渡邉医院

血栓性外痔核、「治りやすい」と「治り難い」との差

 本当はオリンピックが開催されていた4連休も終わり、新たな一週間が始まりました。京都は今日も雨ですが、そろそろ梅雨明けも近づいているようです。いよいよ暑さ厳しい夏が来ます。蝉の声も聴く様になり。夏本番だなあと思います。

 さて、今日は血栓性外痔核についてお話したいと思います。
 血栓性外痔核は肛門の外側の静脈叢に血栓が詰まって腫れて痛いというのが基本的です。でも血栓性外痔核と言っても様々な症状で患者さんは受診されます。例えば、「急に肛門が腫れてきて痛くなった!」と痛みが強く出る患者さんもいれば、「肛門に何かできて、痛くはないが異物感がある。」と痛みを訴えない患者さんもいます。血栓性外痔核も痛みが強いこともあれば、痛みがなく、ただ違和感や異物感だけのこともあります。
 また、「拭いても拭いても血が止まらない!」とびっくりされてくる患者さんもいます。
 このように血栓性外痔核でも様々な症状で患者さんは受診されます。
 また血栓性外痔核の治り方にも違いがあります。痛みは強いが直ぐに治まってしまう血栓性外痔核があると思えば、痛くはないが全然治らず、いつまでたっても違和感や異物感がある血栓性外痔核もあります。
 どうして、血栓性外痔核でも痛みがあったりなかったり、早く治ったり治らなかったりするのかに関して、私の思うところをお話します。

 このように同じ血栓性外痔核でも痛みや治り方に差が出るのは、どのような血栓がどう詰まったかによるのだと思います。
 例えば、痛みが強く腫れも強い血栓性外痔核は、小さな血栓が多数詰まって、そのことによって腫れが強いタイプの血栓性外痔核です。ただ、一つ一つの血栓が小さいので、消炎鎮痛剤の座薬を使うことで腫れは引いてきます。腫れているのが痛いので、腫れが引くと痛みはスッと楽になってきます。そして詰まっている血栓一つ一つは小さいので溶けて体に吸収するまでの期間はやはり短くなります。こういったタイプは痛みは強いですが、早く治る血栓性外痔核です。
 これに対して比較的大きな血栓が一つブチっと詰まると、それほど腫れは強くないので、痛みは楽です。でも大きな血栓が一つ詰まるので、違和感や異物感は強くなります。痛みは少ないのですが、血栓の一つが大きいので、溶けて体に吸収するまでにはどうしても時間がかかってしまいます。こういったタイプの血栓性外痔核が痛みはないがなかなか治らないタイプです。

 また、「出血が止まらない!」ということで受診されるタイプの血栓性外痔核は、比較的浅いところに血栓が詰まって、直ぐにその表面が破けてしまうタイプの血栓性外痔核です。
 詰まった時は痛みがあるのですが、破けて出血はしますが、破けることで痛みはスッと楽になります。痛みはキンキンに腫れているのが痛みの原因です。破けることでそのキンキンさがなくなり、血は付きますが、痛みは楽になります。
 また出血に関しても詰まった血栓が出てきているだけなので、傷口から絶えず出血しているわけではありません。かえって溶けて体に吸収される以上に破けたところから血栓が出ていくので、血が出てびっくりはしますが、こういったタイプも早く治ります。
 このように血栓性外痔核と言っても痛みや腫れだけでなく、様々な症状があり、血栓性外痔核のタイプによって治り方も違ってきます。

 でも血栓性外痔核の治療の基本は痛みをとることで、血栓は自然に吸収され治っていきます。でも血栓が大きかったり痛みが強い場合は、その症状を早く取るという目的で手術をすることもあります。
 自分の症状そして血栓性外痔核の性状を診て、一番いい治療法を選択して治していくのがいいと思います。