渡邉医院

抗がん剤投与、浮腫、体重増を推察する。

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 現在、地固療法の2クール目を行っています。抗がん剤のキロサイドの投与はすでに終わり、後は骨髄抑制が来て、それが回復するのを「待つ」のみです。治療の方はとても順調です。今回の治療が終わると、いよいよ最後の「自家血幹移植」を行うのみとなりました。

 皆さんにはご迷惑をおかけしていますが、もう一息。完治して復帰して、渡邉医院を再開したいと思います。

 今回は、私が体験していることを少し推察してみました。何かご意見や、「いやこっちが正しい。」と言うことがあれば教えていただきたいなあとも思います。よろしくお願いいたします。

 前回から気が付いたことですが、抗がん剤を投与したり、造血幹細胞を採取する際に、体重が増える言うことです。両足の足の甲の浮腫みもあるのでそのためなのかなあと思っていました。また前回の治療中から、血圧の最高血圧が90mmHg前後と低くなりました。これらのことをどう考えるか推察してみました。

 まず抗がん剤投与と造血幹細胞採取と体重に関しての経過を図と一緒に示します。

 1回目の地固療法でキロサイドを投与する前は73.4㎏だったのが2日間のキロサイド投与で、75.2㎏と1.8㎏の増加。また造血幹細胞を採取する前は73.5㎏だったのが、採取後は76.6㎏と、ここでは3.1㎏の増加でした。両下肢の候に浮腫は認めましたが、浮腫はそこだけで顔や手などの浮腫は認めませんでした。このころから、通常最高血圧が110mmHg~120mmHgであったものが、90mmHgと低くなってきました。

 今回2クール目のキロサイド投与前、自宅で測定した体重が73.3kgで、キロサイド投与後76.1kgまで2.8kg増加しました。キロサイド投与後2日目の体重が75.9kgであったのが、今日3日目は74.7kg1.2kg減少していました。血圧も最高血圧が110mmHgと上昇しました。昨晩から夜中にかけて尿量も増えた気がします。

こんな経過です。

 さて、少し話は変わりますが、「侵襲」という言葉があります。「侵襲」を調べると「外科的手術や処置、薬剤投与などによって生体内に何らかの変化をもたらす行為。」と書いてあります。ですから手術をしたり、体に傷をつけることだけでなく、抗がん剤などの薬物投与も「侵襲」となります。

 外科的手術で侵襲を受けると、血管透過性が亢進します。血管透過性が亢進すると水分は血管外に漏出していきます。細胞内でも血管内でもない場所に溜まっていきます。この場所をサードスペースと言います。手術侵襲後は23日で炎症反応が治まってくるので、このサードスペースに溜まった水分が血管内に戻ってきます。このことをリフィリング減少と言うそうです。

 やはり血管内の水分としてのボリュームが減ると血圧も下がります。

 こういったことを考えると、やはり抗がん剤投与は外科的手術に匹敵する侵襲を体に与えるのだと思います。

 そこで、今回の私の推察ですが、

 抗がん剤、キロサイドの投与による侵襲によって血管透過性が亢進して、その結果、血管外に水分が漏出。そのために血圧低下や浮腫が生じ体重が増加した。投与後2日間が経ち、血管透過性も正常に戻りつつあり、漏出していた水分が血管内に戻り血圧が上昇し、尿量の増加、そして1.2kgの体重減少となった。

 こんな感じかなあと推察しています。

 ちなみに、浮腫の時、正常なときの510%以上の水分の貯留があるそうです。

 体重が75.9kgだった時、浮腫による体重増だとすると、その分を計算すると、5%で3.6kg10%で6.9kgの水分が溜まっていたということになります。

 昨日から今日にかけてそのうち1.2kgの水分が体の外に出たことになりますね。