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2020.09.27

内肛門括約筋と外肛門括約筋の役割の違い

 9月ももうすぐ終わります。日中も涼しく、過ごしやすい季節になってきました。朝晩は寒いぐらいです。季節は着実に進んでいます。

 今回は、肛門の括約筋に関してお話ししようと思います。

 肛門の括約筋には内肛門括約筋と外肛門括約筋があります。それぞれ役割が違います。

 括約筋と聞くと皆さんは直ぐに「括約筋は便が漏れないように、締まる筋肉だ。」と思っているかたが多いです。でもそうゆうわけでもありません。簡単にそれぞれの括約筋の役割を話すと、内肛門括約筋は、直腸に便が来たら出しやすいように緩んでくれる筋肉。外肛門括約筋は便がしたくなったら、トイレまで我慢できるように自分の意志で絞めて、便が出ないようにする筋肉という感じです。それぞれの括約筋についてもう少し詳しくお話します。

 内肛門括約筋

 内肛門括約筋は直腸固有筋層の内輪筋という筋肉に連続している筋肉です。平滑筋という筋肉でできていて肛門管の部分で肥厚して内肛門括約筋を形成します。内肛門括約筋は自律神経で支配されていて、不随意筋です。ですから自分の意志とは関係なく収縮したり弛緩したりします。直腸に便がないときは、肛門管を閉鎖しています。肛門内圧の最大肛門静止圧(安静にしているときの肛門の圧)の約85%を構成しています。

 直腸に便などが来て、直腸に圧の刺激を加えると弛緩(緩む)します。
 ですから、直腸に便がないときは内肛門括約筋は締まっていて、直腸に便が来るとその刺激で内肛門括約筋は弛緩して、便を出しやすくします。

 例えば、直腸に便がない時に100の圧で締まっていたとします。直腸に便が来ると、便を出さなければならないので、50まで圧が下がったとしましょう。そうすると50以上の圧力をかけると便が出ます。直腸の便が全部出てしまうと、直腸は空になるのでまた内肛門括約筋は100まで締まります。

 このように内肛門括約筋は便が出やすくするように、直腸に便が来ると緩んでくれる筋肉です。
 直腸に着た便が硬いと、内肛門括約筋が緩んでいても頑張っても出ません。反対に下痢だと、括約筋が緩んでいるので、待ったなしで出てしまいます。

 よく、「便がいつの間にか出てしまっている。」とか、「いつもダラダラ便が出てきて汚れる。」とい症状で自分は括約筋が緩んでしまったのだと思っている方がいますが、そうではありません。いつも空っぽでなければならない直腸に便が残ったままになっていると、内肛門括約筋は便を出やすくするように緩んでくれています。ですから腹圧がかかった時に直腸に残っている便が勝手に出てきてしまう。内肛門括約筋は便が出るように緩んでくれている、内肛門括約筋はちゃんと機能しているということです。では何が悪いかというと、直腸に便が残っているということが便が勝手に出てしまう原因です。ですから直腸に便が残らないように、直腸にきた便がスッキリ出てしまうように、排便の状態を良くすることで、この嫌な症状は解消されます。

 外肛門括約筋

 外肛門括約筋は、内肛門括約筋の外側を筒の様に包み込んでいる筋肉です。筋肉の種類は横紋筋で随意筋でです。ですから自分の意志で外肛門括約筋は絞めることが出来ます。神経も自律神経ではなく、体制神経です。

 外肛門括約筋は三つに分かれています。深外括約筋+恥骨直腸筋と浅外括約筋、そして皮下外括約筋です。

 外肛門括約筋は随意筋なので自分の意志で絞めることが出来ます。ですから、直腸に便が来て、便意を感じると、内肛門括約筋が緩んで便が出やすいようにしてくれます。そしてトイレまで我慢するために自分の意志で外肛門括約筋を絞めるという具合です。

 でも肛門は便を出すところです、出るのと我慢するのでは出る方がやはり勝ちます。ですから便がしたくなったら、我慢することなくトイレに行って出すことが大事です。

 またいつの間にか便が出る、勝手に便が漏れるといった症状がある方は、直腸に便が残らないようにスッキリ便を出すように排便の調整をすることが大事になります。

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