2月が終わり、3月になろうとしています。まだまだ寒いですが、でもどこかに春を感じることが出来るようになってきました。
コロナのワクチン接種も医療従事者から始まってきています。過度な期待はしてはいけませんが、新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けての一つの手段になります。私たちは、通常の感染対策をしっかりとって、日々の生活を送っていかなければなりません。
大腸内視鏡検査で痔があると言われた。
さて、数日前にこんな訴えで受診された患者さんがいました。時々同じような相談があります。それは、
「大腸内視鏡検査をしたのですが、その時に痔がありますねと言われたけれども大丈夫でしょうか?私は自覚症状はないのですが。」
という質問と相談です。
大腸内視鏡検査の際に、医師から「痔がありますね。」と言われたら、これまで自分には自覚症状が無くても「えっ、痔があるの?」と不安になります。そしてその不安をずっと持ち続けてしまう患者さんもいます。
実際に、大腸内視鏡検査を受けた方で、痔を持っている患者さんもいます。でもその時は以前から出血や腫れ、そして違和感等、検査前から自分が感じる自覚症状を持っている方です。
お尻の病気は必ず自覚症状がある。
肛門の病気は必ず、出血や腫れ、痛みなどの自覚症状があります。なんの症状もないのに気が付いたら痔が悪くなっているということは有りません。例えば排便時に出血した。痔が悪くなっていくのであれば、出血の頻度が段々頻回になる。また出血の量も増えていくなど、自覚症状がでて、痔が悪くなると、その症状が強くなっていきます。ですから自分の感じる症状がなく、気が付いたらいつの間にか痔がすごく悪くなっているということは有りません。
大腸内視鏡検査の時に「痔がありますね。」と言われるのは。
ではなぜ、自分の感じる自覚症状が無いのに、大腸内視鏡検査の際に「痔がありますね。」と言われてしまうかです。
その一番の原因は大腸内視鏡検査をする前に下剤を飲んで、何回も、何回も下痢をするところにあります。
大腸内視鏡検査をする際に大腸に便などが残っていると、せっかく検査をするのに、便で観察できないところがあると、もしその部分に何か病変があった場合、その病変を見逃してしまうことがあります。
ですから、大腸内視鏡検査をする際は、大腸に便などが全く残っていない状態にしなければなりません。そのためにとても辛いのですが、下剤をたくさん飲んで、スッキリ便を出すことになります。この際に日常ではない、頻回の下痢になります。
頻回の下痢が一時的に肛門を悪くする。
おそらく、大腸内視鏡検査を経験した方は、頻回の下痢のために、肛門が痛かったと思います。大腸内視鏡検査のために仕方のないことですが、頻回の下痢で肛門の状態は悪くなります。内痔核が出来る静脈が頻回の下痢で鬱血したり、頻回の下痢で肛門上皮に傷がついて裂肛になてしまうことも有ると思います
でも通常の便に戻り、日常に戻ることで治っていきます。また、入浴なども有効です。
このように頻回の下痢は、この大腸内視鏡検査の時だけです。ですから、検査の際に医師から「痔がありますね。」と言われても心配はいりません。
「そりゃそうだろう。あんなに検査前に頻回の下痢をしたんだから、一時的に肛門の具合も悪くなるよ。検査の後ゆっくりお風呂に入って温めて、便の具合がもとに戻れば、直ぐに治ってしまうよ。」と気楽に構えて下さいね。
もともと出血などの痔の症状がある方や、やっぱり自覚症状はないけれども「痔がありますね。」と言われたことが心配でしたら遠慮なく肛門科を受診して下さいね。