今日から4月になりました。新しい元号も「令和」と決まりました。新しい時代へと向かうことになります。「令和」という時代が、私たちにとって良き時代になるよう、私たち自身が取り組んでいかなければならないと思います。
内痔核の治療の現状
話はガラッとかわりますが、内痔核治療法研究会から内痔核の治療に関するアンケートを依頼されました。どのような体位で診察、手術をしているか?肛門鏡検査にはどのような肛門鏡を使用しているか?内痔核の治療方法は?手術方法は?入院日数は何日か?など26項目にわたってのアンケートでした。この結果は、7月21日に東京で開催される第13回内痔核治療法研究会で「日本国内における内痔核治療の現状」でまとめられたものが報告されます。また、この報告については、その内容を皆さんにご報告しようと思います。
渡邉医院の現状
渡邉医院では、診察や手術の時の体位は左側臥位で行っています。肛門鏡は筒型の肛門鏡を主に使っています。入院日数は病気の種類や手術の方法で異なってきます。内痔核に対して痔核根治術をする場合は1泊2日~3泊4日。ジオンによる痔核硬化療法では1泊2日です。ただ患者さんの状況などを考えて日帰り手術を行う場合もあります。病気の状態や手術の方法、そして患者さんの状況などを合わせて入院日数や日帰り手術にするか患者さんと一緒に決めています。また外痔核や皮垂に関しては、術後1時間程度休んでもらって、傷の状態をみてから自宅に帰ってもらっています。
今日は、このアンケートのなかで、平成30年の1月から12月までの1年間での患者さんの数や、手術件数を紹介したいと思います。
平成30年1月1日~12月31日までの渡邉医院の状況
渡邉医院に去年1年間で受診された患者さんの総数は8566人でした。そのうち、男性は4310人、女性は4256人と、渡邉医院では男性と女性の受診者数に差はありませんでした。
世間一般では、肛門科を受診する患者さんは男性のほうが多いと思われているようですが、そうではなく、男女ともほぼ同じという結果でした。
また、「痔核」の手術を受けられた患者さんは、全部で523人で、男性が229人、女性が294人と、手術件数ではやや女性の患者さんに多いかなと思いますが、あまり大きな差は男女間ではありませんでした。また肛門科を受診された患者さんのうち痔核に対して手術をした割合は、全体では6.1%、男性は5.3%、女性では6.9%と、女性にやや痔核に対して手術する割合が高いかなという印象です。
ただ、内痔核に対してどのような手術をしたか、その手術内容を比較すると、男性と女性では大きく差がでました。
これに関しては以前学会でも発表したことがありますが、ジオンという痔核硬化剤での四段階注射法での痔核硬化療法は、男性が123人に対して、女性は47人と男性に多い結果でした。これに反して、痔核根治術は、男性は98人に対して、女性が156人と女性に多い結果でした。また皮垂を含めて外痔核に対しての手術は男性が8人に対して女性は91人と女性に多い結果となりました。やはり、内痔核の性状でジオンによる痔核硬化療法や痔核根治術の適応を決めるのですが、男性ではジオンによる痔核硬化療法が有効な内痔核が多く、女性では、このジオンによる痔核硬化療法が有効ではない内痔核が多く発生するということだと思います。したがって、男性と女性では、内痔核のできる要因、できかたに何かさがあるのか?もしくは解剖学的な違いによって内痔核の性状が異なってくるのか?このことに関してはさらに検討していく必要があると思います。
ちなみに去年1年間で痔瘻の手術は86人、男性73人、女性13人。裂肛の手術は、男性17人、女性が29人でした。