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2018.07.16

ALTA単独療法を施行後10年経過した264例の検討(第12回内痔核治療法研究会)

7月15日に東京で第12回内痔核治療法研究会で発表してきました。今回の研究会のテーマは、1)ALTA単独療法の長期成績ー10年経過例または5年経過例ー。2)パネルディスカッション:ALTA併用療法の種類と考え方。の二つでした。私の発表はこのテーマの1)の方でした。
演題名は「ALTA単独療法を施行後10年経過した264例の検討」です。
ALTA単独療法の一番の売りは、肛門に傷をつけることなく内痔核を治療できることです。ただ再発の率は痔核根治術と違って高い傾向にあります。この再発率を低くしていくためには、ALTA単独療法の適応をもっと厳格にしなければならないと思います。そのヒントを得ることができればと思っていました。
そのヒントは次のような点です。
1)内痔核の性状がどのようなものか。
 内痔核は、なかなか内痔核単独ではありません。肛門管内外痔核や肛門管外外痔核の合併が少なからずあります。この外痔核成分の程度が再発にかかわってくると思います。したがって、診察時に内痔核が脱出してくる際に、内痔核の大きさと内外外痔核の大きさの程度を比較して、内外外痔核成分が多い場合には、痔核根治術を、内痔核が多い場合はALTA単独療法を選択する。このことを今後検討していくことが必要と思います。
2)初診時の症状でALTA単独療法の適応の有無を判断できないか。
 1)のことを具体的に症状で考えてみると、内痔核成分の多い内痔核は脱出とともに出血の症状が多いのではないかと推測します。内外外痔核成分が多い場合は、脱出の症状はあっても、出血の症状が少ないのではないかと思います。この症状によって治療方法の適応を判断できないかも検討するべき項目だと思います。
3)内痔核の再発には排便習慣も関連していると思います。
 ①排便する際に怒責している時間、力んでいる時間がどうか?やはり力んでいる時間が長いと内痔核の再発の原因になります。
 ②すっきり便が出ているのにも関わらず、残便感があるか?残便感があって、出し切ろうとして頑張っている時間が長くなってしまうことが内痔核の発生に影響すると思います。
 ③1日の排便回数はどうか、1回の排便ですっきり出ているか?少量づつ何回も行くのか?
などが再発や内痔核そもそもの原因となると考えます。
 以上のような点を診察時や問診で聞いていくことで、治療法の選択や再発の予防になるのではないかと考えます。
 前置きが長くなりました。今回は発表の抄録を紹介して、発表内容は次回にしたいと思います。

抄録

「ALTA単独療法を施行後10年経過した264例の検討」

内痔核に対して、ALTA単独療法を施行し、10年以上経過した症例について、その長期成績を検討。【対象】H186月~平成203月までにALTA単独療法を施行した264例。【検討項目】検討項目は、①性差。②再発し、再度ALTA単独療法又は外科的治療を施行するまでの期間。③複数回再発した際の再発期間、その際の治療方法に関して検討。【結果】264例中、男性198例(平均年齢55.7歳)女性65例(平均年齢55.3歳)。初回再発時ALTA単独療法を施行した症例は、男性38例、女性4例、外科的治療を施行した症例は男性13例、女性5例であった。再発率は男性25.8%、女性13.8%。全体では22.7%であった。初回再発までの平均期間は2028.6日(5.6年)2回目再発までは684.7日(1.9年)。3回目再発までは660日(1.8年)であった。初回再発時にALTA単独療法施行までは2223.3日(6.1年)、外科的治療施行までの期間は1578.6日(4.3年)であった。再発までの期間では、5年未満が27例(45%)、5年以上が33例(55%)であった。【考察】ALTA単独療法後の再発は女性13.8%で、男性と比較して女性で再発率が低い傾向があった。これは、ALTA単独療法を施行した症例が女性では25%と男性と比較して少ないことも影響していると考える。再発までの平均期間は5.6年であるが、1年未満から10年以上それぞれの期間で再発症例の数には明らかな差は認めなかった。また、複数回再発症例の初回再発までの期間は1562.7日(4.3年)と短い傾向にあった。またその際、2回目再発までは1.9年、3回目再発までは1.8年であり、ALTA単独療法適応の判断が重要と考えられる。再発時の再治療は、ALTA単独療法42例、最終的に外科的治療を施行した症例は25例。その内訳はLE17例、輪ゴム結紮法6例、外痔核切除2例であった。ALTA単独療法の一番の利点は傷ができないことである。その利点を最大限に生かす必要があると考える。今後もALTA単独療法の方針を続けるとともに、ALTA単独療法の適応をさらに明確に追求していくことが必要と考える。

 

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