渡邉医院

かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって

皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 今日は午前中から午後の16時まで、保団連の第3回代議員会に参加し、発言してきました。去年一年間、代議員会は出席できていなく、今回久しぶりの参加、そして発言でした。

 発言中に息切れしないかと心配していましたが、以後まで話すことが出来ました。と言っても130秒の短い時間です。でも、良かった!

 私の発言は、「かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって」という内容です。

 今回、その発言内容を紹介します。

 紹介する文章をさらに短くして、口語体にしたものを発言したのですが、少し長いバージョンを紹介します。

 

 「かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって」

 「かかりつけ医機能を発揮する制度整備」を盛り込んだ「全世代型社会保障法案」が5月12日に国会で成立した。

 今回の改正は財務省等がコロナ禍の開業医を批判し、イギリスのGPを念頭に「登録型のかかりつけ医制度」を提起したことに端を発するものだが、結果的にそれは実現しなかった。しかし、楽観視してはならない。

 今回の「制度整備」は、小泉政権以降、国が進めている医療制度構造改革の一環である。それを抜きに、今回の内容のみ取り出して評論することはできない。

 国は「都道府県別一人当たり医療費の地域差」縮減に向け、病床数・医師数のフラット化を志向し、後期高齢者医療制度創設、国保の都道府県化と並行して、お手盛りの「医療受給推計」を用いた「地域医療構想」による病床コントロールや「医師偏在指標」を用いた医師数・配置コントロールを導入してきた。そして、今回の「制度整備」により、「かかりつけ医機能報告」と外来機能報告の合わせ技による外来機能のコントロールが図られようとしているのである。

 国は、医療費増加に歯止めをかけるべく、自由開業とフリーアクセスの制限を目指してきた。今回見送られた「登録型のかかりつけ医制度」も、かかりつけ医制度創設自体が目的というよりも、医師の適正配置や患者のフリーアクセス制限につなげることが可能であることからこそ提案されたものと考えられる。新自由主義改革の下での医療提供体制改革という基本的な政策の転換がなされない限り、今回の「制度整備」も今後、さらなる強権的手法導入の足場として使われることは自明である。

 国会成立を前後して令和臨調が「かかりつけ医機能の認定・登録制」を提起し、財政制度等審議会の2023年5月の建議は「新規開業規制の徹底」を提案した。  

 今後も国は執念を持って手を変え品を変え、様々な形で策動を繰り返す。保団連が人々のための医療を守り、会員の経営と権利を守る立場からの抵抗と発信の先頭に立ち続けていただくことを心から願うものである。

 このような内容を、もっと短くして発言しました。

 これからも医療提供体制改革の基本的な政策転換を国に求め、社会保障の削減ではなく、充実に向かっていくよう取り組んでいきたいと思います。