渡邉医院

「奏(かなで)」を聴きながら。

 今回は久しぶりに、私の好きな歌を紹介したいと思います。
 その曲は「奏(かなで)」です。

 「奏(かなで)」は2004310日にスキマスイッチが発売した2枚目のシングルです。

 最初に「奏(かなで)を知ったのはJUJUがカバーして歌った「奏(かなで)」でした。
 別れの歌ですが、それでもどこにいても二人は歌で繋がっている。そんな内容の歌です。来週から3月。別れと出会いの季節です。今年も新型コロナウイルスの影響で、いつもとは違う様々な別れと出会いがあると思います。そんな時にいつまでもお互いが繋がっていられる歌があるといいですね。いつかまた会える日までの心の支えに。

 今回久しぶりに、JUJUの歌う「奏(かなで)」を聴きながらふと思ったことがあります。歌の内容とは全く違うことです。

 私の母は認知症。随分進んできていると思います。
 そんな母と関わりあう中で、初めの頃私は何とか母を私の世界に戻そうとしていました。そうするとどうしても「あれはダメ、これはダメ」と母の行動を否定すること、もっと言うと母の存在を否定してしまうことになってしまっていました。
 当初はどうして母がこんなことになってしまったんだろうという気持ちが大きかったのだと思います。そのように母を私の世界に戻そうとすることは、母にとっても私にとってもよくないことでした。
 考え方を、私が母の世界に入っていこうと変えた瞬間、これまでとは全く違った世界になりました。「あれはダメ、これはダメ」はなくなり、今の母の全てを肯定することになりました。フッと気持ちが楽になりました。
 「どうして母がこんなことになってしまったんだろう。」ではなく、母は今、母の世界で楽しく幸せに暮らしているんだ。そんな母の世界に今は私がいるんだと。きっと母にとっても私にとっても幸せな気持ちの転換だったと思います。

 ついつい相手が立ち止まった時、私たちはその手を引っ張り、また背中を押して前に進めようとしてしまいます。そのことが、相手のためになると思ってしまいがちです。
 でも、その人が立ち止まるときは、なにか立ち止まる理由がある。立ち止まった原因がなくなりまた歩き出す。それまで一緒に止まって待ってあげることが出来る。そんな気持ちを持ちたいものだと感じました。

 こんなことをJUJUの歌う「奏(かなで)」を聴きながら思い巡らせていました。

「奏(かなで)」の歌詞を紹介しますね。そして一度JUJUが歌う「奏(かなで)」を聞いてみて下さいね。

 「奏(かなで)」

改札の前つなぐ手と手 いつものざわめき、新しい風
明るく見送るはずだったのに うまく笑えずに君を見ていた

君が大人になっていくその季節が
悲しい歌で溢れないように
最後に何か君に伝えたくて
「さよなら」に代わる言葉を僕は探してた

 君の手を引くその役目が僕の使命だなんて そう思ってた
だけど今わかったんだ 僕らならもう 重ねた日々がほら、導いてくれる

君が大人になっていくその時間が
降り積もる間に僕も変わってく
たとえばそこにこんな歌があれば
ふたりはいつもどんな時もつながっていける

突然ふいに鳴り響くベルの音
焦る僕 解ける手 離れてく君
夢中で呼び止めて 抱き締めたんだ
君がどこに行ったって僕の声で守るよ

君が僕の前に現れた日から
何もかもが違くみえたんだ
朝も光も涙も、歌う声も
君が輝きをくれたんだ

抑えきれない思いをこの声に乗せて
遠く君の街へ届けよう
たとえばそれがこんな歌だったら
ぼくらは何処にいたとしてもつながっていける