明日で、1月が終わります。今日はとても寒い一日寒波が京都を襲いました。
緊急事態宣言の起源の2月7日が近づいています。今後どうなるか見通しがつかない状況です。
医療において今、私たちが問題としているのが新型コロナウイルスに感染され、自宅療養、入院調整中の患者さんへの医療です。
国の通知では、新型コロナ陽性になった患者さんの健康観察は保健所が担うことになっています。そのため、医師の診療が必要だと判断する場合には保健所の求めに応じて医師が診療をするという仕組みになっています。しかしそもそも二類感染症は入院での治療が基本であり、自宅療養や入院調整中は例外的なものであったということです。ですから本来は新型コロナウイルスに感染した患者さんは入院背の治療になります。でも現在入院できる病床がなく、自宅療養や入院調整中となってしまっています。
この自宅療養や入院調整中の患者さんへの医療が十分にできていない状況にあります。最近、自宅療養中の患者さんが急変して亡くなったというニュースを良く聞く様になりました。
このような事例があります。ある先生の基礎疾患がある90歳代の患者さんが新型コロナ陽性となり、入院調整が進まない中、その先生が往診されていました。そうしなければ生命が守れないからです。そして、スタッフの方が感染された。
本来は保健所の責任のもとに生命・健康を守られるはずが、それが出来ずに、地域の医師が医療を行った結果、スタッフのかたが感染された。
こうした事例を考えるとき、本来の責任の所在は明らかにしておかねばならないと思います。そして、そのことで診療所を閉鎖した場合の補償は? スタッフの健康被害への補償は? 様々な課題が考えられます。
私たち医療従事者は自宅療養中の患者さんや入院調整中の患者さんの命を守らなければなりません。でも医療従事者の使命感だけではだめだと思います。やはり国や自治体の責任ある体制を作っていかなければなりません。
入院したくてもできない患者さん、入院しなければならない患者さんが自宅で療養している、または入院調整中である。医療を必要としている患者さんに医療がとどけられない。この現実を早く解消しなければならないと思います。
このようなことをふまえ、京都府保険協会は「京都府における病床逼迫に対する要請書」を提出しました。その内容を紹介します。
京都府における病床逼迫に対する要請書
京都府における新型コロナウイルス感染症患者の入院受け入れ態勢は逼迫を極めています。府はこれまで、「感染者の受入可能な医療機関等」の「確保病床」は 720 床(うち重症 86 床、高度重症 30 床)であると広報されてきました。しかしこのほど「すぐに使用できる病床 330 床「うち高度重症病床 38 床」(1月 17 日現在)と明らかにされました。私たちはこの発表を聞き、「やはりそうだったのか」と受け止めました。いかに病床を確保しようとも、現場において医療スタッフが不足していれば、受入が不可能 であるのは当たり前です。今回の事態を招いたものが、歴史的な医師数抑制策、医療費抑制策にあることは明らかでしょう。あらためて国および地方自治体は自らの政策を検証し、新興感染症のパンデミックに耐え得る医療政策とそれに基づく提供体制の確立を目指すべきです。
しかしながら、今日の病床逼迫はそのような根本解決を待っていられるような生易しいものではありません。貴職におかれましてはさらなるご尽力を頂き、さらなる受入病床の確保を進めていただくよう、心からお願い申し上げます。
今や新型コロナウイルス感染症患者の病床確保は京都府内の入院医療機関が総がか りで取り組むべき課題であり、医療機関同士の連携体制構築を急ぐ必要があります。
また、病床逼迫により、宿泊療養施設に収容される人数も増加し、収容限界にきています。その結果、自宅療養、自宅待機の人数 が急激に増えており、このような状況下の患者さんの急変による死亡が全国的に発生しております。我々は入院できない患者の急変への対応が喫緊の課題と考えております。
つきましては下記の点を緊急に要請いたします。
何卒、よろしくお願いいたします。
記
1. 京都府としての確保目標値の明確化と府民への情報提供を
(1) 重症・中等症・軽症それぞれについて、それぞれの確保目標数値を示すこと。
(2) 現実に受入可能な病床数とそれに対しての入院割合を日々、公表すること 。
2. 積極的な受入病床確保に向けた要請と連携体制構築への支援を
(1) 府内各病院に対し、さらなる受入病床の確保に向け、京都府としての積極的に要 請を行うこと。
(2) 医療機関がお互いの協力・支援によって病床確保や役割分担をすすめやすくするよう府の呼びかけによって連携体制づくりを支援すること。また、入院医療コント ロールセンターにおいては、重症を脱した患者の受入先の確保についても調整す る役割を担うこと
〈入院医療機関の連携のあり方・例〉
・新型コロナウイルス感染症患者について、病院機能に応じ、重症・中等症・軽症患 者の受入何れについても受入先を1床でも2床でも確保していただく
・新型コロナウイルス感染症患者の受入が難しい病院は、上記に伴って逼迫する他 の通常の疾患の入院患者についての受入を担っていただく
・重症患者を受け入れる医療機関において、当該患者が重症期を脱した場合には、他の医療機関へスムーズに転院できるようにする
・医療機関同士の医師・看護師はじめ、医療スタッフの応援派遣を可能にする
(3) 連携に向け、各二次医療圏(京都市内においては行政区)単位で、地域ごとに全病 院の役割分担を明らかにし、カバー体制確立に向けて協議する 場として、緊急に「新 型コロナ対応地域医療 連携体制調整会議」(仮称)を開催すること。尚、同会議に は、京都府の入院医療コントロールセンター、全保健所の医師も参加 すること
3.施設療養、自宅療養においてより質の高い医療とケアが提供できるよう対応 を強化すること
(1) 病床逼迫 の状態 から今後も予想される自宅療養者の人 数の見通しを明ら かにすること。同時に、自宅療養者への医療的支援策を取りまとめること。
(2) 自宅待機及び自宅療養は家庭内感染を蔓延させる。その予防と急変に備え、宿泊療養施設の確保目標数を示し、 急いで拡充すること
(3) 宿泊療養施設への医師・看護師体制の出務状況を公表するとともに、開業医に対し、より広く協力を訴えるとともに十分な財政補償を行うこと
(4) 遠隔診療は、問診のみに頼るため病態把握に限界がある。自宅療養される方の増加、入院調整中の方の増加とその長期化に鑑み、健康観察体制を強化し、医学的な状態把握に努めること。この点では地区医師会など地域の医療機関の協力を得ること。
(5) 自宅若しくは施設療養において、急変への予測と迅速な対応を可能とするため、 医師の判断でモニタリングの充実と迅速な臨床検査および画像診断を可能と する体制の整備を行うこと
4.病院内クラスター発生時の減収補填の仕組みの創設を各入院医療機関が、全力を挙げて患者受入を行った結果、起こり得る院内クラスター発生に伴う医療機能の縮小・閉鎖、それに伴う減収に対し、公費で補填する仕組みを創設すること
以 上