新型コロナウイルスの感染が再拡大しています。なかなか医療機関にも行きにくい状況はあるのかなあと思います。でも受診しなければならない患者さんが受診をためらい症状が悪化したりしている事例もあるようです。各医療機関も感染防止対策はしっかりとっています。やはり具合の悪いときは、しっかり受診して診察を受け治していくことが大事だと思います。
でも肛門の病気、医療機関を受診しなくても、市販の薬などで何とか自分だけで治らないものかと思うのはとてよくわかります。特に今、新型コロナウイルスの感染が拡大しているときはなおさらだと思います。渡邉医院ではTwitterで心配なこと不安なことの相談を受けています。このTwitterでの相談も活用してくださいね。
さて、こんな質問をいただきました。
「痔は病院に通わなくても治る(完治する)ものなのでしょうか?」という質問と、「市販の薬の効果はどの程度期待できるのでしょうか?」という質問です。このことについて少しお話しますね。
まず、「痔は病院に通わなくても治る(完治する)ものなのでしょうか?」についてです。
誰もが一度や二度、いやそれ以上排便時に痛みがあったり、出血したことは有ると思います。特に便が硬かったり、反対に下痢だったりした時にです。でも通常、排便の状態が良い人は次の日の便が具合よく出ると、大抵の場合は痛みや出血はなくなります。肛門の病気となる一番の原因である排便状態が良ければ自然に治っていくものです。
転んで怪我をしても、転ばなければ治ってしまう。でも毎日転んでいると傷はなおらないと似ています。いつも便の具合が悪いと肛門の病気は治らず段々悪化していきます。いつもいつも便の状態がいいとは限りません。誰でも、便の状態が悪く、便が硬かったり、下痢をすることは有ります。でも、排便時に痛みや出血があっても通常の排便状態が良ければ自然に治っていきます。
最近、患者さんの内科の病気と肛門科の病気の違いをこんな風にお話しています。
内科の病気は自分の知らないうちに病気は進み、「何か具合が悪い」と感じ医療機関に受診すると、「血圧が高いですね」とか、「肝臓の具合が悪くなっていますよ。」などの様に、いつの間にか自分が知らないうちに病気は進み、気が付いたらある程度病気が進行している。これが内科の病気です。また、血圧が高い場合は、何の症状が無くても血圧が悪くならないように薬を飲み続けなければなりません。
肛門の病気はこのようなことは有りません。必ず出血や痛み、腫れや違和感等、必ず自分自身が感じる症状が出ます。何の症状もなくいつの間にか悪くなっているということは有りません。ですから自分が感じる症状がなくなれば肛門の病気は治ってしまったということです。そうすると治療の必要はありません。
気になる症状が出た場合は、まずは市販の軟膏を使ってみるというのも一つの手段だと思います。市販の軟膏などを使って、症状がなくなったら治ったということです。でも、市販の軟膏などを使っていても、いつまでも出血や痛み、違和感、腫れ等の症状が続いたり、場合によっては症状が強くなるようでしたら肛門科を受診して下さい。