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2019.10.12

第74回日本大腸肛門病学会学術集会を終えて。最終回

 今回のPart3で第74回日本大腸肛門病学会学術集会の報告は最終回です。

 今は、ホテルの中にいるので外の台風19号で外がどういった状況になっているかわかりません。ホテルの中は静かです。さっきの地震の揺れはチョットびっくりしました。テレビの報道を見ていると、被害が出てきているようです。これから本格的に台風が来ます。今後どうなるか不安です。
 今日の夜中から明日の未明に東京を台風は通過するので、明日は京都に変えれるかなあと思っていますが、被害の状況によってはいつ帰れるかはわからない状況になるかもしれないと覚悟しています。
 でも14日の月曜日も休みでよかったと思います。また火曜日から通常通りの診療を始めることが出来ます。そういった意味では、ホッとしています。

 今回最初に報告するのはランチョンセミナーで「慢性便秘の診断と治療―新規便秘症治療薬の適切な使い方―」です。

 ランチョンセミナーは、製薬会社などが共催で行う講演会です。午前のセクションが終わった後のお昼に開催されます。お弁当を食べながら話を聞くのですが、以前母と一緒に学会に行っていた時は母が、「お尻の手術や大腸がんの手術をしている映像や話を聞きながら皆お弁当を食べて凄いわね。」と。今までそんなことを感じていませんでしたが、母の感覚の方が正しいのかもしれません。やはり医師はチョット特殊な感覚を持っているのかもしれません。

 まずは便秘を治す一番の基本は、便秘がどんな便秘なのかをしっかり診断することです。
 以前ホームページに便秘についての話をアップしました。大腸癌や大腸の狭窄など、大腸の器質的な疾患が無ければ便の中に程よく水分が含まれ、食物繊維を摂って便の量を増やして、そして大腸が具合よく動く。この三つがすべてそろって調子よく便が出るというお話をしました。このうちのどこが悪くて便秘になっているのかをまずはしっかり診断することが大切です。
 水分が足らなくで便が硬くて便秘であるのならば、十分な水分を摂ることが必要です。また食物繊維が足らなくて便秘であるのならば、食物繊維をしっかり摂って便の量を増やす必要があります。また大腸の動きが悪くて便秘であるのならば、大腸が具合よく動くようにしなければなりません。またこれらが重なり合っての便秘かもしれません。そこをしっかり診断する必要があります。

 講演のなかで、「慢性便秘の改善と食物繊維の摂取量とは相関しないことがある。」と話されました。食物繊維を十分に摂って便秘が改善する人は全体の40%と言うことでした。例えば大腸の動きが悪くて便秘の人や、直腸まで来た便が直腸瘤や排便時の奇異性運動などで、直腸まで来た便を出すことが出来ずに便秘の患者さんは、食物繊維をとって、便の量が増えるとますます便が詰まってしまい苦しくなってしまいます。こういった患者さんは直腸瘤の治療を行ったり、排便時の奇異性運動の治療などが必要になってきます。こういった排便障害のない便秘の人は食物繊維を摂ることで便秘が改善されていきます。

 また、「便秘は一つの下剤だけでは治らない。」ともおっしゃっていました。「便秘はこの薬を飲んだら皆スッキリ。」とはいかないということです。その人その人に合った下剤を見つけることそしてその量を見つけることが大切だということです。そのためにも医師とのやり取りが大切になってきます。医師が処方した下剤でどのように便が出るのかをしっかりと医師に伝え、一緒に治していくことが大事です。
 そしていきなり新しい下剤を使わないということです。例えば酸化マグネシウムから初めてみる。どうしても改善されない場合は次の薬を試してみるといったように、いきなり強い新しい薬をつかうのではなく、患者さん一人一人に合った下剤を見つけ出すといった過程が大切だと思います。

次に参加したのが特別企画「腸内細菌叢と疾患、特に腸疾患に関して」です。

 人間は30兆の細胞でできているそうです。そして人間の大腸の中には40兆もの細菌がいるそうです。人間とその40兆もの細菌がお互いに共生している。そのバランスが崩れたときに様々な病気になるということです。
 例えば大腸の中の最近の多様性が減少することで、病的肥満になったり、2型糖尿病になったり、また潰瘍性大腸炎を発症したりする。また腸内フローラの変化で自閉症やうつにもなり、これらの治療に正常糞便を移植する治療も試みられているそうです。
 人間と町内の40兆ともいわれる最近腸内フローラがバランスよく共生することで人間の健康、命が営まれて言うんだなあと感じました。

 そして、今年の学会の最後に聴いた講演は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士であり医師でもある金井 宣茂氏の宇宙ステーションでの研究生活の話でした。

               

今の時代は宇宙に行って地球に帰ってくるのはもう当たり前のこと、宇宙でどんな研究をしてくるかと言う時代になっていること。そこまでになった化学の進歩。意外と快適な宇宙ステーションでの生活。精神面も含めて宇宙ステーションでの生活を支える地球にいる人たち。こういったことが一つになって今の時点に到達していることを話されました。
 月で一定期間居住できる居住地を作る計画があることなど、夢のあるお話を聞きました。
 最後に宇宙ステーションには様々な国の人たちが集まり、皆が一つになって宇宙空間で過ごし、協力し合って研究をしている。またいかにエコに、そして無駄なものを出さずに再利用していく。地球でもそういったことが可能なのではないかとと話をされました。

 来年は1113日(金曜日)、14日(土曜日)に横浜の横浜国際平和会議場で第75回日本大腸肛門病学会学術集会が開催されます。今年は残念ながら発表することはできませんでしたが、また来年に向けて課題を見つけ、まとめていきたいと思います。

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