渡邉医院

「今できること、できないこと」を明確に府民へ届けて!

  新型コロナウイルス感染拡大が続き、今第6波の渦中で私たちは不安を抱きながら、日々の生活を送っています。
 この土曜日、日曜日は新規感染者の方は2000人を下回っていますが、連日2000人を超す新規感染者がいらっしゃいます。第6波の中、京都府へ要請を出しました。その一番の要請は、今京都府として「何ができないのか、そして何ができるのか。」の明確なメッセージを府民に伝えて欲しいというものです。そのうえで私たち府民は何をしなければならないのかを示して欲しいというものです。この要請の内容に関しては、すでにブログにアップしています。良ければそちらもご覧ください。
 そういった中、今回の京都府の要請に関して、取材がありました。その内容を紹介したいと思います。

 以下、取材記事の内容です。

 新型コロナによる第6波の感染急拡大が続くもと、京都府保険医協会は1月31日、西脇京都府知事に宛てに要請書を提出しました。なぜ、要請書提出となったのか、府民の命を守るために何が必要か、協会副理事長の渡邉賢治さんに聞きました。

 ーーなぜ、いまこの時期に要請書提出となったのでしょうー-

  オミクロン株による伝播力は強大で、いままでにない状況になっていることです。感染症に対応するすべての機関や専門職のみなさんが、必死になって対策にあたっています。それでも、第5波までに積み上げてきた仕組みでは、対応できない状況に陥っています。

 コロナ病床の使用率は5割を超え、コロナ病床だけでなくコロナ以外の疾患の患者さんの受け入れも難しくなっています。自宅療養者の増加で外来を担う医療機関もすでにひっ迫しつつあります。

 保健所も大変な事態です。濃厚接触者特定も事業者に委ねられ、家庭内感染でも困難になってきています。
 感染症対策の原則は、感染の早期発見と治療です。しかし、迅速な保健所介入がなくその原則が崩され、できなくなっています。多くの府民はどう対応したしたらいいか不安にかかられ、保健所に問い合わせしようにも電話もつながらない。検査キットも不足し検査もできない状態も生まれています。
 いまの混乱した事態を解消することが、行政には緊急に求められていす。それを明らかにするための申し入れでした。

 ーー申し入れの中心は何だったのでしょう?ー-

  自治体首長からの明確なメッセージの発信を求めたことです。各地の保健所・医療機関の状況をリアルに伝え、行政として「できること・できなくなっていること」を明確に説明する。その上で、専門家の助言も受けながら、住民が生命・健康を守るために「今どうしたらよいか」を判断できる強いメッセージを発することです。
 自治体首長の責任ある発信なしに、混乱を収めることはできないと考えています。

 ーー混乱を引き起こした背景、要因は何でしょう?--

  大きな背景の一つには、政府が、「構造改革」、新自由主義のもとで20年来、病床を削減してきたことがあるでしょう。しかも政府は、コロナ禍のもとでも、公的病院の統合や病床削減計画を中止しするとはしていません。公衆衛生の要の保健所の統合、集約化を進めてきたことも大きいと思います。
 京都府、京都市は、国の方針に従い、それぞれ保健所を統廃合してきました。府域では12カ所あったのが7カ所に、京都市では11の全行政区にあったのが1カ所に集約化されました。このことが今回の対応に何ら影響がなかったはずがありません。

 ーーそもそも論と併せ、少なくとも第6波に備えて行政がやるべきことがあったのではないでしょうか?ー-

  そうです。私たち京都府保険医協会では、第5波が一定収まった昨年9月17日、府に要請書を提出しました。そこでは、ワクチン接種の確保や自宅療養中の患者への診療を行う支援の強化などを要請しました。
 その中で、第5波の際、今後の学校などでの子どもたちの感染拡大を危惧し、対策の強化を求めたことは大事なことでした。学校や保育所などで必要な検査ができる体制や日常的な感染対策とともに、休校、施設・学級閉鎖の判断が個々の学校・施設や各自治体の担当課任せにならないよう、専門家の知見も踏まえ、適切な助言・支援を可能とする体系的な仕組みを構築することを求めていました。こうした対策がしっかりできていれば、今の学校や保育所などでの現場の苦労は、もう少し回避できたのではないでしょうか。

 さらに、要請では、保健所の危機的状況を克服するため、地域住民の生命を守る体制を再構築するよう求めました。
 しかし、残念ながらこうしたことが、十分に対応されてはきませんでした。特に、保健所の問題では、西脇知事も門川京都市長も、保健所の統合・集約化が新型コロナ対策に与えた影響に対し、真摯に向き合っているようには思えません。
 この姿勢を改め、現状を正しく把握することなしに、とりわけ保健所のひっ迫の緩和は望めないと考えます。

以上が取材の内容です。
 私たちは、基本的な感染対策を行いながら、さらに何をしなければならないのかを考えていかなければなりません。そのためにも京都府を始め国は、明確な強いメッセージを私たちに発信しなければならないと思います。