皆さんこんにちは。渡邉です。
7月8日は、朝から衝撃的なことばかりが起こりました。
一つ目は、朝の血液検査の結果で、白血球数が700/μLにまで低下したことです。正常値が3300~8600/μLですから約80%程度減少したということになります。骨髄抑制がしっかり来ています。血小板も158000~348000/μLが正常であるところ、32000/μLまで低下しました。さらに低下すると血小板の輸血が必要にはなります。
このように骨髄抑制が来て最低値になり、回復してくるときに末梢血に出てくる造血幹細胞を採取する予定です。地固療法と造血幹細胞の採取が今回の目的ですが、やはりこの血液検査の結果は衝撃的です。まだ下がってくると思います。
そしてもう一つは、安倍元首相の狙撃事件です。亡くなられたことに対して、哀悼の意を表します。自分の持つ意見や信条がたとえ違っていても暴力でそれを阻止することは絶対に許されることはできません。今回の民主主義の根幹を攻撃する暴力行為には断固抗議する。そして暴力によって政治を捻じ曲げてはいけない。民主主義を守れと訴えたい。
今後、こんなことが起きないように私たちは考えていかなければなりません。
さて、話はガラッと変わります。
今日、便秘ネットフォーラムが開催され、WEBで参加しました。今回はその内容を報告しますね。今回の演題名は「新時代を迎えた慢性便秘症診療―新たなエビデンスを含めてー」でした。
結論から言うと、「胆汁酸は慢性便秘の治療に有効である。」と言うことです。以前ブログでもこの胆汁酸に関してお話ししたことがあります。そちらの方も参考にして下さいね。
さて、フォーラムでの講師は慢性便秘の原因を次の三つを指摘していました。
一つ目は「心理的、社会的なストレス。」
二つ目は「消化管(大腸)運動異常」特に大腸の輸送能の遅延。食べたものが消化され吸収され大腸に来ます。上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と運ばれてきますが、この間の輸送能両区が遅延しているということです。
三つめが「内臓の知覚異常」です。
この三つを慢性便秘の原因と指摘していました。
特に、直腸の知覚異常が重要であり、知覚異常を回復させ、直腸に便が来たら、便がしたい(便意)といった感覚を取り戻すことが大切であるとしていました。
慢性便秘の患者さんの中で23%の方が直腸の知覚鈍麻があるとされています。また、直腸の便がたまったままになると、直腸より口側の大腸の動きさえ悪くなります。
これらの方々の60%以上に大腸の通貨遅延を認めたそうです。
したがって慢性便秘の治療には、この直腸の知覚を改善することが大切で必要になってきます。
そこに出てくるのが胆汁酸です。
胆汁酸は肝臓で作られ、十二指腸に分泌されます。その分泌された5%が再吸収されずに大腸に行きます。この胆汁酸が大腸の動きを良くします。
高齢になるほど便秘になりやすくなります。胆汁酸の量を量ってみると、やはり高齢になるほど胆汁酸の分泌量が減るということで、胆汁酸の量と慢性便秘との関連性を見出します。
また、便秘の人の便中の胆汁酸の濃度を測定すると、やはり濃度が低いということでした。
便中の胆汁酸が増えることで、便中の水分量が増えます。 したがって、胆汁酸の一つの作用としては便中の水分量を増やすことです。
もう一つ胆汁酸の役割は、大腸の運動を促進させることです。
さらに最近分かったことが、胆汁酸は直腸の知覚を改善する役割があることです。
直腸の中に胆汁酸を注入すると直腸の知覚を鋭敏にしたという実験もあるそうです。したがって胆汁酸は便意の促進作用もあるということです。
これらのことをまとめると、胆汁酸には三つの役割があります。
一つ目は「大腸の運動を改善する。」
二つ目は「水分の分泌を促進する。」
三つめは「直腸の知覚を改善する。」
この三つです。
そしてこの胆汁酸を増やして便秘を治すお薬もあり、エロビキシバット(商品名:グーフィス)です。
今回は、胆汁酸と慢性便秘が中心での講演でした。
次回7月の28日にも便秘ネットフォーラムが開催されます。また、その内容をまとめてご報告しますね。