今回は、ドラマがどんなふうに撮影されていったかをお話しますね。
まず最初に、以前にお話しましたように、私のところに町医者とはどんなものかとか、親から子供へと診療所を継承するにあたって、どのようなことを感じたかなどの質問から始まりました。そういった質問を通じて、おそらく「町医者」のイメージ作りをされたのだと思います。
そして演出の方と美術の方が渡邉医院に来られ、祖父の時代から使っているカルテ台や器械棚、机などを参考のために写真を撮っていかれました。また、渡邉医院で最も古い「肛門科」の看板や、診察室や薬棚など診察室なども撮影されました。
また、実際に使っているカルテ用紙や問診表なども参考にされていました。
ドラマの中での佐々木蔵之介の診療所も町家で、そして昔ながらの診療所をイメージされているようでした。
実際の撮影現場で、それらのセットを美術の方が見せて下さいました。
昔ながらの時代劇に出てきそうな薬棚や診察室。また、レトロ風の薬袋なども内服用と外用薬様に分けて作ってありました。また、「肛門科」の看板を参考に「柿木医院」の看板も作ってありました。
渡邉医院で使っている古きカルテ台や器械棚、そして看板が役に立ったようです。
ドラマの診察室は少し小さい感じですが、いい雰囲気を出していました。もしドラマを観られるときはチャックしてみて下さいね。
このように、いろんなものを、実際のものを参考にして、ドラマのイメージにあったセットを美術の方々が作っていくんだなあと思います。
さて、実際の撮影ですが、やはり待ち時間が長いです。本番の撮影が始まるまで何回も何回もチェックしていきます。
まず、演出のスタッフの方が、本番時の俳優さんがいる位置にスタンバイして、光の当たり具合、影の出来具合をまずチェックします。ある程度準備をしてから、今度は実際に俳優の方がスタンバイします。そして光の当たり具合や影の付き具合、そして光の柔らかさ等本当に細かくチェックされていきます
ライトを少しずらしてみたり、そのために反射板などを動かしたり、布などで光の柔らかさを出したり、本当にとことんこだわって光と影を出しているんだなあと感じました。
居間で空吉(佐々木蔵之介さん)と娘の京(藤野涼子さん)と会話するシーンでは、空吉が居間に入ってくるシーンを空吉だけで何回か撮影。居間に座って京と会話するシーンも、まずは京の方から空吉の撮影、そして、次は空吉の方から京を撮影。そのたびに光の当たり具合、影の出来具合などを細かくチェックしての撮影。そして全体だけでなく手元だけの撮影。
一つのシーンを撮るのも、1回だけではなく、何回も何回も取り直してそのたびに光の当たり具合のチェック。
気の遠くなる作業を、それぞれの専門職の技術を駆使して撮影していきます。そうして撮影した細切れの映像を、最終的にはあたかも一連の撮影の様に途切れがわからないように違和感のない映像に編集していく。凄い仕事です。
また風呂上がりのイメージを出すために、メイク担当の方が、空吉の髪の毛をスプレーで濡らしていく。そのスプレーの中身もただの水ではないようなふんいきでした。
邪魔にならないように見ているのですが、どんどん撮影に入り込んでいってしまいました。
また撮影の際も、その場でどんどん変わっていきます。立って話をする場面が座っての撮影になったり。その場その場での状況に合わせて、最もいい状況を作り上げて撮影していくんだなあと感じました。その時は俳優さんの意見も取り入れられていました。
さて、今回、医療指導をするにあたって台本をいただきました。
医療シーンでは、台本では倒れている人の治療をするシーンでは、その内容はほんの数行しか書かれていません。その台本を元に、どのような病名にしたらいいか、倒れている人をどのような姿勢で診察して、そしてどのように処置をしていくかなどを指導していくことになります。
台本の行間を考えていかなければなりません。その時にはやはりもう一度救急に関しての本を調べたりして間違いのないように伝えなければなりません。ドラマを観ている方に違和感のないようにしなければなりません。緊張します。
少しでも撮影現場の雰囲気が伝わればと思いますがどうでしょう?
11月後半から12月頭にかけての撮影。とても楽しい、そして勉強になる経験をさせていただきました。
またこのような経験が出来ればいいなあと思います。できれば春夏バージョンが企画、撮影になればいいなと思います。またその時は撮影風景などをお話しますね!