渡邉医院

新型コロナウイルスより怖い「心を蝕むウイルス」の感染拡大

 長かった梅雨がようやく明け、8月に入り一気に夏本番。暑い日が厳しくなりました。
 今年の夏はいつもとは違う「夏」を私たちは経験し、過ごさなければなりません。
 新型コロナウイルスの感染が再拡大している中、私たちは一人一人基本的な感染予防をしていかなければなりません。マスクに関しても、熱中症に注意しながら、必要に応じて外すなどして調整していかなければなりません。

 新型コロナウイルスの感染拡大以上に私たちが脅威を憶え、そして危惧することは新型コロナウイルス感染拡大と共に、「心を蝕むウイルス」の感染拡大です。
 「自粛警察」と呼ばれる恫喝行為の拡大。一方新型コロナウイルスに感染した人たちに対する誹謗・中傷。感染した人たちを悪者扱いにしてしまう。県境をまたいで従事する人たちやその子供たちへの差別、そして医療従事者への差別など、新型コロナウイルスの感染拡大と同様、あるいはそれ以上の社会的な脅威と言わなければなりません。私たちはこの「心を蝕むウイルス」の感染拡大を広げてはいけません。収束に向けて私たち一人一人が取り組んでいかなければなりません。この「心を蝕むウイルス」は私たちの力で収束させることが出来ます。

 感染を防止することを一番に考えた場合、どうしても感染しないためには相手を疑う、そして自分自身を疑う。「相手を、そして自分を疑う気持ち」が大きく心を占めてしまいます。そのことが大きく自分を支配してしまうと、相手に対しての優しさがどんどん失われてしまいます。感染してしまった人には今以上の優しさを注ぐことを忘れてしまうと、自分自身がどんどん壊れてしまっていきます。「心を蝕むウイルス」に対しては「相手を包み込む優しさ」という抗体で感染をブロックしていかなければなりません。

 私たちの不安はやはり新型コロナウイルスはどうゆうものなのか。感染してしまった場合はどうなってしまうのか。など私たちの不安を取り除く情報が全く国や自治体から発信されていないことにあると思います。ニュースを見れば、「感染者数が何人、過去最高の発生者数だ。」とか、「自粛要請をする。」、「食事は2時間」、「5人以上の会食は自粛する。」などの情報は流れていますが、そのことも大事ですが、わからないことがまだまだ多いのだと思いますが、私たちの不安にしっかり答え、正しい情報を国や自治体がしっかり伝える姿勢もほしいと思います。例えば、親が感染し、子どもは感染していない。そんな時親が入院、隔離された場合は子供はどうなるのか?子供の生活や面倒は行政がしっかり守り保障してくれるのか。家庭内に介護される高齢者がいて、介護している人が感染して入院、隔離された場合に、その介護を受けていた人の生活はどうなるのか。また一人暮らしの方が感染を起こし、自宅待機になった場合、都会なら宅配によって食事は摂れますが、そういう体制がない場所では外出することもできず、その人の食事はどうするのか。本当に身近な、そして一番大切な問題が多くあります。
 また新型コロナウイルスに感染した場合、周りの目はどうなのか、誹謗中傷を受けてしまうのか。そういった場合、今いる場所で暮らし続けられるのか、等私たちを取り巻く不安は多く、そのことに押しつぶされかねません。こういった私たちの不安に国や行政はしっかり耳を傾け、寄り添い、支え共に新型コロナウイルスが収束するまで戦う姿勢を見せて欲しいと思います。

 新型コロナウイルスの感染以上に「心を蝕むウイルス」の感染拡大が本当に心配です。私たちの力で、この「心を蝕むウイルス」の撲滅に向けて一人一人できることを取り組んでいかなければなりません。