渡邉医院

8月になって戦争を考える

 8月になりました。暑さも厳しくなってきました。夏休みで楽しい行事が目白押しだと思います。また夏の風物詩の高校野球も始まります。
さて、8月はもう一つ大事な月です。それは日本が戦争を終えた終戦記念日がある月です。今回は何回かに分けて私たちと戦争、戦争と医療について考えたいと思います。
 
さて話が変わりますが、以前6チャンネルの木曜サスペンスで真矢みき主演の「捜査地図の女」という連続ドラマが放映されました。主演の刑事役の真矢みきの実家が昔ながらの町屋の開業医という設定で、渡邉医院が実家のロケ地になりました。つい最近昼間に再放送がありました。
 これは撮影の時の写真ですが、掲示板の渡邉医院の上から松原医院のシールをはり、あっという間に松原医院に変身。外でのシーンでは看板も上から松原医院の看板をかぶせます。また俳優さんたちのスケジュールで撮影の時間が決まるので、昼間に夜のシーンを撮ったり、また夜に昼間のシーンを撮ったりします。この写真は夜、2階の談話室の窓から、サーチライトで、1階の診察室を照らして昼間を造っている写真です。
 
美術の人に「何でもできるんですね。」と聞くと、「大抵のことは何でもできますよ。」という返事でした。また、一つのシーンを作る際には、同じ場面を何回も取り直して、それらをつなぎ合わせて一つのシーンにします。そして、監督が作り出したいストーリーを作り上げていきます。
 
このことを通じて何が言いたかったというと。歴史認識もこれに近いことが行われる可能性もあります。起きた事実を細切れにして、または時間経過を少しずらしたり、変更して、時の権力者が作り出したいストーリーにしていく。こういったことがなされる可能性もあり、真実とはまったく違う方向へと私たちを導いていく可能性があります。真実は何かといったことを私達はしっかり見つめていかなければなりません。そういった目を持つように努力していくことが必要です。
 
また、時間の経過とともに少しずつ、少しずつ変化していくと、私達が気が付かないうちに、知らないうちに物事を大きく変えられてしまうこともあります。
 そのことを認識できるのが「アハ!体験」です。徐々に写真の一部が変わっていって、その変化に気が付いたときに、ひらめいて、「ああ、そうか!」とわかる。その時に緊張が解けて、同時に大きな喜びを感じる心の動きです。このような感覚を体験することで、関係する脳の回路を強化することができる。そしてわからなくてもじっくりと考え、ひらめきを育むことの大切さを楽しみながら学ぶことができる。これが「アハ!体験」です。
 
この「アハ!体験」でいいたかったことは、戦争への道は、平和な社会が、「たった今から、戦争です。今までは平和で、今この時点から戦争です。」といった具合に訪れないということです。戦争は、その姿をみせることなく、私達の隙間に入り込んできます。それは私達だけでなく、時の権力者が意図する、しないにかかわらず忍び寄ってきます。そうして私達が気が付かないまま戦争への道が開かれ、ふと気が付いた時には、戦争をする社会に変わっていってしまっている。そして後戻りできない状況におちいっている。戦争に関しては、「ああ、そうか!」と気が付くでは遅すぎます。情勢の変化をしっかり見つめていく心構えが必要になると思います。そしてその変化に気が付いたときは、声を上げることが必要だと思います。そして、まだそのことを今の憲法は保障して守られています。ただ、この憲法で保障されてきたことが少しづつ崩されてきています。
 
例えば、教育の問題です。戦争に進むときの様に、教育が少しづつ変えられていく。そして、その変化を気づかせないようにする。またその変化を正しいもの、正しい方向に進む変化だと教育する。教育改革といった言葉がでたときは、どんなことが変わっていくのかに注意が必要だと思います。
 
また、特定秘密保護法などは、この変化すら、見ることができないようにする。その変化に気づいて声を上げようとしたら罰せられてしまう。また、そのことについて問題意識をもって、反対しようと皆で相談すると、共謀罪でつかまる。そして報道への圧力や規制です。報道への圧力、規制によって正しいこと、本当に起きている真実が報道されなくなってしまいます。報道の自由度ランキングというものがあります。国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」が発表するもので、180か国でそのランキングが決められています。日本の報道の自由度は、2009年は17位、2010年では11位でした。それが2016年のランキングは72位まで大きく後退してしまっています。2017年も72位、2018年、2019年には67位になっていますがまだまだ低く、G7 では最下位医です。
この原因として、福島第一原発事故に関する情報の在り方。そしてそれに拍車をかけて、特定秘密保護法の成立を上げています。こういった報道への圧力、規制は、本当に伝えなければならないことがちゃんと伝えることができない。そういった、日本の報道の現状を示しています。今年の627日の新聞報道で、国連人権理事会で「日本では政府が批判的なジャーナリストに圧力をかけるなど、報道の自由に懸念が残る。」と警告。2017年に国連が安倍政権に対して示したメディア圧力に対しての是正勧告が履行されていないとしました。

 
ネットでの情報などが氾濫しているなか、その報道や、情報が本当に正しいのかを私達はしっかり見極める力を持たなければなりません。そして私たちは、真実を正しく伝えていく報道を守っていくことが必要で、このことが大きな力になります。