渡邉医院

初めての収入0の生活

 さて、ゴールデンウイークも終わり、しばらく祝日の無い日々がつづいていきます。
 仕事、仕事の毎日が続きます。私は今は、悪性リンパ腫に対しての治療で入院して、仕事からは全く離れています。 
 やはり、仕事をしておられる方が入院して治療する。これはとても大変なことだと思います。

 まだ、予定入院の場合は仕事の段取りを付けたり、前もって入院に対して準備をしてからの入院になります。それでもその段取りが大変です。ましてや緊急で入院となるともっと大変です。

 今、私は複数人部屋に入院しています。ですからどうしても周りの入院患者さんと医師との会話が漏れ聞こえてしまいます。
 急に熱が出て、緊急入院になった患者さんは、今日明日の仕事をほっぽり出しての入院。早く退院しないと仕事が困ると。その訴え良くわかります。
 例えばチームで行っている仕事であれば、一人抜けると大変ですが、それでも何とか仕事を回していけます。でもこれがお一人でやっている方は、自分一人が動けなくなれば全く仕事は進まなくなるばかりか、後退もしくは0になってしまいます。収入もなくなり日々の生活にも困る。またいったん失ったお客さんを取り戻すことは、本当に至難の業。ですから、本当に自分の命を削って仕事をしている。そんな方が、今の日本には大勢いらっしゃるのだと思います。
 本来ならばそのような事態に落ち込んだ時、国が責任をもって日々の生活を保障していく。病気になってもしっかり治してから仕事に戻れるようにする体制。また基礎に持病があったり、いつ具合が悪くなるかわからない病気があっても、具合が悪くなったとしても、そのことに心配することなく、元気なとき、仕事ができているときから常に国や自治体がサポートしてくれる。そんな社会が本当は必要なのではないでしょうか。
 今の日本、全てのことを自己責任にすり替えている。「自分のことは自分で守れ、地域で助け合え、どうしようもなくなったら最低限の保障を国がしてやる。」。そんな社会では、本当に安心して暮らすことができません。本当に早く社会保障が充実した社会、日本になって欲しいと思います。そのためにも私たちは医師として頑張っていきたいと思います。

 さてそうはいっても私も収入0になります。収入0の生活、初めての経験です。
 渡邉医院は保険診療です。入院の際の差額ベッドや診断書などは自費になります。でもそれは患者さんを診察して初めて入ってくる収入です。
 私も体調を崩したのは3月。休診にしたり、手術をキャンセルしてもらったり、患者さんには、本当にご迷惑をかけました。申し訳ありませんでした。そんなこともあって、通常の診療の半分以下です。また4月以降休診にしていますので診察することによって得られる診療報酬は全く入ってこなくなり、収入は本当に0になります。ただ少し助かるのは診療報酬の振り込みが2か月遅れで振り込まれてくるということです。
 ですから、まったく診療をしていない4月には、4月後半に2月の診療報酬が入ってきます。また半分以下ですが、5月後半には3月分の診療報酬が入ってきます。ここから、スタッフの給料や健康保険料、厚生年金を払うことができました。また、医院で抱えているローンやリース代、減るとは言っても光熱費などどうしても渡邉医院そのものを維持していく支出があります。そして6月からは全く診療報酬は入ってきません。ただ加入していた休業補償と傷病手当が入ってきます。私はなにを考えていたのか、がん保険等生命保険には一切加入していませんでした。いまさらながらですが、皆さんは入っておいてくださいね。
 このように生まれて初めて、収入0の生活が始まります。ですから順調に治療を進めて、できるだけ早く、できれば今私が考えている91日の渡邉医院再開を目指していかなければなりません。ただ、9月の診療報酬は11月に振り込まれます。したがって9月1日に診療を開始しても、9月、10月は診療報酬は振り込まれず、窓口負担の収入のみになります。そこは何んとか乗り越えて、9月1日、新しいい渡邉医院の再開!それに向かって頑張っていきたいと思います。