ゴールデンウイーク中ですが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大のため自宅で過ごされている方が多いと思います。この連休中も仕事で頑張っておられる方もいらっしゃると思います。
このような状況の中、体の具合が悪くても医療機関に受診できない方や、行きたくても新型コロナウイルスの感染に不安を感じて受診できない方も多いと思います。
渡邉医院でもそのような患者さんや、そうでなくても肛門の病気、受診したいのだけどチョット行きにくくて受診をためらっている方のために、Twitterのメールでの相談をしています。これまでの相談で多かったことについて少しお話したいと思います。
Twitterでの相談の多くは痛みと腫れ
Twitterでの相談のほとんどが、肛門の痛みと腫れに関するものでした。
急に肛門が腫れてきて痛くなってきたという症状です。
この急に痛くなって痛くなってきたという症状が出る肛門の病気には大きく2種類あります。一つが血栓性外痔核、もう一つが肛門周囲膿瘍です。いずれの病気も今まで何ともなかったのにこの数日前から急に肛門が腫れて痛みが出てくる。そういった症状が出てきます。
一つずつ病気のことと、対処方法をお話します。
- 1)血栓性外痔核
血栓性外痔核は肛門の外側の静脈に血栓が詰まって腫れて痛みなる病気です。
昨日まで何ともなかったのに急に腫れて痛い。触ってみると豆のようなものが出来ている。触るとコリコリしている。こんな場合は血栓性外痔核の可能性が高いです。
血栓性外痔核の原因は
もともと、細かな静脈が網の目の様になっていて、血液の流れが悪いところです。そういったところに、冷えてしまったとか、忙しかったり、寝不足だったり、ストレスがかかるとさらに血液の流れが悪くなります。
またストレスがかかると、血小板がくっ付き易くなって、血栓(血豆)ができやすくなってしまいます。そういった条件がそろって、最後は排便の時強く力んだり、重たいものを持ったりしたて、お腹に力が入ったときに血栓が詰まってしまいます。ですから、もともと持っていたものが急に悪くなったのではなく、何もなかったところに、いろんな条件がたまたま重なって、最後はお腹に力が入った時に血栓が詰まったということです。
少し違いますが、指を挟んで血豆が出来たり、どこかをぶつけて内出血して腫れて痛いと似ています。
血栓性外痔核の経過
では血栓性外痔核はどうなっていくかです。
基本的には痛みがありますが、何もしなくても必ず治っていきます。
どこかぶつけて内出血して腫れて痛い時も、腫れは時間と共に引いて痛みがなくなり、内出血した部分も段々小さくなって薄くなって吸収されていきます。これと同じで、血栓が詰まって腫れた部分も段々腫れが治まり、痛みが取れてきます。そして詰まった血栓は時間がかかっても溶けて吸収されて治っていきます。
医療機関にかかるまでに自宅でできること
腫れているのが痛みの原因です。腫れを取ると痛みは楽になります。
一番良く効くのが入浴です。ゆっくり温めてあげると腫れが引いて痛みが楽になってきます。また時間も解決してくれます。時間と共に腫れが引いて痛みが楽になってきます。
薬としては、血栓が詰まって腫れて痛いので、市販の痔の軟膏を使うよりは、消炎鎮痛剤の座薬や内服薬を使うと、腫れが引き、痛みは楽になっていきます。またホカロンなどで温めてあげるのも一つの手です。温めて腫れを治め、消炎鎮痛剤で腫れと痛みをとると言ったのが血栓性外痔核の保存的な治療です。
ただ、血栓が大きかったり、痛みが強くて動けない、寝てもいられないということがあります。こういった場合は局所麻酔をして血栓を取り除くとスッと楽になります。
- 2)肛門周囲膿瘍
- 肛門周囲膿瘍の原因
肛門周囲膿瘍は肛門と直腸との間に肛門腺という腺があります。下痢など便の状態が悪い時に起きやすいのですが、肛門腺に細菌が感染して、さらに忙しかった寝不足だったなど、自分の方の抵抗力が落ちているときに炎症を起こし、膿が広がっていきます。膿は組織の弱いところ弱いところを広がっていき、表面まで広がり、肛門が腫れて痛みが出てきます。
できやすい部分は肛門の後ろ、背中の方です。日に日に痛みが強くなって、それと共に肛門の腫れも強くなっていきます。また場合によっては38℃以上の熱が出ることもあります。
血栓性外痔核と肛門周囲膿瘍の違い
血栓性外痔核との違いは、血栓性外痔核は痛みは有るのですが、時間と共に痛みが少しづつ楽になってくるのに対して、肛門周囲膿瘍は日に日に痛みが強くなってきます。また血栓性外痔核は硬く豆のようなものが触れるのに対して、肛門周囲膿瘍はミミズ腫れの様になったり、触るとなんとなくブヨブヨした感じがします。有無が溜まっているのを触るからです。また肛門周囲膿瘍はどちらかというと男性に多い病気で、女性には少ないです。
肛門周囲膿瘍は早く医療機関に受診を
このように血栓性外痔核とは違った症状が出てきます。ただ、肛門周囲膿瘍は放っておくと段々広がり痛みが強くなっていきます。また場合によっては膿が奥の方に広がっていく可能性もあります。肛門周囲膿瘍に関しては自宅で治すことはできません。直ぐに医療機関に連絡をして、切開して膿を出す必要があります。ただ切開して膿を出すと痛みは直ぐに楽になります。また入院にはなりません。
今回は急に痛みが出て腫れる病気として多くみられる、血栓性外痔核と肛門周囲膿瘍についてお話しました。でも痛みや腫れ。とても心配で不安になりと思います。できれば医療機関に連絡をして対処法を聴き、場合によっては受診して下さいね。
渡邉医院もTwitterでの相談を受けています。何か心配なことや不安なことがあれば相談してくださいね。