診察の流れは、まず問診から始まります。いつからどのような症状があるかを聞きます。でもやはり今の状態を直接診ることが一番だと思います。そして診察をさせてもらって診断する。そして病状を説明して最後に今ある病気に対して一番良い治療法と思われる治療方法の説明をします。
治療に対しての不安や疑問
このままスッと治療に進むことが多いのですが、患者さんの中には治療方法に関してチョット迷われる方がいます。でもこのことはとても大切なことだと思います。
患者さんは自分の持っている病気に対して、そしてその治療方法に様々な不安を抱かれると思います。そしてこのことはとても大切なことだと思います。例えば、「今の状態はこのままにしていても治っていかないのだろうか?」、「本当に今説明してもらった治療方法が一番良い治療方法なのだろうか?」、「他に治療方法はないのだろうか?」と言った病状やその治療方法に対しての不安。また「先生の言っていることはよくわかるが、手術をするのがやはり怖い。直ぐに手術を選択できない。」、「治さなければならないのは分かっているが、やっぱり手術は怖い、したくない。」、「手術に耐えられるだろうか?」、「痛いのは嫌だ!」などの様に手術が必要なのは分かっている、理解できているでも踏み切れない。
また、「手術はしたいが仕事は今は休めない。」、「家族に介護しなければならない人がいるので、手術はしたいが今はできない。」、「手術後いつから仕事ができるのだろう。長く休めない。」等々社会的な理由だったり、または経済的な理由など、様々なことで、治療に踏み切れず悩まれることがあります。そういったように、どうしても提案された治療に何か不安があったり、自分として納得いかないときは、慌てず治療を受けない方がいいと思います。
不安や疑問を解決してから治療を受けましょう。
自分が抱く不安な点、納得がいかない点をしっかりと医師に伝え、それに対する答えを聞くことが一番大切です。納得がいかないまま、不安を抱いたままの治療は決していい方向には進まないと思います。幸いにも肛門の病気、内痔核や痔瘻、裂肛は悪性の病気ではありません。ほっておいて命にかかわってくるような病気ではありません。嫌な症状を取り除くことが目的の治療です。じっくり考える余裕がある病気です。
例えば患者さんの中には、第3度の内痔核(排便時に出血したり脱出して押し込む)をもっている患者さんでも手術をせずに軟膏などで保存的に治療をしている患者さんもいらっしゃいます。「排便時に脱出してくるけど、軟膏をつけていると出血はしなくなって、脱出しても軟膏をつけると直ぐに戻すことが出来る。まだ手術をしなくても大丈夫。」といった具合です。これも一つの選択だと思います。例えば内痔核があって、血栓などが詰まって痛くなった時はその痛みをとる方法はあります。また出血が多い時も手術をしなくてもその出血を抑えてあげる方法はあります。そうゆう患者さんが来られた時は、「痛みが出たり、出血が多いときはそれを抑える方法はあるから、そんな時は直ぐに受診してくださいね。内痔核を手術してしっかり治そうと思った時は言ってもらったら、段取りをとりましょうね。」とお話しています。
納得してから治療を
やはり肛門の病気だけではありませんが、しっかり今ある病気の病状がどうなのか、そしてどのような治療が必要なのか。そしてその治療は本当に今すぐ必要なものなのか。先に延ばしてもかまわないものなのか?など、自分の抱いている不安材料や疑問をしっかり医師に聞くこと。そして自分自身が納得して治そうと思った時にその治療法を受け入れることが大切だと思います。やっぱり自分の思いをしっかり医師にぶつけることが大事です。
そういった気持ちを医師は分かってくれるはずです。
そして医師はそういった不安、疑問にしっかりと答えていかなければならないと思います。