渡邉医院

がんと障害年金ーその2-

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
 いよいよ本格的な治療が始まります。今日は中心静脈カテーテルを挿入して、明日から大量キロサイド(抗がん剤)の投与が始まります。明日、明後日の2日間にわたって12時間毎に計4回投与します。骨髄抑制が来てその骨髄が回復してくる約2週間後に最終的に行う自家血幹移植に使う、造血幹細胞を採取します。準備万端で臨んでいきます。

 さて前回「がんと障害年金―その1―」をお話ししました。今回は「その2」です。
 申請の仕方や、その時の注意点をPfizer社の「がんを学ぶ」を参考にして短くお話ししたいと思います。

 もう一度「障害年金」についてですが、「障害年金」は病気やけがをした際に、一定の障害が出てしまうことがあります。そういった障害がある場合、支給される公的年金の一つです。
 公的年金なので、私たち自身がこれまで払ってきた年金をもとにして支給される年金です。
 経済的に苦しく、支援が必要なときは、私たちの当然の「権利」してしっかり申請して、受け取ることが大切だと思います。

 さて、「障害年金」の「障害」ですが、目に見えて明らかにわかる体の変化や機能の変化、例えば人工肛門等、だけでなく、抗がん剤の投与等の治療にかかわっての倦怠感や末梢神経の障害、貧血、下痢、嘔吐、体重減少などの目に見えない症状、障害に対しても申請して、認定されると支給されます。

 ですから、この目に見えない症状、障害によってきたす、日常生活や仕事の支障に関してはわかりにくいところが多いです。したがってこの目に見えない、しかも日常生活や仕事に支障をきたす障害をどう伝えるかが重要になってきます。

 そのため、「障害年金」を申請するときに重要となってくるのが、申請する患者さん自身が記入して提出する「病歴・就労状況申立書」と、主治医の先生が書いてくれる「診断書」です。この二つが認定されるときに重要になってきます。

 患者さんがこれまで行ってきた仕事を今後も行っていくうえで必要な就業能力が、発病する前と発病し、治療をした後どれだけ低下してしまったのかを「具体的」に示す必要があります。
 目に見えない障害なので、この「具体的」がとても重要になります。

 どれだけ日常生活や仕事に支障が出ているかを具体的な体験や実際に働いている時間がどれほど短くなったのか。また、そのことでどれほど収入が減ってしまったのか。仕事だけでなく日常の生活でどんなことが不自由になってしまったのかなどをしっかり書き込むことが大切です。そういったことをメモなどに記録しておくといいと思います。
 そして、主治医の各「診断書」と患者さん自身が各「病歴・就労状況申立書」とがちゃんと整合性を持っていなければなりません。

 どうしても主治医は、診察に来られた時の患者さんしか診ることができませんし、その診察の時間も短いです。主治医は患者さんが病気になる前はどんな生活を送っていたのか、どんな仕事をしていたのかは知りません。また、日常の生活や仕事で、患者さんがどんなことに支障があるのかも、診察室での診察だけではわかりません。

 やはり「障害年金」の申請をする際、主治医に「診断書」を書いてもらうときは、今実際に日常の生活や仕事で支障をきたしていることを書いて渡すなどして、主治医が各「診断書」と「患者さん自身が書く「病歴・就労状況申立書」に整合性を持たせることが大事です。

 私の罹患している悪性リンパ腫ですが、例えば「障害年金」を申請する場合、ハードルは少し高いようです。でも権利としての「障害年金」、経済的に必要となった時はしっかり申請したいものです。

 その場合、申請に当たっては、病院の相談室やソーシャルワーカーと相談し協力を求めるといいと思います。その人たちは、そのことを仕事にしています。

 「障害年金」についてさらに詳しく知りたい方は前回もお話ししましたが、「三重県・障害年金申請サポート」を検索してみていただくといいかなあと思います。また、最寄りの年金事務所や年金センターに問い合わせるのもいいかもしれませんね。

 がんになった時、経済的な問題も治療を進めていくうえで大きな課題となります。それに対しての様々な公的な制度もあります。そういったものをしっかり使っていく必要がありますし、そういった制度があるということを知っているということは、とても大事なことだと思います。