渡邉医院

ALTA療法後7~10日後に患者さんにするお話。

 さて、今回はALTA療法を行って退院してから7~10日後に受診された患者さんへの説明についてお話します。

ALTA療法と痔核根治術の違い

 ALTA療法を行うと排便時の出血や内痔核が出てくると言った症状は早く良くなります。大抵はこの時受診された患者さんは出血や内痔核が出てくるといった症状はありまあせん。でも中には、「排便時にまだ少し出血します。」とか「小さくはなったがまだ排便時に内痔核が出てくる。」といった症状がある患者さんもいます。
 ALTA療法はやはり痔核根治術とは違います。
 痔核根治術の場合は、内痔核を切除するので手術することで内痔核はなくなります。ただ、傷ができるので具合よくその傷が治っていくかどうかを診ていくのが痔核根治術です。
 ALTA療法はジオンを局注下そのジオンが段々効いてきて内痔核が小さくなり治っていくのを診ていくのがALTA療法です。ここに大きな違いがあります。
 ですから7~10日後に肛門鏡で診察してみると、まだまだ内痔核はあります。「この時期に出血や内痔核が出てきても心配はありません。段々ジオンの効果で治っていきます。まだ症状があってもまだまだ焦らないでくださいね。」とお話しています。

症状が無くてもまだ治ったわけではありません

 反対に排便時に出血もなく、内痔核が出てこなくなってとても具合良くなっている患者さんもいます。
 でもこの患者さんにも、「まだまだ内痔核はあって、これから良くなって内痔核が小さくなっていきます。治ったわけではありません。具合良かったのに出血が多くなったり、痛みが出てきたり、何か気になる症状がある場合はすぐに診せて下さいね。」とお話します。
 またこの時期に発熱があったかどうかも患者さんに聞いています。そして特に症状もなくとても具合良くても、次は1か月後に受診してもらうようにお話します。

出血や痛み以外の症状

 また、時々この時期に「便をするときに、内痔核は出てこないのだけど、出てくるような感じがする。」という患者さんもいます。この感覚もその通りだと思います。実際にまだ内痔核があり、ALTA療法によって出てこないだけなので、このような感覚があっても不思議はありません。そんな時は「その感覚は正しいと思います。実際に肛門鏡で診てみるとまだ内痔核はあります。段々注射の効果が出て内痔核が小さくなって治っていくとそのような症状も取れてきます。」とお話します。
 またこの時期に「便が少し細くなったような気がする。」とか、「少し便が出にくい感じがする。」という患者さんもいます。この症状もまだまだ内痔核があって、治っていないにも関わらず排便時に内痔核が出てこない。このことが原因だと思います。
 ALTA療法で治す前は、排便時に具合よく便が出るように、言ってみれば緊急避難的に内痔核が外に出ることで便が出ていた。でもALTA療法を行うことで内痔核があるにもかかわらず排便しても内痔核が出てこない。こんなことから便が少し細くなったり、出しにくくなるのだと思います。特に3箇所の内痔核に対してALTA療法を行った場合にこのような症状が出ることが多い気がします。
 この時は緩下剤を内服してもらい楽に便が出るようにしてもらいます。そして、「注射の効果が出てきて、内痔核が段々小さくなってきたら通常通りに便が出るようになります。」とお話しています。
 ALTA療法は内痔核をいったん硬化させて、最終的には柔らかく治っていきます。この一端硬くなる際にこのような症状が出ることがあります。私は今まで経験がありませんが、ALTA療法を行った部分に狭窄を起こすこともあるようです。でもこれも時間と共に狭窄は治っていきます。

 このようにALTA療法を行った後、出血や痛みだけでなく、排便の状態が変わることもあります。こういった場合は今お話したような内容を患者さんに説明して、しばらく緩下剤を内服してもらいながら経過を診ていきます。

 そして最後の「出血や痛み。またそうでなくても何か気になる症状があった場合にはすぐに診せに来てくださいね。そうでなければ次は1か月後に診せに来てください。」とお話しています。
 そして軟膏に関しては、ALTA療法で治すのが主な治療なので、出血や痛み、そして違和感がない場合は毎日つけなくてもいいですよとお話しています。
 何らかの症状がある場合だけつけてもらうようにしています。

次回は1か月後の診察の時に説明する内容をお話します。