今回は「皆さんの質問にお答えします。」の第三弾です。
今回はさっそく本題に入りましょう。
まず一つ目の質問です。
Q. 実際、病院にくる女性(特に若い女性のこと)を先生はどう思うのか正直にお聞きしたいです。あと、肛門科に行く前に患者側が気を付けることが知りたいです。シャワーを浴びてくるとか、何か気を付けることがあれば。
A. この質問の答えは、「どのような患者さんが来てもあまり意識することはありません。」です。
渡邉医院に初めて受診される方は、最初は、「肛門科は年配の男性がたくさん受診されているだろう。」と思われています。でもそんなことはありません。小さな赤ちゃんから、高齢の方まで様々な世代の患者さんが受診されます。若い女性も多く受診されます。
肛門科は男性の患者さんが多いと思っている方も多いですが、女性の方も多く、男性と女性の患者さんの割合は半々です。また女性の中でも若い女性の患者さんが多いです。ですから、質問のように若い女性が来ても意識はしません。ただ男性、女性でなりやすい病気に違いがあります。若い男性が急に肛門が腫れて痛くなったという症状で受診された場合は、肛門周囲膿瘍や血栓性外痔核を考えます。反対に若い女性の場合は、血栓外痔核や裂肛などを頭に思い浮かべます。ですから診察室に入ってこられた患者さんが男性なのか女性なのか、また若い方か年配の方かで頭に思い浮かべる病気は違ってきます。そういう意味で、どのような患者さんが診察室に入ってこられるかを意識してみます。また、入ってこられる際の動きや、椅子に座られているときの姿も意識します。
二つ目の質問は、
Q. 先生が診察してテンションの上がる痔はありますか?こりゃ大物だとか、可哀そうにと思うのか?ただただ無なのか?
A. なかなか難しい質問です。
内痔核の場合、手術をしなければならない内痔核は排便時に脱出してきて、押し込まなければならない内痔核です。でも手術をしなければならない内痔核も患者さんそれぞれ様々な性状をしています。内痔核の大きさはそれほどでもないのですがやはり排便時に脱出して押し込まなければならない内痔核もあれば、本当に大きな内痔核が脱出してくる患者さんもいます。いずれの患者さんも手術が必要なのですが、本当に大きな内痔核が出てくる患者さんは、「毎回排便時に出てきて戻すのが大変そうだなあ。」とか、血栓が詰まって脱出したままになった嵌頓痔核の場合は、「痛みが強くてつらいだろうなあ。」と思います。そういった状態の患者さんの内痔核を診ると、「よし!しっかり治して、スッキリしてもらおう。」と思います。ただ内痔核の大きさに関係なく、全ての患者さんは嫌な症状を取り除きたいと思っています。そういった症状をしっかり取り除こうと思います。
内痔核に関してはどのような大きさの内痔核であっても同じような大きさ、形の傷で治すことができます。
また痔瘻など、瘻管が複雑な痔瘻の患者さんを診た時も、やはり「これまでつらかったろうなあ。」と思います。ただ痔瘻の場合は、その痔瘻によって手術が違ってきます。瘻管の走行や深さ等、患者さんによってみんな違います。ですから複雑な痔瘻を診た時は、「どのように手術をしようか。」と考えます。
やはり診察の際に手術が必要な患者さんを診た時には、「どのように手術をしようか。」とまずは考えます。
三つ目の質問です。
Q. 切れ痔を繰り返します。ひどくなっては薬で治して、またなって・・・切れ痔とお別れする方法はありますか?
- A. 切れ痔、裂肛の原因はやはり排便の状態です。便が硬かったり、反対に下痢の時も傷がつきます。ですから裂肛を治して、また裂肛にならないようにするにはやはり排便の状態を良くすることが一番です。排便の状態を良くすることで、大抵の裂肛は治っていきます。
裂肛になっても軟膏を使って症状が取れた時は治っているということです。転んで怪我と似ています。転ばないようにすれば傷は治っていくと一緒で、軟膏をつけているうちに排便時の痛みがなくなれば治っているということです。ただ、切れたり治ったりを繰り返すことで、だんだん痛みによって内肛門括約筋の緊張が強くなって、緊張が強くなることで裂肛は治り難くくなっていきます。こうなって、慢性の裂肛になった場合、裂肛の根治術が必要になります。裂肛の手術は、今ある痛みを取り除き、「リセットする。」という手術です。ですから手術することで痛みは楽になります。
さて、今回最後の四つ目の質問です。
- Q. いぼ痔が大きくなった時、中身は何がはいっているのか?
A. 中身は血液です。内痔核は肛門の出口から約2~3㎝奥の皮膚の部分と直腸の粘膜との境目の歯状線より少し奥の痔静脈叢の血液の流れが悪くなった静脈瘤です。ですから大きくなった内痔核の中身は血液です。ですから内痔核が排便時に脱出してそのままにしておくと、動脈からどんどん内痔核に血液が流れ込む一方で、静脈が肛門で締められているため流れがさらに悪くなり腫れてしまいます。内痔核が外に出てしまったときは、中に戻すことで血流が良くなり腫れは少し引きます。
ただ長年にわたって内痔核が脱出したり押し込んだりしていくうちに炎症を起こし線維化することもあります。
今回の質問への回答はここまでにして、次回のPart4を最終回にしたいと思います。