渡邉医院

内痔核に対して痔核根治術を行った術後1日目の出血・痛みの管理について

 今日は、内痔核に対して痔核根治術を行った、術後1日目の患者さんにお話ししている内容を紹介します。今回は、図表がなく、文章ばかりになってしまってます。
 まずは、出血に関してお話します。

出血について

 手術をして、次の日までは割と多くの出血があります。ただ、渡邉医院では術後総部に綿花を当ててもらっているのですが、出血が割と多いといっても当てている綿花を通って外にまで出血すことはありません。
 どうしても手術してから次の日までの出血はあります。でも、怪我をした時のことを思い出してみてください。怪我をした日は、当てているバンドエイドやガーゼは出血で汚れが多いです。でも次の日からは、同じ傷があっても出血の量はぐっと減ってくるのを経験されていると思います。そのときと同じです。
 術後1日目からはそんなに出血はしなくなります。ですから当てている綿花の量も減らしてもらっています。要は下着などに出血などの汚れが付かないようにする程度で大丈夫です。
 ただ、傷があるので、排便をした際に、便に血がついてきたり、ある程度ポタポタと出血しても大丈夫です。「排便時に出血したらどうしよう。」と思われると思いますが、便が行きたくなったら、思いっきり排便してください。その時にポタポタ血が落ちても大丈夫です。出血や痛みが心配で便がしたいのに我慢してしまうと、いつも肛門の傷の近くに便があるということになってしまいます。しっかり便を出してしまったほうが傷にもいいです。 手術して24時間以内、もっと言うと術後3時間以内に止血が必要な出血がなければ、術後710日目に1%の割合で起きる晩期出血が起きる時期まで、また麻酔をして止めなければならない出血はないと思って下さい。
 さて、
便をした時に手術をした後でも出血しないことがあります、でも便が出るときに傷を擦って便がでてくるので、排便時に出血しなかったほうがたまたま具合よく便が出たんだと思って、排便時に出血があっても悪くなったわけではないので心配しないでください。排便時に出血や痛みがないと「よくなった!」。排便時に出血や痛みがあると「悪くなった!」と思ってしまいますがそんなことはありません。

 次に痛みに関してです。

痛みについて

 術後の痛みに関しては、手術後に肛門や傷の腫れさえなければ、術後1日経つことで、普段の痛みはずいぶん楽にあり、場合によっては痛みなく過ごせることが多いです。
 
ただ、消炎鎮痛剤に関しては、術後1日目は午前中の診察の時と、午後の診察の時に痛みがあっても無くても、消炎鎮痛剤の座薬を挿入します。また消炎鎮痛剤の内服も術後3日間は痛みの有無にかかわらず13回内服してもらっています。

 このように、術後普段の痛みは楽になりますが、どうしても排便時の痛みがあります。排便時に便が傷を擦って出てくるので、排便時と、そして排便後に内肛門括約筋が締まってくるので、排便後の痛みがどうしてもあります。
 また、この排便後の痛みは内痔核の手術をした数にも関係します。内痔核は3か所できやすい部分があります。右前、右後ろ、左の3か所です。やはり1か所だけの手術の方は、2か所以上の手術をした方と比べると、排便時の痛みもずいぶん楽です。ただ2か所手術した方と、3か所手術した方との間には痛みに差はありません。1か所で済むか2か所以上になるかで排便時の痛みには差が出てきます。
 ただ、痛みが軽い方も、痛みが強い方も、術後710日過ぎると96.5%の方が排便時の痛みをスッと楽になります。ですからこの710日間の排便時の痛みをとることが大切になってきます。
 また、入院の場合は術後1日目からシャワー、12日で退院される方や、日帰り手術の方は、術後1日目から入浴をしてもらっています。シャワーにはいったり、入浴することで、傷の具合や痛みはずいぶん楽になります。特に入浴することで、血液の流れが良くなって、さらに内肛門括約筋の緊張が取れるため、痛みが強い人も「治ったかな?」と思うぐらい、楽になります。また温水洗浄便座で洗浄するときはどうしても水圧を持って傷に当たってくるのでしみたりしますが、入浴では、ざぶっとお風呂にはいるので、洗浄の時のようなしみることはありません。また傷口から細菌が入って化膿したりすることも入浴ではありません。かえって傷の治りがよくなります。

術後1日目でも、患者さんが思っているほど出血や痛みはありません。

術後の排便について

 最後に排便ですが、先ほどもお話したように、便意をもよおして、便がしたくなったら思いっきり出してもらっています。便がしたいのに我慢してしまうと傷の近くにいつも便が残ったままになっていることになり、傷にもよくありません。また肛門の近くに、直腸内に便がのこたままになっていることで痛みが出ることがあります。思いきって便を出すことでかえって楽になります。
 多少出血があっても大丈夫です。便がしたくなったら思いきって出してほしいです。でもあわてることはありません。食事を摂って消化され吸収され便になるまでにかかる時間はゆっくりで3日間です。今日食べたものが3日後にでることもあります。ですから3日間の間に1回はすっきり出てくれるといいです。こんあこともあって、術後3日間は毎日診察させてもらっています。便は「我慢せず、焦ることなく」です。

次回は術後2日目以降の患者さんにお話ししている内容を紹介します。