渡邉医院

2020年 憲法記念日を迎えて

 今日は、憲法記念日です。今年は新型コロナウイルスの感染拡大のために、憲法に関しての様々な講演会、勉強会、また集会などが中止になっています。

 憲法に関しては、私たちは機会があるたびに議論をして、そしてあるべき憲法の姿はどのようなものかを確認していかなければならないと思います。残念ですが、今年はそういった機会が一つなくなってしまいました。でも、今年は自宅で家族の方々と、憲法に関して少し語るいい機会なのかもしれません。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、新型コロナウイルスだけでなく、その影響で様々なところで不安が広がり、人々を暗い闇が包み込もうとしています。このような世の中が乱れている時、また困難に直面しているとき。そんな時こそ、これまで以上に憲法を守り、暮らしの中に活かしていく、そんな意識を強めなければならないと思います。
 今、緊急事態宣言が出ています。私たちの権利が制限されている時期です。そして、新型コロナウイルスの感染拡大という不安、恐怖の中に私たちは生活しています。とても通常の生活を送っているとは言えません。
 また今の状況の中、すべての人はストレスを感じ、本来持っている優しさ、相手への思いやりなどが段々壊されてきています。残念ですが、様々な形での誹謗中傷、風評被害。また新型コロナウイルスによるいじめ等、とても悲しい状況にあります。とても辛く、心痛みます。新型コロナウイルスの感染拡大と同じように、「心を壊すウイルス」の感染拡大が広がってきています。
 でもこのような状況に陥ってしまうのは、本当に皆が今の生活に不安を強く感じているという証拠だと思います。新型コロナウイルスに感染しないか?感染した時、周りからどうゆう目で見られるのだろうか?感染してしまったら自分の生活はどうなるか?など、新型コロナウイルスそのものに対しての不安や恐怖があります。
 また、これまで暮らしていた生活が、この新型コロナウイルスの感染拡大によって大きく壊されていっています。補償が薄い自粛によって収入が減る、仕事がなくなる。また従業員の生活は、自分の生活はどうなるのか。学生さんも授業料が払えなくなって、退学を考えざるを得ない状況の学生さんもいます。また家賃が払えない、住む場所、仕事をする場所がなくなってしまうのではないか?等、本当に一人一人、抱えている悩み、不安はその人それぞれにあります。
 そのような状況の中で冷静でいること、平常心でいることはとても難しいんだと思います。でもそんな時こそ、他の人への思いやり、優しさを守らなければいけないんだと思います。難しいです!

 このような平常でない社会の中、政治家を始め、私たちはどうしても気持ちが昂り、正しい方向はどこなのか、本当にしなければならないことは何かを見失ってしまうことが多いです。

 今のこの状況を乗り越えたときに、これまで進めてきたことが本当に正しかったのか、このまま進めてもいいのか等、今回の新型コロナウイルスの感染拡大で明らかになった問題点を反省し、もう一度これからの未来に向けての方針をしっかり組み直さなければならないと思います。

 憲法は私たちの生活そして個人個人の人権を守るものです。

 以前ブログでお話しましたが、私たち医療にかかわるものにとって大切な方程式があります。それは「91325」です。

 9は憲法第9条、13は憲法第13条、そして25は憲法25条です。

 私たち医療にかかわるものは憲法第25条を実現することが使命だと思っています。

 憲法第25条は、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。という、国民の生存権を保障し、国の社会保障的義務を規定した憲法です。でも憲法第25条だけを単独で実現させることはできません。

 91325が表すように、憲法第25条単独では成立しないものだと思います。それぞれの憲法が重なり合って、それぞれを補完することでなりたっています。

 だれもが健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有するためには、国そのものが平和でなければなりません。そして、個人として尊重され、幸福を求める権利が保障され守られていなければなりません。この91325は私達医療に係るものにてって、欠かすことのできない数式だと思います。

 私達医療に係るものは患者さんや国民の健康を守る、そして憲法第25条を実現させることを責務としています。このことを成し遂げるためには、私達は平和な国造り、その憲法をしっかり守り、そして私たちの暮らしの中に活かしていく取り組みが必要だと思います。