台風17号が近づいてきています。京都は天気は悪いですが、まだ台風の影響はあまり感じられません。
先週は、糞便栓塞といって、便が詰まっていくら頑張ってもでないという症状で受診された患者さんが何人かいらっしゃいました。季節の変わり目で出にくくなってしまう方がいるようです。
そこまで便が来ているのにいくら頑張っても出ない。頑張っているうちに目の前が真っ暗になってしまう。貧血気味になる。強く頑張るので肛門が腫れて痛くなる。そして、便が出ないと尿まで出なくなってしまう。とても辛い状態です。
硬い便が詰まった状態で浣腸しても、浣腸の液しか出てきません。硬くなった便をある程度崩してから浣腸しなければ出すことはできません。
便が出なくなってからあわてて下剤を飲んでも硬くなった便は出てきません。と言うのも、硬くなった便を、内服薬で柔らかくするお薬はありません。下剤は硬くならないように柔らかくするための薬です。便が出ないから下剤を飲む、出ないから飲むという風に下剤を飲んでいると、本当に出なくなってしまうと、下剤を飲んでも出ません。場合によっては硬い便の脇をどろどろの便が24時間でてきて、下着を汚してしまうといった具合になってしまうこともあります。やはり便秘で悩んでいる方は、便秘を治す下剤を適切にしっかり飲み続けることが大事だと思います。
「下剤は癖になる!」と思っている方がいらっしゃいます。下剤の中には癖になる下剤もあります。例えばセンナやアロエ、ダイオウなどの成分が入っている下剤がそうです。これらの成分が入った下剤は、大腸を刺激して便を出す下剤です。したがって、これらの下剤を飲むとお腹が痛くなったりしますが必ず便が出ます。でも大腸を刺激して出す便なので、その刺激に慣れてくると段々効かなくなってきてしまいます。1錠だったのが2錠に、2錠が3錠へと段々飲む薬の量が増えていってしまいます。このことは1錠で出ていた便秘が、3錠飲まないと出ない頑固な便秘になってしまったということになります。
ではこれらの下剤はどうのよに使うかです。大腸を刺激する下剤は便秘を治すお薬ではなく、便を出すのが目的です。普段は調子よく便が出ているのが、たまたま出なかったときなどに一時的に飲む下剤です。食べたものが消化され吸収され便になるまでゆっくりで3日間です。3日間の間には1度はスッキリ便を出す必要があります。こういった時に大腸を刺激する下剤を飲むことはいいのかなと思います。
では常に便秘で悩んでいる方が便秘を治すのにはどんな下剤がいいかです。渡邉医院では、便秘で悩んでいる患者さんには、まずは酸化マグネシウムを処方しています。
酸化マグネシウムはただ単に便の中に水分を残して柔らかくする下剤です。大腸を刺激して出す下剤ではないのでお腹が痛くなったり、癖になったりはしません。
具合よく便が出るときは、便の中に程よく水分が含まれていて、便の量があって、そして大腸が具合よく動く。この三つがそろって具合よく便がでます。どれ一つ欠けても具合よく便はでません。酸化マグネシウムはこの中で、便の中に水分を残すだけの薬です。酸化マグネシウムで具合よく便が出るということは、便の量を増やすもとになる繊維は十分に摂っていて、大腸も具合よく動いている。ただ水分が足らないということです。酸化マグネシウムを飲みながら水分を十分に摂っていくことで便秘は治っていくということになります。
便が出ないということはとても辛いことです。朝気持ちよく便が出るということはその日1日を快適に過ごすことが出来る大切なことだと思います。便秘を治す下剤を正しく飲むことで、便秘を治していきましょうね。