すことがあります。出血だけでなく、粘液が出ることもあります。このような出血が起きた場合は、大腸内視鏡検査などを行い、出血の原因を調べる必要があります。
ただ、大腸憩室炎や虚血性大腸炎の場合、大腸内視鏡検査を行った時に、出血源がわからないこともあります。
このように出血の仕方で、肛門の病気か大腸、直腸の病気かをある程度判断することができます。
次回、第2回目は「痛み編」をお話しします。