今回も、「医師とちゃんと話が出来てますか?」につてお話したいと思います。
渡邉医院を受診される患者さんのなかに、「治療を受けたが今一つ良くならない。」とか「手術をすすめられたが、本当に手術が必要なのか?」と話される患者さんがいます。また、「何か治療をしてもらったが、何をしてもらったのかわからない。」という患者さんもいます。中には「診察を受けたらいきなり治療された。」などと話される方もいらっしゃいます。
医師側の問題が大きいと思いますが、まずは自分の症状をしっかり医師に伝え、何が一番悩んでいるかを医師に理解してもらうことも大切だと思います。そして、その悩みに対して、なぜそのような症状が出るのか、自分の病気は何なのかをまずはしっかりきくことが大事です。またその病気や今の症状、悩みを解決する方法が何か。例えば軟膏などの外用薬で治るのか?手術が必要なのか?手術に代わる治療方法はないのか?など、医師にしっかり説明してもらうことが大切だと思います。そして医師もそのことを省いてはいけないと思います。
病気の程度で治療方法は決まる
例えば内痔核だった場合ですが、内痔核は病気の程度で治療が決まります。第Ⅰ度から第Ⅳ度までの四段階に病気の程度が決まり、その病気の程度で治療方法が決まてきます。
第Ⅰ度の場合は、排便などの調整をすることで内痔核が治ることもありますし、軟膏などの外用薬や出血が多い場合などはパオスクレーという痔核硬化剤での痔核硬化療法で治っていきます。
第Ⅱ度になりますと、排便時に内痔核が脱出しててきますが直ぐに自然に戻る程度の内痔核になります。この場合は出てくる(脱出)という症状があるので、どうしても軟膏などの外用薬だけでは良くならないことが多いっです。この場合はパオスクレーによる痔核硬化療法で内痔核が脱出してこなくなります。まだまだ手術にはなりません。
さらに内痔核が悪くなって第Ⅲ度の内痔核、排便時に内痔核が脱出して、押し込まないと戻らない、になると、やはり痔核根治術による手術やジオンという痔核硬化剤での四段階注射法による痔核硬化療法(ALTA療法)が必要になります。
第Ⅳ度になりますと、内痔核が脱出したままになって押し込むこともできなくなってきます。こうなるとスッキリ治すには痔核根治術による手術が必要になってきます。
こういったように内痔核の病状、程度で治療方法が決まってきます。
でもいきなり診察をして手術などの治療をすることはありません。診察しながら何の説明もなく「もう治療をしておきましたよ。」という話にはなりません。診察の後、病状の説明をして、どのような治療方法があるのか、またどんな治療方法が必要なのかを説明します。そして、その治療方法に納得してもらってから、その治療法を患者さんに提供する。この過程が無ければ、患者さんは自分の病気のことを理解することはできませんし、どんな治療法を受けたのかもわからないままになってしまいます。
セカンドオピニオンという選択
また自分の悩んでいる症状と治療方法に何かしっくりしない違和感を感じたときは、直ぐに治療を受けずに、セカンドオピニオンと言って、別の専門の医師に今の自分の症状、病気、そして病気の程度、治療方法を診断してもらうことも大切です。例えば、内痔核の場合は、排便時に内痔核が脱出して、押し込まないと戻らなかったり、脱出したままで戻すこともできない状態の内痔核になりますと痔核根治術などの手術が必要となります。出血だけだったり、脱出してこない内痔核は手術以外にも治療方法があります。排便時などに内痔核が脱出して、自然に戻らず押し込むような第Ⅲ度以上の内痔核の症状がないにも関わらず「手術が必要です。」と言われた場合は、直ぐに手術を決めずにセカンドオピニオンをした方がいいと思います。
でも反対の場合もあります。内痔核などが原因で、肛門の外側に皮膚のシワ、皮垂(スキンタグ)があって、これがとても気になる症状でも、「皮垂は悪い病気ではないので、手術の必要はありません。」と言われることがあるようです。実際に皮垂は悪い病気ではありません。出血や痛みの原因にはなりません。でもその皮垂があることが一番の悩み、そしてそれをしっかり取り除いてしまいたいという患者さんもいらっしゃいます。そういった場合は皮垂を切除する意味は大きいと思います。医師と話をして切除してもらうことも大切だと思います。
納得してから治療を受ける
どうしても患者さんは医師と比較すると病気に関しての情報量が絶対的に違います。医師の言うとおりにしてしまうことがあると思います。でも何か違和感を感じたり、なにか違うんじゃないかなあと感じたときは、直ぐに治療を決めず、納得した上での治療が大切だと思います。
医師としっかり話す。ちゃんと話を聞いてくれる医師に治療を任せることが大切だと思います。