9月も後5日間。今日は日中も涼しく、過ごしやすくなってきました。朝夕は上着があってもいいくらいです。季節は変わらず進んでいくのですね。
今週は連休や祝日も週の真ん中にあって、何か何曜日かわからない1週間でした。
さて、今日外来に子供の痔瘻の患者さんが来られました。症状は、お子さんが「お尻が痒い。」と時々言うとのことでした。診察してみると、肛門の左側に乳児痔瘻の治癒した後がありました。周りの皮膚と比べると、少し硬さはありましたが、炎症やましてや排膿はありません。以前乳児痔瘻になったのが治っている後です。これが気になるのかなあと思いました。
乳児痔瘻は原因は大人の痔瘻と同じです。乳児の時、まだ免疫機能が不十分なときに大人と一緒で、肛門腺に細菌感染を起こして肛門周囲膿瘍から始まります。大人の場合は肛門周囲膿瘍になると切開排膿が必要ですが、乳児の場合は抗生剤の投与などで軽快していくことがあります。ただ、腫れが強い場合は、大人と同じように切開して膿を出す必要があります。大人は肛門の6時の方向、後ろ側がほとんどですが、乳児の場合は肛門の左右に発生することが多いです。そして男の子に多いです。
大人の場合は、出来上がった肛門に痔瘻ができるので、痔瘻をスッキリ治そうとすると、痔瘻根治術を行う必要があります。でも乳児の痔瘻は少し違います。大人と違って、肛門もこれから成長していきます。肛門周囲膿瘍から痔瘻に移行しても、その肛門がだんだん成長していくうちに自然に痔瘻が治っていくことが多いです。ですから直ぐに痔瘻根治術が必要ということではありません。
お母さんは、子供のこと。とても心配かもしれませんが焦らずに経過を見ていくと自然に治っていきます。心配しないでくださいね。時々お母さんが、「おじいさん、おばあさんが、本当に大丈夫なのかと言ってきます。」という方がいらっしゃいます。そんな時は、「おじいさんおばあさんを連れてきてください。私がお話しします。」と言っています。
さて、中には乳児痔瘻が自然治癒せずに痔瘻のままになることもあります。それでも直ぐに手術を行うことはありません。大きくなって症状が続くようならその時に痔瘻根治術を行えばいいと思います。
赤ちゃんも乳児痔瘻以外にも肛門の病気になりことがあります。例えば裂肛です。硬い便が出たり、反対に緩い便が出ても切れてしまうことがあります。赤ちゃんが裂肛になった場合は、排便時に痛みがあるので、排便時に泣いて痛みを訴えます。でも赤ちゃんの慢性裂肛はありません。やはり肛門が成長していくからです。便の状態を良くしてあげるだけで裂肛は良くなっていきます。また裂肛が原因で子供にも皮垂、スキンタグができることがあります。この皮垂を気にされるお母さんもいらっしゃいます。でも皮垂も、肛門がだんだん成長していくと、肛門に対して相対的に皮垂が小さくなっていくので気にならないようになっていきます。「切除しなくてもいいのですか?」と心配されますが、その必要はありません。
また、排便の状態が緩かったりすると、肛門の周囲がただれて皮膚炎になることがあります。この場合も、まずは便の調整をしてあげて、軟膏をつけてもらうと治っていきます。
子供の病気。親はとても心配になることはよくわかります。でも心配しないでくださいね。まずは便の状態を良くしてあげることで、よくなっていきます。また肛門も子供の成長と一緒で成長していきます。たいていの場合は自然に治っていきます。
心配なことがあれば、肛門科を受診して相談してみて下さいね。