今回は、「市販の薬の効果はどの程度期待できるのでしょうか?」という質問についてお話します。
肛門の病気の初期の段階でしたら市販の外用薬で十分に治っていくと思います。
ただこれは内痔核や裂肛の場合です。ですから、出血や痛みなどの自分の症状から、ある程度病名を判断することが必要です。場合によっては薬局の方に症状を話して相談することもいいと思います。また、自分の症状から病名を判断する手助けに、前回のブログを参考にして下さいね。
でも前回お話したように、市販の外用薬を使っていても一向に症状が良くならなかったり、場合によっては症状が悪化する場合には迷わず医療機関を受診して下さい。期間としては1週間長くても2週間程度かなあと思います。また市販の外用薬を買う場合は、薬の選択は、内痔核の場合は軟膏もしくは座薬でいいと思います。裂肛の場合はどちらかというと、軟膏の方がいいと思います。そして裂肛を治すのに軟膏をつけるときは、軟膏をつけた指を少し(第一関節程度)肛門の中に入れて、肛門の緊張をとるように塗ると有効です。
裂肛は痛みのために内肛門括約筋の緊張が強くなってしまうのが悪化していく原因です。括約筋の緊張をとって柔らかくしてあげることが大切です。
柔軟体操のような感じです。体に硬い時に柔軟体操をすると体が柔らかくなって柔軟体操をしても痛くなくなると似ています。肛門の括約筋の緊張をとって、柔らかく広がるようにすると裂肛は治っていきます。
市販の軟膏など、病気によって軟膏の選択と、その軟膏の付け方が大事です。
直ぐに医療機関を受診して欲しいのは肛門周囲膿瘍です。肛門周囲膿瘍の場合は、切開して膿を出す必要があります。市販の薬では治りません
膿瘍がどんどん広がり痛みも強くなりますし、場合によっては膿瘍が深い部分にまで広がったり、38℃以上の熱が出ることもあります。直ぐに肛門科を受診して切開して膿を出してもらって下さい。
もう一つ肛門が急に痛くなる病気に血栓性外痔核があります。
血栓性外痔核の場合は血栓が詰まって腫れて痛い病気です。基本は痛みを我慢すると腫れが引いて痛みが楽になり、血栓は溶けて吸収して治っていきます。血栓性外痔核の治療の目的は痛みをとることです。
市販の痔の軟膏をつけるよりは、消炎鎮痛剤の座薬を使うことで腫れが引いて痛みが取れます。
例えば、指を挟んで血豆が出来て腫れて痛い。こんな時に痔に使う軟膏を塗らずに、消炎鎮痛剤の湿布や飲み薬を飲むと腫れが引いて痛みが取れると同じです。またゆっくりお風呂に入って温めてあげるのも、腫れが引き痛みが取れてきます。
このようにある程度市販の薬などを使って治すことは可能です。
でも症状が繰り返したり、市販の薬を使っていても症状が良くならない、場合によっては悪化するときは、迷わず肛門科を受診して下さいね。
また、出血等、治まったとしても「本当に痔からの出血だったんだろうか?悪性の病気は大丈夫だろうか?」や、痛みが強く「このままで大丈夫なんだろうか?」と心配なとき、不安なことがあるときは、肛門科を受診して診察してもらうことで安心することが出来ます。
なかなか肛門科、受診しにくいかもしれませんが何かあった場合は気軽に受診して下さいね。またTwitterでの相談も活用してくださいね。