京都はとてもいい天気です。暑さはいったん涼しくなったのかなあと期待していたら、ここ最近暑さがぶり返してきています。
また強い台風が関東方面に接近してきています。被害が出なければと思います。
痛い!腫れる!出血する!は患者さんにとってはとても不安。
昨日、こんな患者さんが受診されました。「急に痛くなって、腫れてきました。また出血もしてます!」とこの患者さんは、痛みもあり、腫れていて、しかも出血もするようになったということで、手術を覚悟ですごく不安を抱えながら受診されました。
診察してみると血栓性外痔核でした。またその血栓、血豆が破けたための出血でした。
患者さんにとっては、痛い、腫れる、出血したでとても不安だったと思いますが、血栓性外痔核は破けて出血しても手術しなくても自然に治っていきます。
血栓性外痔核とは。
血栓性外痔核は、肛門の外側にある静脈叢に血栓が詰まって、腫れて痛みの出る病気です。どうしても、もともと血液の流れが悪いところで、しかも人間は寝ているとき以外は肛門は心臓より下にあります。どうしても重力があるので、流れがさらに悪くなります。
そういったところに、冷えたり、忙しかったり、寝不足だったりストレスがかかるとさらに血液の流れが悪くなります。そしてストレスがかかると血栓もできやすくなってしまいます。
と言うのは、ストレスがかかると血小板がくっ付きやすくなって血栓ができやすくなってしまいます。またまだまだ暑いので汗もかきます。十分に水分を補給しないとどうしても血液が濃くなってしまいます。血液が濃くなるとやはり血栓もできやすくなります。まだまだ暑いので水分をしっかり補給する必要があります。
そういったいろんな条件がそろってしまった上に便が出にくくて頑張ったり下痢だったりで強く力んだり、また重たいものを持ってお腹に力が入った時に、たまたま血栓が詰まってしまいます。そうしてできるのが血栓性外痔核です。ですからもともと持っていたものが悪化したり、以前に同じことがあっても、前のが悪くなったわけではありません。同じ条件がたまたまそろってしまったので、また血栓が詰まってしまったということです。
血栓性外痔核が痛いのは。
血栓性外痔核が痛い原因は血栓が詰まったことで「腫れる」からです。血栓が詰まっただけで腫れなければ痛みは強くありません。急に何かできて違和感がある程度で済みます。腫れが出ると痛みが出てきます。血栓の詰まり方にもいろいろあります。大きな血栓が詰まるパターンと小さな血栓が多数詰まるパターンです。どちらかと言えば、小さな血栓が多数詰まった方が腫れがでて痛みが強い印象があります。大きい血栓が詰まった場合はあまり腫れず違和感が強いことが多いと思います。
どっちが早く治る?
では治るのはどちらが早いかと言うと、小さな血栓が詰まって腫れた場合の方が一つ一つの血栓が早く溶けるので早く治ります。大きな血栓が詰まると、痛みはありませんが溶けて治るのには時間がかかる印象です。でもいずれも手術をしなくても基本は血栓が自然に溶けて吸収されて治っていきます。痛みの原因は血栓が詰まったための腫れが原因なので、消炎鎮痛剤の座薬を使うことで腫れがとれて痛みは軽減していきます。
血栓性外痔核の治療の目的。
血栓性外痔核の一番の治療目的は、今ある痛みをどうするかです。血栓は時間がかかっても自然に溶けていきます。痛みがあまりにも強い場合は血栓を摘出することで痛みはスッととれます。また大きな血栓が詰まった場合は、溶けるのに時間がかかります。違和感が強く早く治してしまいたいという時は血栓を取ることもあります。
今回のケースは。
さて、今回の患者さんのケースですが、血栓が詰まって急に痛くなってしまいました。しかも血栓が破けて出血もする。でもこの患者さんも座薬と軟膏、そして入浴で自然に治っていきます。痛みはキンキンに腫れあがるということで痛みが出ます。キンキンさがとれシワっとなることで痛みが軽減してきます。出血してびっくりはしますが、破けたことでキンキンさがとれて痛みは楽になります。また出血しますが、傷口から出血しているのではなく、詰まった血栓が出てきたり、溶けた分が出てきているだけなので心配はいりません。血がつくという少し嫌な症状はありますが、破けずに自然に溶けて吸収して治るよりも、破けたほうが溶けて吸収して治るよりも早く治ります。入浴も大丈夫です。普段通りの生活でOKです。
このことを患者さんにお伝えすると、患者さんはニコニコした笑顔になって、安心して帰られました。