渡邉医院

自治体首長からの私たちへの明確なメッセージを求める!

 京都でも新型コロナウイルス感染者が、連日2000人を超える状況にあります。

 このような状況の中、保健所は逼迫状態にあります。本来ならば、「濃厚接触の特定」は保健所が行わなければならない仕事です。しかし今、保健所が逼迫している中、その特定は保健所ではなく、多くの場合、個人であれば個人が、事業所等では事業所自らが保健所に代わって積極的疫学調査を行い、濃厚接触者の特定まで行う仕組みに変更されています。専門知識がない一般市民が濃厚接触者の判断や特定をしてもいいものなのか、行動制限を伴う濃厚接触者であるかないかの特定を民間事業体が行ったことに伴う結果に責任が問われないかの不安が広がっています。

 このように、感染が拡大している中、府民、市民は不安や疑問の中で日々の生活を送っています。濃厚接触者になったらどうしたらいいのか、感染したらどうしていいのか、保健所に連絡しても電話もつながらない。そんな不安の中、京都府京都市の首長からは私たちへの強いメッセージが伝わってきません。

 今京都府・京都市は「何ができないのか。何ができるのか。」。できないことはできない、このことはできるといったことを明確に私たち府市民に明らかにし、そのうえで今、京都府、京都市は何ができるのか、そして私たちは何をしなければならないのかを明確にそして強いメッセージを発しなければならない時だと思います。

 そういった思いを込めて、京都府保険医協会は、「感染急拡大による府市民の混乱を解消するために 自治体首長からの明確なメッセージの発信を求める」という要請を京都府知事に提出しました。その内容を紹介します。

 

  感染急拡大による府市民の混乱を解消するために 自治体首長からの明確なメッセージの発信を求める

 【要請項目】

 各保健所と管内の医療機関の逼迫状況を踏まえ、濃厚接触が疑われる場合の検査 の実施方法、医療機関への受診方法等、京都府市民がとるべき行動について明確な メッセージを自治体首長として発信していただきたい。

【要請理由】

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の勢いは止まらず、2022 年1月 28 日現在の京 都府内の療養者数が 11,900 人を突破した。うち自宅療養者は1万人を超え、府市民はウイルスによる生命と健康の危機だけでなく、濃厚接触者となった家族も含め、生活の維持そのものが脅かされている。

 今日、病院・診療所・保健所等、感染症対応にあたるすべての機関・専門職は、文字どおり生命を賭して感染症の脅威と闘っている。
 しかしオミクロン株の伝播力は強大であり、第5波までに積み上げてきた仕組みだけでは対 応できない状況に陥っている。中でも感染症対策の中核を担う保健所の逼迫は深刻であり、診療・検査医療機関をはじめ外来を担当する医療機関も既に逼迫している。
 逼迫を受け、保健所による積極的疫学調査や濃厚接触特定が事業者や個々人に委ねられてしまった。このことが混乱に拍車をかけている。
 京都府においてもまん延防止重点措置がなされ、医療機関にも府市民から多数の不安・疑問が持ち込まれる。現場では最大限対応しているが、私たちの保持する情報に限界がある。官民挙げて機敏かつ丁寧なリスクコミュニケーションが最優先課題の一つである。
 例えば家族等が陽性・濃厚接触(疑いも含む)となり、「受診した方が良いのか」との問い合わせがある。受診の目安について明確なメッセージが出されていないことによるものである。「自分が濃厚接触なのかわからない」との声。これは保健所による特定が難しくなり、電話もつながらない事態によるものである。関連して「検査をしてほしい」との問い合わせ。これに対しては検査キット不足により医療機関は対応に苦慮している。
 学校や児童福祉施設での感染拡大により、エッセンシャルワーカー等から感染対策と仕事への対応に苦慮する声も多数寄せられる。教育・福祉施設も自ら濃厚接触特定者が求められるが、検査キット不足のため検査自体が行われない事態も生じている。
 行政機関・医療機関の現場は人々の生命と健康を守るため、引き続き全力で対策に臨むしかない。
 その上で自治体首長に望むことは、府市民に対し、今日にあっては、行政として「できること・できなくなっていること」を明確に説明していただくことである。 住民一人ひとりが生命・健康を守るために「今どうしたらよいか」を判断できるよう明確なメッセージを発していただくことである。各地の保健所・医療機関の逼迫状況をリアルに伝えていただき、専門家の助言も受けながら、今日のフェーズにおける個々人の行動についての正確なメッセージを発し、リスクコミュニケーションを行っていた だきたい。
 そのことなしに今日の混乱を収めることはできず、医療機関や保健所の逼迫の緩和 はいささかも望めないと考える。

  以 上