渡邉医院は、外来の待合室の奥と、2階全部が入院施設になっています。19人の患者さんが入院できる19床の有床診療所です。3人部屋の洋室や個室。また畳の部屋もあります。
そんな渡邉医院の2階に入院の患者さんが使う談話室があります。入院患者さん同士が話をしたり、家族の方と話をしたり。また、テレビもあるので入院している間この談話室でくつろがれる方もいます。食事など、皆さんでこの談話室で摂られる方もいます。その談話室に患者さんの思いを自由に書いていただくノートが置いてあります。ノートの表紙に書かれている表題は「あじさい会」です。患者さんがつけた名前です。ペンションや喫茶店などにおいてある、お客さんが自由にいろんなことを書くノートのようなものです。
時々読ませてもらうのですが、いろんなことが書いてあります。手術の前の不安な気持ち、手術の時のこと。また術後の経過など、その時にまつわるいろんな思いが綴られています。
お尻の具合が悪かったけれども、なかなか病院に行けなかったこと。いろんな病院を受診したけどもやっと決心がついて手術を決めたこと。などなど、自分が経験した痔の歴史や治療に至るまでの悩みを書いている患者さんもいます。
また、「麻酔は痛かった!」とか、術後の痛みの具合や、治っていく過程を一日一日書いている方。また次に手術を受ける患者さんへのエールの言葉など様々です。
でも皆さんの書いている内容は、実際に経験されたことが書かれているので、とてもリアルですごくよくわかる内容で、説得力があります。入院して手術を受ける方が、このノートを見て「麻酔が痛いんですよね!」と聞かれると、「そうだね、麻酔は痛いけど、麻酔だからずっと痛い訳ではなく、途中から委託なくなりますよ。」と話したりしています。ネットの情報など、いろんな情報があふれている今の社会の中で、やっぱり経験した人たちの話や書いたものを読んで、正しい情報が前もって入るということはとてもいいことなんだと思います。
最近は1泊2日だったり、3泊4日と入院期間が短くなっています。以前は1週間以上入院したりしていました。その頃は入院期間も長かったので、患者さん同士がなかよくなり、夕方、皆で談話室に集まって、自己紹介をしたり、自分の痔の歴史を語ったり、入院期間を楽しく過ごされていました。やはり同じ病気で戦う「同志」といった感じだったんでしょうか。退院された後も、同じ時期に入院されていた患者さんが集まって親睦会なども開催されていました。時々その会に誘っていただいたこともありました。同じ病気で一緒に治していくというところで入院患者さん同士で連帯感が生まれるのかなあと思います。
やはり実際に経験したことを教えてもらう、伝えていくということはとっても説得力もありますし、安心感もあると思います。談話室にあるノートにはそういった患者さんへのエールの力を持っています。そういった患者さんの思いをアンケートに答えることでも知ることが出来ます。その思いをまとめて、それを次の患者さんに伝えていくことも私のしなければならない仕事だと思います。