渡邉医院

コロナワクチンの接種は任意接種です。義務ではありません。

今日は、先日2月13日に開催された「ひとりぼっちをつくらない社会づくり」というシンポジウムに参加して、そこでお話した内容の一部、はじめの部分を紹介します。これから始まろうとしているコロナワクチンに関しての内容です。
 コロナワクチンは任意接種です。義務ではありません。接種する、接種しないの自分の判断が尊重されなければならないと思います。
ではお話した内容の一部を紹介します。またそれ以外の内容はまた改めて紹介しますね。

 さて、緊急事態宣言が37日までに延長され、感染者数は減少傾向にあります。でも、亡くなられる方は増加しています。まだまだ入院の病床は逼迫した状態にあります。このような入院の病床が逼迫している中、自宅療養、施設での療養、そして入院調整中の患者さんが多くなってきています。まだまだ新型コロナウイルスの収束が見えない中、医療体制の逼迫は解消されないのではないかと思います。

 そのような中、いよいよ2月の下旬から、ワクチンの接種が始まろうとしています。
 感染の拡大を抑え、感染予防に関して期待されています。そして、ワクチンの接種によって、すべてが解決するような、そういった雰囲気が広がっています。でもワクチン接種に過度な期待をしてはいけないのではないかとも思います。やはり今まで私たちが行ってきた手洗いやうがい、そしてマスクの着用などの基本的な感染予防が十分にできていることが大前提になります。

 またワクチン接種に当たって懸念することも多くあります。ワクチンの安全性、そして効果です。まだまだ私たちに十分な情報が示されていない部分があります。そのような中で、ワクチンの接種が始まっていきます。

 先日、保険医協会の代議委員会で、今回のコロナワクチンに関してののアンケートをとりました。その結果は、安全性に不安を感じるという回答が75%、しかしその一方で、多くの医師が不安を感じている中、積極的に接種するとの回答が、73%です。この結果がコロナワクチン接種への期待と不安が入り乱れているという現状を表していると思います。そしてそのような状況の中で、ワクチン接種が始まっていきます。

 まずは、2月の下旬から、医療従事者の「先行接種」が始まります。これは言ってみれば治験です。先行接種した人のその後の健康状態をチェックして、それをもとに次に進んでいきます。医療従事者、そして高齢者など、さらに一般の人たちの順でワクチンが接種されていきます。

 ワクチン接種に水を注すわけではありませんが、本当に今の状況のままでワクチン接種をすすめていいのかと思います。

 またコロナワクチンは任意接種です。受けなければならない義務ではありません。
 ですから、接種する人としない人は自分の意志、判断で決めます。今、ワクチンに関しての情報が十分に伝えられていないなか、ワクチンを接種する人としない人との間に分断が起きるのではないかと心配です。接種しない人への誹謗中傷、そして差別。今の状況では、かなりの高い確率でこのことが起きてしまうと思っています。とても心配です。

 ですから、国はワクチン接種において、国民の分断が起きないように、このことに関してのリスクコミュニケーションをしっかりとるよう求めていきたいです。そして、それぞれのひとたちの、ワクチンを接種する、接種しないのという選択を尊重する。そのような状況の中でワクチン接種が出来るように環境を整えて欲しいと思います。新型コロナウイルスに対して、ともに戦っていかなければならない人々の分断を生んではいけません。そしてそのことで「ひとりぼっちを作らない」ようにしていかなければなりません。