渡邉医院

「もっと知ってほしい 大切な人ががんになったとき」を読んで

 「もっと知ってほしい 大切な人ががんになったとき」

 おはようございます。渡邉医院の渡邉です。いよいよ今週から、「地固療法」と「造血幹細胞採取」が始まります。

 入院中、時々売店に飲み物を買いに行ったりするのですが、その売店の近くに、癌に関しての様々な冊子がおいてあります。自由に持って帰っていい冊子で。以前Facebook等で紹介した「悪性リンパ腫」に関しての冊子もここにおいてありました。

 今回は、「もっと知ってほしい 大切な人ががんになったとき」という冊子がおいてあり、もらってきました。読んでみると、とても勉強になりました。今回はこの冊子に書かれている内容を少しまとめて簡単に紹介したいと思います。

 冊子の表紙には、「もっと知ってほしい 大切な人ががんになったとき」という題名の少し下に、チョット小さく「患者さんと患者さんを支える人のために」というサブタイトルがついていました。やはり、がんになった患者さんだけではなく、それを支える家族の人たちの支えがやはり必要で、とても大切なことだと思います。

 冊子は第1章から第8章で構成されています。

 第1章「がん患者さんを支える人が知っておきたい大切なこと」

 第2章「がんとがんの治療について正しい知識を持つ」

 第3章「患者さんが納得して意思決定ができるように支える」

 第4章「揺れ動く心の動きに寄り添う」

 第5章「家族ができる療養のサポート」

 第6章「身近にいる専門家を療養のサポーターに」

 第7章「経済的な問題を解決する」

 第8章「積極的な治療を受けられなくなった時」

と言った内容です。

 第1章は「がん患者さんを支える人が知っておきたい大切なこと」です。
 この第1章が一番大切なところかなあと思いましたので、今回はこの章だけを詳しく紹介したいと思います。

 そこの一番最初にこんなことが書いてありました「がん患者さんの家族は第2の患者」です。そして第1章の最初の項目が「大切な人を支えるために、あなた自身を大切に」でした。

 やはりがんの治療は、5年、10年と長い期間続きます。患者さんだけでなく、患者さんの状態によってそれを支える家族の方の生活リズムや環境が大きく変化していきます。この変化に対応していくためにも、患者さんを支える方自身の健康、これは肉体的だけでなく精神的にも健康であることが大切です。また、「感情を表に出すことも大事」とありました。

 患者さんの長くて山あり谷ありの闘病生活にしっかり寄り添っていくためには、支える方自身の感情も大切にしなければならないと書いてありました。うれしかったり、悲しくて泣いたり、また怒ったりするそういった感情を、自分の中に押し込むことなく表に出していくことも大事ですし、そのことで気持ちが楽になります。

 私が時々言っていますが、「辛いとき辛いと言えているか?助けて欲しいとき助けてといえているか?」です。自分の気持ちを押し殺すことなく表現することが大事ですね。

 次の項目には「がんとがんの治療について、正しい情報を得る」でした。

 ここには、「がんの治療は情報戦といわれるくらい、治療の選択やよりよい療養生活を送るには、情報の質と量が出維持になる」と書いてありました。その通りだと思います。ただ、今はネット検索等情報量が多いです。正しい情報だけとは限りません。どうしても自分に良い情報ばかりになったり、反対に悪い方に悪い方にと情報をあつめてしまったり、情報の集め方が難しいです。そんな時こそ、主治医の先生としっかり話をして正しい情報を集めることが大切だと思います。

 次の項目は、「治療や過ごし方を決めるのは患者さん自身」です。

 そこにはこのようなことが書いてありました。「患者さんの周囲にいる人は、患者さんの状況について『自分が一番知っている』『こうするほうが絶対にいい』などと思いこむことがあります。」と。最終的にどのようにするかを決めるのは患者さん自身です。周りの人が良かれと思っていても、実際患者さんにとっては違うかもしれません。患者さん自身が、周囲の人たちに記を使い、本当に思っていること感じていることを正直に伝えていないこともあります。なかなか難しいですが、患者さんの気持ちをしっかり想像して、正しい情報だけを提供して、患者さんが自分の意思でしっかり決定できるように見守っていくことが大切なんだなあと思います。冊子には「病状や過ごしている場所によって、患者さんと自分の役割も変化する」このことをしっかり意識することが大切であると書いてありました。

 この章の最後は「揺れ動く患者さんの心に寄り添う」です。

 ここにはこう書かれています。「がん患者さんは診断、告知から治療、その後の療養までの間に大きな心の揺れを経験します。」と。そして「治療の状況や結果に一喜一憂してしまう」と。また、こんなことも書かれていました。「手術後、患者さんが最も嫌うのは『がんをきったから、もう大丈夫』といった言葉をかけられることです。『患者さんを早く安心させたい(自分が安心したい)』という数位の気持ち。患者さんは手術後も喪失体験に苦しみ、市絵の恐怖も消えていません。病状に対する楽観的な発言は控えたい。」と。そして、「患者さんの心が落ち着きを取り戻すまでは聴くことに徹しましょう」と。

 このように、やはり日々状況、体調や環境、またその時の感情が変わると同時に患者さんの心は揺れ動きます。この状況に右往左往することなく、しっかり支え、大きく包み込んであげることが大切なんだなあと思います。そのためにも正しい情報をしっかり掴み知っていることが大切だと思います。

 少し長くなりました。ここに紹介したことは、がんだけのことではないと思います。様々な場面で参考になるのではないかと思います。