渡邉医院

抗がん剤の副作用、どこまで許容するのか?できるのか?

 昨日まではとてもいい天気でした。今日は、朝から雨。いよいよ梅雨に入るんでしょうね。

 今日は悪性リンパ腫に対しての5クール目の抗がん剤投与に向け再入院しました。入院日に雨が降ったのは今回初めてです。

 昨日の晩に、「明日は雨が降っているだろうし、朝815分頃に、タクシーを予約しておこう。」と電話をしてみると、「その時間の予約は、もういっぱいで無理です。」との返事。もう一つのタクシー会社にかけてみても同じ返事。仕方がないので、地下鉄で行くことにしました。

 今回のいったん退院の期間、一番散歩等体力アップのために歩きました。先週の火曜日に退院したのですが、後からiPhoneで調べてみると、その日を含めて毎日10km以上歩いていたと記録されていました。これまでで一番の距離数。体力はばっちり?ある程度戻ってきていたので、地下鉄でも大丈夫だという自信はあったのですが、傘をさしてと思うとちょっと憂鬱でした。でも、そんなに激しい雨でもなく、体力アップもできていたので、「これからは地下鉄でいいか。」と感じました。

 「雨降って地固まる。」という言葉もあるように、自家血幹移植前の治療としての5クール目、しっかり完治を目指して治療しようと思います。

 さて、今回はちょっと抗がん剤の副作用と、それをどこまで許容するのか?許容できるのか?に関して少し考えてみたいと思います。

 私はこれまでの4クール、骨髄抑制や、激しい肝機能、腎機能障害も出ずに順調に抗がん剤による治療が進んできました。でも同じ治療をしても私のように強い副作用が出ない方もいれば、副作用が出て休薬など治療を中断しなければならない方もいらっしゃると思います。

 やはり抗がん剤と言う強い薬の投与、やはり何らかの副作用が出ます。

 私も、オンコビンと言う抗がん剤を投与しています。オンコビンの副作用の中に、末梢神経障害という副作用があります。手や足の指先がしびれたり、場合によってはボタンを留められなくなったり、お箸を落としたり、そういった指先の末梢神経に障害が起きるというものです。先生からは、例えば音楽家等、指先の敏感な感覚が大切な職業の人や私のような外科医が末梢神経障害になると、今後の仕事に差し支えるということで、症状が有れば伝えて欲しいと言われています。そんな場合はオンコビンの休薬や減量を考慮しなければなりません。オンコビンが有効に悪性リンパ腫をたたいていたとしてもその休薬、減量で、悪性リンパ腫への治療効果はどうなるかと言うことも考えてしまいます。

 ですから、抗がん剤の有用性と副作用との関係はとても難しい問題だと思います。メリット、デメリットを天秤にかけることになります。とても悩ましい!

 私も今、少し指先が痺れています。そのしびれが強く成らないかどうか?また指先の知覚や運動神経がどうかを確かめるために、毎食時お箸を使いながら確認しています。例えば豆の料理が出てきたら、豆を一つずつお箸でつまんで食べるとか、おかずを一口で食べないで、お箸を使って、細かく分けて食べています。これも麻痺の程度を確認できます。また、薬の袋が上手く開けられるかもみています。また、絵を描くのも、指の感覚を確かめるといった意味合いもあります。ただ絵を描くのはその間集中していますし、出来上がっていく過程が面白い。また、完成を想像して、そのイメージ通りに行くかどうかも絵を描く面白さだと思います。これって外科医の基本かなあとも思います。まずは術後の状態、切除した後のイメージ、デザインをして、それに向けて手術を進めていく。こういった点が絵を描くのと手術似ています。

 さて、指先の痺れですが、これまで抗がん剤治療が4クール終わりました。指先の痺れは強く成ってきていません。また、字を書くのにも藤生はありません。お箸もうまく使えています。また、診療所に行ったときに手術で行う糸結びもやってみましたが、問題なく指も動いて糸も結べます。指先の痺れはあるものの、まだまだ許容範囲です。

 このままオンコビンも休薬、中止することなく、悪性リンパ腫をしっかり治すことを一番の優先にして、今回も投与することにしました。

 今後も自家血幹移植に際しても抗がん剤を使うことになります。今後も抗がん剤の副作用をどこまで許容できるか?どこまで許容するのか?この難しい課題には、主治医の先生と良く相談しながら決めていきたいと思います。

 でも、この課題は癌を治すという点でとても難しく、永遠のテーマなんだろうなあと思います。