10月に入って急に涼しくなってきました。特に今日は朝夕寒いぐらいで、上着を着たほうが良かったなあと感じるぐらいになりました。世の中がコロナ禍の中で停滞していても、季節は確実に進んでいくんですね。
今回はいくつかの質問に答えようと思います。
「鮮血がありますが病院に行った方がいいですか?」
一つ目の質問は、「鮮血がありますが病院に行った方がいいですか?」
出血があって、病院に行った方がいいですか?と聞かれると、やはり医療機関を受診して下さいという答えになります。
ただ、質問にあるように、「鮮血」の場合は肛門の出口に近いところからの出血の可能性が高いです。というのも、例えば大腸がんや憩室炎による出血、また、虚血性大腸炎やクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患などの大腸の疾患での出血の場合は排便時の鮮血というよりは、ある程度の塊となった凝血塊が出てきたり、下痢状の血便が出ることが多いです。
また、出血した血液は時間が経つと血液中の鉄成分が酸化され黒くなっていきます。ですから鮮血というよりはドロッとした血の塊が出てきたり、下痢状の出血が出てきます。
排便時の鮮血はやはり肛門の病気のことが多く、裂肛や内痔核の場合が多いです。
ただ、潰瘍性大腸炎やクローン病などで直腸炎を起こした場合は排便時に鮮血が出ることがあります。でもこういった炎症性腸新患の場合は渋り腹などのお腹の症状が出て、やはり常に便が行きたくなって、いくたびに下痢状に出血するといった症状が出ます。
裂肛や内痔核からの出血は便が出たときに、便がこすれることで出血します。常に裂肛や内痔核から出血しているわけではありません。ですから下痢状の頻回の出血にはなりません。
また、排便時に痛みがあって出血する場合は裂肛、排便時に痛みなく出血するときは内痔核です。こういった予備知識のもとで、やはり出血している原因を確定するために医療機関は受診した方がいいです。
「肛門に何かできています。悪い病気ではないでしょうか?」
二つ目の質問は、「肛門に何かできています。悪い病気ではないでしょうか?」
これもやはり診察してみないとわからないというのが答えになります。それでは質問の答えにはなりませんので、もう少し踏み込んでお答えします。肛門の外側にできるもの。触ることが出来るものとしては、血栓性外痔核、皮垂(スキンタグ)、脱出したままの内痔核。後は疣贅(いぼ)、尖圭コンジロームなどがあると思います。また肛門ポリープが肛門外に出たままになることもあります。
尖圭コンジロームはヒトパピローマウイルスによる感染症なので、早急に治療をする必要がありますが、それ以外は悪い病気ではありません。急いで治す必要はありません。尖圭コンジロームの治療ですが性感染症のことがあります。パートナーに感染していないかどうかを確認する必要があります。もしもパートナーにも尖圭コンジロームがあるのなら、一緒に治療する必要があります。治療としては以前は切除したり、レーザーで焼却したり、また液体窒素で治療をしていました。でも今はベセルナクリームという外用薬を塗ることで治すことが出来るようになってきました。
さて、血栓性外痔核は大抵に場合は血栓が詰まって腫れて痛い病気です。急に出来ます。ただ血栓が詰まっても腫れない場合もあり、この時は痛みがありません。いずれにしても手術をしなくても治っていきます。
皮垂(スキンタグ)に関しては内痔核や裂肛などが原因でできた皮膚のたるみ、シワです。悪いものではないので、必ず手術をして切除しなければならないわけではありません。でも気になるようでしたら、いつも悩んでいるのもよくないので、切除をした方がいいと思います。このことに関しては、自分がどうしたいかで決めたらいいと思います。
内痔核が出たままになっている場合は、やはりスッキリ治すというと痔核根治術が必要になります。
疣贅はイボのことです。悪いものではありません。これも気になれば切除するでいいと思います。
ただ、肛門癌という病気があります。これは肛門に腫瘍が出来たり、潰瘍が出来たりします。とても痛い病気です。この場合は直ぐに治す必要があります。肛門癌の場合は外科的切除というよりは放射線治療が有効なことが多いです。
今回はこの二つの質問で終わりますね、次回は「痔の痛みがなければ、このまま様子見でいいですか?」と「たまに切れる程度ですが、病院にいったほうがいいですか?」と「たまに痒いことがあります。痔の前兆ですか?」の質問にお答えしようと思います。