皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今「地固療法」のために大量のキロサイドを投与するのですが、今その真っ最中です。キロサイドが頑張って、「完全寛解」しましたが、もし残っている悪性リンパ腫のがん細胞があるならば、しっかり叩いて最後のとどめを刺してきてねと願いながら治療を受けています。「完治」に向けた第一歩です。頑張りますね。
さて、最近相談で多いのが、術後約1か月ほど経った方からの相談です。
そしてその内容に関しては大きく2つに分けることができると思います。
一つが、肛門の痛み等、傷がちゃんと治っているのかが心配で相談される方です。
例えば、「1か月経ったけど、まだ痛みがある。」とか「突っ張った感じがする」や、「肛門の周囲がひりひりする。」など肛門周囲の症状が心配で相談される方。
もう一つが、排便に関する相談です。
例えば、「排便がしにくくなった。」とか、「そこまで便が来ているのに頑張っても出ない。」また、「便が細くなった。」などです。
いいずれの相談も、思い切って決断して手術をしたのに、1か月経っても何かスッキリしない。症状が有る。手術が失敗して、うまく治っていないのではないか等、せっかく決心をして手術をしたのにスッキリしないという相談です。
なかなか肛門の手術、術後の痛みや出血など、手術をする前から心配なことが多いです。そしてなかなか受診し難い診療科です。やはり手術を決心される方は、これま辛かった毎日の生活から解放されて、今回でスッキリ治してしまおうと決心された方ばかりです。やはり1か月経ってもスッキリしない。心配になられることはとても良くわかります。
さて、術後1か月後ですが、排便時の痛みはだいぶ楽になった、場合によっては痛くない。排便時の出血はほとんどないか全くないといった状態までにはなっていると思います。でも肛門の周囲がまだ痛む、排便がスッキリ出ないといった症状がまだ残っているということだと思います。
内痔核の場合、術後約3~4週間、約1か月から1カ月半程度で傷はふさがります。
この「ふさがります。」がポイントです。
やはり「傷がふさがった。」と「傷が治った。」は別です。傷がふさがったからと言って治ったわけではありません。
転んだ怪我だったり、切ったりした傷もそうですがふさがっても傷の硬さが最初残ります。その硬さが突っ張ったりピリピリしたりします。これと同じです。
肛門の手術も傷がふさがったとしても、傷の硬さが残ります。この硬さが、肛門は便が通るところなので、突っ張った感じがしたり、ピリピリ痛んだりします。ただ、この硬さもだんだん取れて柔らかくなってきます。そうすると突っ張った感じや痛みは取れてくると思います。ですから傷がふさがったと傷が治ったは別で、ふさがってからもどんどん治っていきます。焦らずもうしばらく経過を診ていきましょう。
もう一つの心配事がの状態です。
どうしても傷の硬さがあると出しにくくなり、細い便になることがあります。
これは人間が排便をするときに、肛門上皮が外に出るような感じで便が出ます。ただ肛門が開いて便が出てくるわけではありません。この、排便時に肛門上皮が外に出るような動きをすること、これを本当は脱肛と言います。人間は具合よくすることで気持ちよくスッキ便を出すことが出ます。
どうしても肛門に傷があったり、またジオンによる痔核硬化療法をすると、この脱肛がしにくくなります。そして、ただ単に肛門が広がっての排便になってしまいます。そうすると、そこまで便がきているのに出しにくい、頑張って出すと細い便が出るといった具合になります。この症状も本当の意味で治っていくと具合よく脱肛しながら便が出るようになるので、スッキリ出るようになります。
何回も繰り返しますが、やはり「傷がふさがった。」のと「傷がなおった。」では全く別です。
まだまだ1か月半、焦らず治していき、やはり大事なことは、気になる症状が有れば主治医に診てもらうことです。必ず自分が感じる症状が出るのには原因があります。その原因がこのまま様子を見ていいものなのか、もうこれ以上診ていても具合は良くならないので、スッキリ治すのには何か処置が必要なのかなどを主治医に効き相談することが大切だなあと思います。また何かあれば相談してくださいね。