こんにちは、渡邉医院の渡邉です。
今回は、同じ悩みで悩んで、苦しんでおられる患者さんが多いのではないかと思う相談があったのでそのことについてお話ししたいと思います。
相談の内容は次のようなものでした。
1か月前に内痔核の手術をした後、未だにおならの溜まり方が多く、お腹が張る。歩いていてもおならが出てしまう。内痔核の手術後にこのような症状が出ることがあるのか?という質問でした。
内痔核の手術をしていなくても、お腹が張って、おならが溜まる。とても辛い症状です。
今回、私も自家血幹移植の前の移植前処置での抗がん剤の副作用で頻回の下痢をしました。便がしたくなって下痢が出てもスッキリしない、まだ残った感じがする。もう一回トイレに行くと少ししか出ない。これを繰り返していました。下痢は治まってもどうしてもいつも便がしたいような気持になる。お腹がスッキリしないといった症状がでて、ようやく落ち着いてきたところです。
さて、今回の質問に関して、結論から言うとそういうことはあります。私が考えるに三つのパターンあると思います。このことに関しては後からお話しします。
まずは、肛門はただ便やおならが通る出口です。肛門の具合が悪いからと言ってお腹の調子が悪くなることは本来ないと思います。やはり、便秘や下痢など排便の状態が悪いなどの原因があれば、それを治すのが大切だと思います。今後、内痔核が再発しないためにも術後とても必要なことです。このことがまずは大前提です。
さて本題に戻ります。今回の症状が出る理由には三つあると思います。
まず一つ目は、内痔核の術後に肛門の狭窄ができた場合です。
排便をする時にどのように便が出るのかというと、ただただ肛門が広がって便が出るわけではありません。排便時に頑張ることを「怒責」と言いますが、怒責すると肛門の中の肛門上皮の部分が外に出るようにして便が出ます。このことを「脱肛」と言います。人間は、具合よく脱肛しながら便が出ます。
肛門狭窄が起きると、この脱肛がし難くなります。ただ肛門が広がって出るといった具合になってしまいます。そうすると、排便しても細い便しか出なかったり、スッキリで出きらないことがあります。そうするとお腹が張ったり、おならが多くなったりします。
このように、肛門が狭窄してしまった場合、指やブジ―と言って棒のような肛門を広げる器械があります。それで狭くなった肛門を広げる処置をしたり、場合によっては肛門を広げる手術が必要になることがあります。
も一つが傷の硬さです。どんな傷でも傷がふさがった時は硬いです。だんだん時間が経つとともに柔らかくなって治っていきます。肛門の手術も同じです。どうしても傷が治ってもその硬さが残ります。ただ、この硬さも同じように徐々に柔らかくなって治っていきます。
やはりこの硬さも先ほどお話しした肛門狭窄同様に、排便時に脱肛し難くなります。その結果、お腹が張ったり、おならが多くなったりします。ですから、傷がふさがった=治ったではありません。段々柔らかくなって治っていきます。術後1か月、まだ傷の硬さが残っている時期です。3か月~6カ月程度で柔らかくなっていきます。この場合は、排便を整えて経過を診ていきます。
さて最後は内痔核の術後の排便時の痛みです。
どうしても肛門の手術をすると、特に内痔核は排便時の痛みが伴います。排便時の痛みがあると一回でスッキリ出すことが出来にくくなることもあります。また、排便時の出血も気になります。そうするとどうしても排便の状態が悪くなってしまうことがあります。
ただこの場合は、肛門が狭いといった状態ではないので、お腹の調子を良くしてあげればいいということになります。
便秘なら便秘を下痢なら下痢を治すことも大事です。整腸剤を飲んでみたり、食事ではヨーグルトや発酵食品など腸内の環境を良くする食品を摂るなど工夫してみて下さい。食物繊維も大切ですが、食物繊維だけだと頑固な便秘になるので水分もしっかり摂って下さいね。
最後になりますが、お腹が張ったり、おならが多い原因に、食事のスピードが速いということがあります。急いでご飯を食べるとどうしても空気を飲み込む量も増えます。ゆっくり、のんびり食事を摂ってみて下さい。ゆっくり食べることでダイエットにもなります。
また、多くの方が同じような悩みをされているだろう相談があれば、そのことについてお話ししますね。