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2020.06.28

新型コロナウイルスの影響で学会等が中止延期に

 もうすぐ6月も終わり7月。いよいよ夏本番に入っていきますね。
 新型コロナウイルスの感染拡大。少しは落ち着いてきたのかなあと思いますが、まだまだ東京などでは感染者が出ています。日ごろの手洗いやうがいなど、基本的な感染予防対策はしっかり行っていかなければならないと思います。

 さて、この新型コロナウイルスの感染拡大の影響で様々な学会や研究会が中止になっています。私たちが関係する肛門科の研究会も同様に中止せざるを得ない状況になっています。

 6月においても、年3回大阪で開催されている近畿肛門疾患懇談会が613日に予定されていましたが中止。また、今日628日は本来なら、東京の御茶ノ水にあるソラシティで第14回内痔核治療法研究会総会が開催が予定されていましたが、これも中止になっています。11月に開催される日本大腸肛門病学会総会は今のところ開催予定になっていますが、今後の新型コロナウイルス感染の状況によっては中止が余儀なくなる可能性もあります。
 このように私たち肛門科医にとって、情報を収集する大切な学会、研究会が中止になっています。日々新しい治療法に関しての情報や今まで行ってきた治療について、多くの医師が集まり検討する機会がなくなってしまうのはとても残念です。早く新型コロナウイルスの感染拡大が収束して、肛門科の医師が熱く議論する場所が戻てくることを願うばかりです。

 さて、本来今日は第14回内痔核治療法研究会総会が開催されていて、そこで私は発表する予定でした。そして、総会の後は東京で仕事をしている息子や娘に久しぶりに会って、食事をしながら親子、そして仲間として楽しい、そして有意義な話をする予定でした。これも中止。寂しい気持ちです。
 さて今回の総会のテーマは、ALTA療法(単独療法、併用療法)を施行する際のインフォームドコンセントとし、

  • 1)ALTA療法選択のインフォームドコンセント(適応、手技、成績など)

ALTA療法をどのように説明して行っているか?

  • 2)ALTA療法有害事象のインフォームドコンセント

ALTA療法の周術期に生じる有害事象をどのように説明しているか?

この2つの主題で検討する予定でした。

 私はこの2番目のALTA療法有害事象のインフォームドコンセントでの発表の予定でした。

今回はその発表に関しての抄録を紹介します。これまでもブログの方で、ALTA療法に関してその注射手技や成績、そして有害事象などお話してきました。詳しい内容はそちらの方を参考にして下さいね。

 では、抄録を紹介します。

演題名:ALTA療法有害事象に対してのインフォームドコンセントの内容とそのタイミング 

抄録

 ALTA療法の出現までは、第Ⅲ度以上の内痔核に対して切除という方法で治療を行ってきた。したがって、患者に外科的侵襲を加え傷ができることによる排便時の出血や痛みのなどの苦痛はどうしても取り除くことが出来ない。そのため、いかに出血しないように、また術後の痛みを最小限にするか工夫がなされてきた。ALTA療法の出現で、内痔核の治療は一変した。ALTA療法は、適応をしっかりと見極め、四段階注射法という注射手技をマスターすることで比較的簡便で、しかも治療効果を得ることができる。そしてALTA療法の一番のメリットは患者が痛みを感じることなく治療できることにある。そのため、渡邉医院ではALTA単独療法を基本に治療を勧めている。さて、ALTA療法は低侵襲の治療方法だと言われている。しかし、ALTAを局注した部分では激しい反応がおきており、患者が痛みを感じないということでALTA療法が低侵襲の治療法と言っていいのかは疑問である。ALTA療法によって脱出や出血が早期に取り除かれ、患者のQOLは比較的早期に改善される。そして早期に社会復帰できる。しかしこのことが、ALTA療法を施行する医師、また受ける患者もALTA療法を安易に考える危険性がある。ALTA療法に伴う局所での反応は激しく、それによる有害事象が発生する可能性もある。このことをしっかりと患者に説明して同意してもらうことが必要である。渡邉医院ではALTA単独療法で血圧低下や徐脈の発生頻度は約1%、熱発の発生頻度は約4%である。また症状が無くても潰瘍形成など発生することもある。こういった有害事象をどの時点でどの範囲まで患者に説明するかは難しい問題である。一時に全てのことを患者に説明しても、患者がそのことを完全に理解することは望めない。必要な時に必要な説明をしていく。また患者が不安に思うであろう症状を先手先手で説明していくことが必要と考える。渡邉医院でのALTA療法やそれに伴う有害事象の患者への説明時期とその内容を報告する。

 このような内容での発表予定でした。

 やはり私たち医師は学会や研究会、また、論文等によってこれまで行ってきた治療法が正しいのか。また新しい工夫をしたがそれが適切なものなのか等、様々な多くの医師によって熱い議論をして検討して、スタンダードな治療方法にしていかなければなりません。独りよがりの診察、治療はとても危険です。こういった機会をフルに利用して自分を研鑽していかなければなりません。早く何の心配もなく持て、多くの医師が熱く語る機会が持てるように新型コロナウイルスの感染拡大が収束することを願います。

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