渡邉医院

内痔核に対して痔核根治術を行った当日の出血・痛みの管理について

内痔核に対して痔核根治術を行った後のフォローについて今回はお話したいと思います。

内痔核に対して痔核根治術を行った後、まずは3日間毎日術後の傷の具合などをみせてもらっています。次は710日後に一度、次はそこからまた710日後。そして最後はそこからさらに2週間後。このように術後は6回の通院になります。
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2日の入院で退院される方は、退院後この6回になります。また毎日診せていただきたい期間、34日入院し、退院された方は、710日後、さらにそこから710日後、そして最後にそこから2週間後の計3回の通院になります。

この、術後3日間そして1週間後、2週間後、4週間後の診察には意味があります。このことについて、詳しくお話していきたいと思います。
まず今回は、手術をした当日のことについてお話ししようと思います。

痔核根治術を行った当日はたいていの場合は入院していただいています。場合によっては日帰りでの手術を行う場合もあります。でも注意していく内容はどちらも同じです。入院の場合は何か心配なこと、気になることがあると、直ぐに渡邉医院のスタッフに聞くことが出来ますが、日帰りの場合は、自分で判断しなければならなくなります。心配なこと、気になることがあればすぐに連絡していただければ直ぐに対応できる体制はとっていますので、心配はいりませんが、やはり手術当日は入院して12日の入院は不安を取り除くためにも必要かなと思います。

渡邉医院では、手術は局所麻酔で行います。したがって、麻酔は肛門の部分のみの麻酔ですので、手術が終わってすぐに動くことが出来ます。術後は部屋の方へは歩いて帰っていただいています。
手術後の管理で大切なところは、一つは手術後の出血の管理。もう一つは手術後の痛みの管理です。そして最後に手術を受けられた患者さんの不安を取り除くことです。

まず、手術後の出血の管理です。やはり手術後出血をしていれば、もう一度止血する必要があります。手術当日の出血には二つあります。


 一つは内痔核の根元を縛った動脈からの出血です。もう一つは、肛門内の傷を具合よく治すために作るドレナージ創からの出血です。いずれももう一度麻酔をして止血しなければなりません。内痔核の根元の動脈を縛ったところからの出血ですと、もう一度肛門全体に局所麻酔を行って、十分に肛門を広げることが出来るようにしてから、出血している部分をもう一で糸で縛って止血する必要があります。一方、ドレナージ創からの出血の場合は、局所麻酔は必要ですが、出血している部分のみの局所麻酔で、バイポーラ凝固止血器で凝固して止血することが可能です。

出血に関しては、まずは手術後1時間後に看護師が出血の具合、止血しなければならない出血がないかどうかを診に行きます。ここで出血がなければ、次は術後3時間後に私自身が出血の有無を確認します。たいていは術後3時間までに止血が必要な出血は起きています。私が診せていただく、3時間後に出血がなければ、しばらく止血が必要な出血はおきません。痔核根治術後に止血が必要となる出血に、もう一つだけ晩期出血と言って術後710日後に起きる出血が1%ですがあります。このことについては改めてお話します。

出血に関しては、術後3時間までに止血しなければならない出血が起きていなければ大丈夫です。日帰りでの手術の患者さんも、この術後3時間後までは必ず病室で休んでもらってから帰宅してもらっています。ただ、手術をしたばかりですので、当院では傷に綿花を当ててもらっているのですが、その綿花には血が付きます。怪我をしてバンドエイドを貼っていると血が付くと一緒です。この出血は心配いりません。

次に痛みの管理です。
痛みに関しては、まずは術後に消炎鎮痛剤の座薬を挿入して、手術を終えます。次は、術後1時間後に、術後の出血の有無を看護師が病室に診に行きます。この時に痛みがあっても無くても主演鎮痛剤の内服薬を内服してもらっています。先取鎮痛といって、痛みが出ないうちに痛みをとることをすることで、術後の痛みはずいぶん違ってきます。次は術後3時間後です。術後3時間後には出血の有無を確認するために、私が診察します。この時に痛みの有無にかかわらず消炎鎮痛剤の座薬を挿入します。それ以降と痛みの管理は、夕食後、寝る前、そして次の日の朝に消炎鎮痛剤の内服をしてもらっています。手術を行った当日は、このように消炎鎮痛剤を使用することで、たいていの場合は痛みを管理することができます。

術後にどうしても傷が腫れてしまうことがあります。そういった場合を除いては、強い痛みを感じることなく過ごすことが出来ます。多くの人は、「麻酔が切れたら痛くなるのでは?」と思っておられます。でも、実際は麻酔が完全に切れたほうが痛みは楽になります。局所麻酔での手術ですので、局所麻酔は効いても1時間です。この麻酔が切れてくる1時間が、痛みがあります。麻酔が切れてくることで、内肛門括約筋が締まってきます。この肛門の筋肉のしまりが痛みの一つの原因になります。完全に麻酔が切れ、内肛門括約筋の緊張が取れると痛みは楽になります。例えると、正座をして足がしびれたときと同じ感じです。しびれが取れてきたときは絶対に足を触って欲しくないですよね。完全にしびれが取れたら平気になる。これに似ています。手術後の腫れさえなければ、完全に麻酔が切れてしまうと、先ほど示したような、消炎鎮痛剤の使用で痛みは楽に経過していきます。

次回は術後1日目に患者さんに話をしていることを紹介します。