渡邉医院

76回「原爆の日」を迎えて

 広島に原爆が投下されのは194586日、午前815分でした。そして今日、76年を迎えます。私たちは、今一度「核兵器のない平和な社会」を目指すことを誓わなければならないと思います。このことが、原爆投下で亡くなられた方や被爆され今も尚苦しんでおられる方々への私たちがしなければならないことだと思います。

 今年の122日、核兵器禁止条約が発効されました。このことは私たち市民による長年にわたる地道な運動の成果だと思います。

 各国の核兵器禁止条約の署名・批准の状況は、今年の79日の時点で署名国が86か国、批准国が55か国です条約発効に必要な批准国は50か国。これを上回ったので、発行に至りました。残念ですが、世界で唯一被爆国の日本はこの署名も批准もしていません。私たちは日本がしっかり世界の先頭に立って、核兵器のない平和な社会へ向けての取り組みをし、世界に発信していかなければならないと思います。今後の私たちの取り組みは、そのことを実現させることだと思います。

 さて、核兵器禁止条約は2017年の77日に国連で122か国の賛成で採択されました。

 核兵器禁止条約は前文と全21条から成り立っています。

条約の前文には、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)と核実験の影響を被った被災者の受け入れがたい苦悩と被害に留意し」という一節が明記されました。

また、第1条で、核兵器にかかわる主要な活動のほとんどを明確に非合法化しています。

その内容は、

核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、移転又は管理の移転

 移転又は管理の移転の受領、使用と威嚇、以上の禁止活動への支援、奨励、

 勧誘、禁止活動への支援、奨励、勧誘の受領、自国領域への核兵器の配備、

 設置、展開の許可

が明確に禁止されています。

そして、第6条 被害者に対する支援及び環境の修復という条文があります。

その1項に

締約国は、自国の管轄下において核兵器の使用または実験によって影響を受けた個人に関して、適応可能な国際人道法及び国際人権法に従って、差別することなく、医療、機能回復訓練及び心理的支援を含む年齢及び性別に配慮した支援を十分に提供し、その社会的かつ経済的な包摂を提供する。

とあります。

日本がこの条約に参加すれば、広島・長崎の被爆者への援護施策を手厚く行うことが条約上の義務として国際的に求められることになります。

 「黒い雨」による健康被害をめぐる訴訟について、729日に広島高等裁判所による714日の「被爆者を広く認定する判断を示して原告の住民全員84人(うち14名死亡)を被爆者と認める」判決が確定しました。

 被爆者の方々の高齢化は進み、平均年齢は約84歳となっています。国はできるだけ早くこれまでの援護制度を見直し、核兵器禁止条約にも明記してあるように、被爆者の方々の救済を図らなければならないと思います。

 新型コロナウイルスの感染拡大の中、なかなか市民による反核平和への取り組みができていない状況にあります。でもそのような中でも、今、広島で「原水爆禁止2021年世界大会」が開催されています。

 私たちは、コロナ禍だからこそ、「核兵器のない平和な社会」を求めて、取り組みを強めていかなければならないと思います。

 さて、今年の日本大腸肛門病学会は広島で開催されます。新型コロナウイルス感染拡大のため、WEBでの学会になります。

 新型コロナウイルスの感染拡大する前から決まっていたことです。学会の開催地は2年前には決まっています。

 広島で開催が決まった時は、久しぶりの広島。原爆ドームや広島平和記念資料館に行こうと決めていました。今年はこんな状況の中、広島に行くことは断念しました。新型コロナウイルスの感染拡大が収束して、なんの気兼ねなく旅行ができる時が来たら、広島に行きたいと思います。そして父がいた、江田島の旧海軍兵学校にも訪れ、もう一度父が経験した終戦を肌で感じ、反核平和への思いを強めたいと思います。