ここ数回にわたり、いろんな質問を受けたことに関しての回答に関してお話しています。皆さんいろんなことに疑問を持ったり、悩んでられることが良くわかります。
今回の質問は、「痔になりやすい体質や生活習慣はありますか?辛いものは良くないとか聞きますが…」という質問です。
痔になる原因の一番の原因は排便習慣だと思います。毎日便が出るではなく、排便時にグッと頑張っている時間が長いことが一番の原因だと思います。場合によってはこれが肛門の病気になるすべてと言っていいかもしれません。便が硬くて便秘の時も頑張っている時間が長くなります、反対に下痢の時も同じように、またはそれ以上に頑張っている時間が長くなります。排便の状態が一番の痔になる原因だと思います。
遺伝は無いと思います。時々患者さんに「痔って遺伝するのですか?親も痔なんですけど。」と聞かれることがあります。でも、「痔」は遺伝する病気ではありません。ただ、姿かたちや顔が親に似るように、お尻や肛門の具合は親に似る可能性はあります。でもこれだけで「痔」になるわけではありません。やはり排便習慣だと思います。ですから、食生活などの生活習慣が親と似ていると、親子で「痔」になる可能性はあるのかなあと思います。
また、体質ではありませんが、やはりストレスがかかると下痢や便秘になってしまいます。ストレスに敏感で、排便の状態が悪くなる傾向の人は、ストレスによって肛門の具合が悪くなる可能性はあります。
ご質問の中に「辛いものは良くないとか聞きますが…」と言った質問があります。私が思うには、食べ物や飲み物に関しては直接「痔」の原因にはならないと考えています。
辛いものや刺激物が直接「痔」の原因になることは有りません。こんな話を患者さんから聞きます。
「お刺身を食べるときにワサビを付けたほうが美味しいけど我慢しています。」とか、「おうどんやおそばに七味をかけると美味しいのに我慢している。」、「辛いものが好きだけど最近は我慢して食べないようにしている。」と。好きなものを美味しく食べれない。このことはとても辛いことだと思います。こういったストレスもよくないなあと思います。食べたいものを美味しく食べる。このこはが大事なことだと思います。
以前、肛門科の先生が上手いことを言ったことを思い出します。「肛門は、お尻に唇が付いているようなものだ。」と。辛いものを食べるときに唇がびりびりする。これと一緒で、辛いものを食べた後、排便時に肛門がびりびりするのは、肛門が辛いと感じているだけで、肛門の具合が悪くなったわけではありません。アルコールも一緒です。アルコールが直接「痔」の原因にはならないと思います。美味しく楽しく飲んでいる場合は問題はないと思います。
ただ辛いものや刺激物を食べると、下痢や便秘などの便の状態が悪くなるのであればその便の調整をしたらいいと思います。アルコールも同じです。飲みすぎると下痢になったり便の調子が悪くなることがあります。この排便の状態が悪くなることが肛門の病気に悪影響を与えます。
内痔核の状態が悪い時にアルコールを飲みすぎると鬱血が強くなって出血が多かったり、症状を悪くすることは有ります。
このように辛いものなどの刺激物やアルコールは、直接「痔」の原因にはなりません。そのことで排便の状態が悪くなるようであれば、排便の状態を良くするようにすれば大丈夫です。アルコールも飲みすぎるとよくありません。このことは「痔」に限ったことではありません。飲みすぎに注意して美味しく楽しく飲む分にはストレスも解消されていいのではないかと思います。
アルコールも飲み始めるとアルコールだけになってしまう方もいます。これでは便の状態も、また健康にもよくありません。しっかり食べて楽しく美味しく飲むことが大事です。
食べ物に関しても、基本にはバランスの取れた食事をすること。このことはとても大切です。偏った食生活は「痔」だけでなく健康に良くありません。そういった基本的なところはしっかりおさえててもらい、自分が好きなもの、食べたいものを美味しく食べる。このことがストレスも解消され、「痔」にもいい効果があると思います。
渡邉医院のレシピなども参考にして下さいね。