渡邉医院

不安な時は迷わず受診を。

 いつも考えさせられることがあります。以前にも「医師とちゃんとはなせていますか?」という記事を書きましたが、ちゃんと話せてなく治療を受けられている患者さんが少なからずいらっしゃるということです。

 今日もそんな患者さんが受診されました。内容はこんな感じです。

 約2か月前にジオンによる痔核硬化療法(ALTA療法)を受けられたのですが、排便時に出血がまだあったり、排便時に痛みを伴うことがあるという主訴で受診されました。

 診察してみると、まだALTA療法を受けた部分には触診で硬結を認めていました。まだまだ治っていく過程の状態でした。患者さんにとってはALTA療法をしてもらって、もう2か月たつのに出血したり、痛みを伴うことがあるので、「何か悪いものがあるのではないか?」、「また新しく何か肛門の病気になってしまったのか?」とやはりいろんなことを考えて不安になってしまったのだと思います。
 ALTA療法に関しては、もう2か月ではなくて、まだ2か月と考えたほうがいいと思います。ALTA療法を行っている医師の中には、なんの症状が無くても、ALTA療法を行った部分がわからなくなるまで半年間毎月診察している医師もいます。
 渡邉医院でもALTA療法を行ってまずは7~10日後に受診してもらい、その後は、痛みが出てくるとか、出血が多い。また気になる症状があるときは受診してもらいますがそうでなければ次は1か月後に受診してもらっています。そこで出血や内痔核の脱出などの症状がなければ一応治療は終了にしています。
 でも、この時点でまだALTA療法を行った部分がわかる方がほとんどです。ですからその後、具合が良かったのに出血するようになったとか、痛みが出てきた、また、何か気になる症状が出たときには受診してもらうようにお話をしています。

 さて今回の患者さんですが、診察をして、他の病気が無いことを確認して、もう一度内痔核についてどうような病気なのか、内痔核ができる原因は何か。また内痔核の病気の程度で治療法が決まって、ALTA療法を受けたということは第3度以上の内痔核(排便時に出血したり脱出して押し込む)だったということをお話しました。またALTA療法に使うジオンという痔核硬化剤はどういった薬剤なのか。またどのように痔核硬化療法をするのか。また痔核硬化療法を行った後、どのように内痔核が治っていくのかをお話しました。
 そして、「ジオンでの治療ではもう2か月ではなく、まだ2か月ですよ。ジオンの注射をする先生の中には何の症状が無くても、ジオンの注射をした部分がわからなくなるまで半年間毎月診察する先生もいるんですよ。渡邉医院では1か月たってなにも症状がなければ終わりにしますが、その時にまだジオンの注射をした部分がわかる方がほとんどです。半年間経って診せて下さる患者さんがいますが、その時は注射をした部分はわからなくなっています。一応終了した後もなにか症状がある場合は受診してもらっています。」とお話して、「まだまだ治っていきます。まだ出血などの症状があるので、しばらく通院して経過を診ていきましょうね。」とお話すると、患者さんは安心して帰られました。
 この患者さんが、診察する前の問診の時こんなことを話されました。「申し訳ありませんが、ここに来る前に他の病院でジオンで治療してもらっています。」と。ほかの病院で治療した後に私に診察してもらうことが悪いことの様に感じておられるのかなあと思いました。そんなことはありません。なにも申し訳ないことはありません。心配な症状があった時、自分が今どんな状態なのか不安な時は、遠慮なく受診して、診察してもらうことで、今の状態をしっかり知って。今後どのようにしたらいいかを知ることで、不安から解消できます。そんな時は迷わずに受診することをお勧めします。