今回は、外来での説明「内痔核の手術、痔核根治術」編をお話したいと思います。前回から、実際に外来の診察の後、説明している順にお話しています。実際に紙に書きながら順を追って説明しています。一緒に投稿している写真も患者さんに説明しているときと同じです。皆さん、説明を聞かれた後、この用紙を持って帰られます。
やはり、ただ単に話をするだけでなく、用紙に図を書いたり、大事なポイントを書いて患者さんに渡すことはとても大切だと思います。常に「解りやすさ」に注意して図を描きながら説明しています。昔と違って、図そのものも段々解りやすいものになっていると思います。
今日は、手術の説明を順に用紙に書いた図を見ていただきながらお話したいと思います。
内痔核をどう手術していくか
内痔核を手術する際は、肛門から少し離れたところから皮膚を剥がしていきます。外側から剥がしていき、肛門の中の皮膚を剥がしていくと、内痔核の根元まで綺麗に剥がれていきます。ジョキジョキ切っていくのではなく、皮膚一枚スッと剥がしていく感じです。ジョキジョキ切るのではなく、剥がしていくことで出血も少なくて済みます。内痔核の根元まで剥がし、最後にチョンと内痔核を切除してしまうと、内痔核には動脈が来ているので動脈からすごい出血をしてしまいます。内痔核の根元まで剥がせたら、内痔核にいく動脈をしっかり縛って、出血しないようにしてから切除します。
術後の経過をどう見ていくか
3日間は毎日傷を診ます
術後は毎日1,2,3日と3日間は毎日傷を診せてもらいます。その後は7~10日目の傷を診せてもらいます。次はそこから1週間後、さらにその後は2週間後の傷を診せてもらいます。
毎日3日間傷を診せてもらうのは、どうしても手術をすると、排便時に痛いかな?出血するかな?と思うと、便を出すのが怖くなって便が出にくくなってしまうことがあります。食べたものが消化され、吸収され、便になるまで、ゆっくりで3日間です。手術をして3日間の間に1回はすっきり便が出て欲しいです。出にくいようでしたら緩下剤を飲んで出したり、どうしても出ないときには浣腸をして、3日間の間に1回は便が出て欲しい。そういった意味で術後3日間は毎日傷を診せてもらっています。
次は7~10日目の傷を診ます
手術をして一番困ることが、以前もお話した晩期出血です。術後7~10日ごろに、1%の頻度ですがない痔核の根元の動脈を縛ったところから晩期出血を起こすことがあります。そのために7~10日ごろの傷を診せてもらいます。また排便時の痛みに関しては7~10日経つと、手術した人の96.5%の人が急にスッと痛みが楽になります。このような理由で、術後7~10日目の傷を診せてもらっています。
次はさらに1週間後の傷をみます
術後7~10日過ぎると晩期出血のような困った出血を起こすことが無くなります。そこで、次はさらに1週間たった術後約2週間過ぎた傷を診せてもらっています。術後2週間が経つと約80%治っています。
次はさらに2週間たって治ったところをみます
術後2週間経つと約80%治ります。そうすると、ここからは困ったとことは起きなくなります。そこで、次は2週間たって傷が治っているところを診せてもらいます。
術後3~4週間で治癒
内痔核に対して痔核根治術をして、約3週間から4週間で傷は治ります。
麻酔の方法と手術時間
最後に手術ですが、手術をするときの麻酔は局所麻酔です。肛門の表面を一周麻酔をした後、肛門の筋肉にも麻酔をしていきます。筋肉には何周か麻酔をしていきますが、麻酔をしたところに麻酔をしていくので、途中から痛みがなくなります。麻酔の目的は、痛みをとるだけでなく、肛門の緊張をとって十分に肛門を広げられようにする目的もあります。局所麻酔はだいたい5分ぐらいで終わります。次に手術ですが、1か所の内痔核の手術をする時間は約10分程度です。3か所ですと約30分です。
このような説明をしています。最後に内痔核は悪い病気ではありません。嫌な症状を取り除くことが目的です。ですから、もうそろそろスッキリしようと思って、説明をしたような時間が出来て予定が出来たら手術をしましょう。そしてスッキリしましょうとお話しています。
こんな風に内痔核だけでなく、痔瘻や裂肛などについても同じように説明しています。