渡邉医院

新型コロナウイルス等感染症対策の強化を求める緊急要請

 前回、「新型コロナウイルスの感染拡大の中で」という内容でお話しました。
 今回は、京都府保険医協会が2月26日に京都府、京都市に対して新型コロナウイルスに対しての緊急要請の内容を紹介します。京都府、京都市への要請はほぼ同じ内容ですので、京都市に対しての要望を紹介します。

以下、京都府保険医協会の緊急要請内容です。

 

新型コロナウイルス等感染症対策の強化を求める緊急要請

貴職の日頃のご活躍に敬意を表します。

私たち京都府保険医協会は、府内の開業医を中心とする2300人余の医師団体で、府民・国民医療の向上のために様々な活動を進めています。

さて、新型コロナウイルス肺炎が日本国内においても感染が広がる中、政府の専門家会議は「国内発生の早期の段階」とし、市中感染に対してすべての医療機関が直面する状況にあります。京都府・市においても対策会議がもたれHP等で発信するなど対応されていることに、感謝申し上げます。弊会としても全力を挙げて対策に取り組む所存です。

対策の基本はインフルエンザに準じ冷静な対応が求められます。医療機関では診察時には標準予防策をとることが必要です。保険医は最前線にあることから、第一線の医療機関での対応ガイドラインなどきめ細かな支援が必要であり、感染対策のためのリソースの整備が、早急に求められる段階でもあります。特にマスクや消毒液などは全国的な欠品状態により医療機関の診療に影響が出ています。感染リスクを抑えるために、これらへの対応が必要です。

京都市における感染病床は10床であり、一般医療機関での受け入れ体制整備は急務です。人的、物的、財政的支援について検討を行い、早急に実施すべきです。医師への感染報告もされていますが、医師不足などから体調不良を自覚しても簡単に休むことができない現状にも目を向けるべきです。公立・公的病院の再編・統合が進められていますが、こうした病院は感染症対策にとって必要・不可欠であり、ただちに見直すべきです。

感染症対策を担う保健所機能の強化も求められます。全国的に保健所の縮小が進められるなか、京都市における保健所の再編・縮小は当初から懸念の声をあげていました。今回の事態への対応については検証し、しかるべき対応が必要ではないかと考えます。

つきましては、貴職に対し下記の事項を強く要請します。

                記

【要請項目】

1.京都市で備蓄している災害時用等のマスクを府下の医療機関に供給し、日常診療における院内感染対策が滞りなく行えるよう対処すること。また、院内で使用する消毒液に関しても、不足することのないように、必要な対処を行うこと。

2.治療体制確保のために大学や公立・公的病院をはじめ協力する民間医療機関や自治体への財政支援を行うこと。将来においてもこうした新興感染症リスクに対応するため、感染症対応病床の公的医療機関における日常的確保を行うことなど感染症対応病床の公的医療機関における日常的確保を行うことなど地域医療計画、公立・公的病院の再編を見直すこと。

3.医師の判断を尊重して速やかに適切な検査が行えるような体制をとること。また、地域の住民・事業者に寄り添った感染症対策が行えるよう、かつて行政区単位に設置していた保健所を直ちに再設置し、医師・保健師・獣医師・薬剤師等、専門職を増員・再配置すること。京都市衛生環境研究所についても抜本的な職員増をはじめ機能を強化すること。さらに国に対し対策強化を求め、米国の疾病管理予防センター(CDC)のように迅速かつ強力な対応ができるような体制の構築を求めること。

4.高齢者などの重症化予防のため早期の医療提供ができるよう本来のフリーアクセスを保障し、国保資格証明書による受診であっても通常の国保証と同様に現物給付とすること。また資格証明書の発行自体をやめ、国民健康保険法第44条の一部負担金減免制度を積極的に活用すること。

5.不確かな情報流布やパニック助長、差別やいじめの発生を防ぐため、情報を公開し、市民、マスコミ、医療機関等への情報提供は、人権に配慮しつつ引き続き丁寧に行うこと。     
                以 上