内痔核に対して痔核根治術を行った後は、年齢差や男女差など個人差なく、みんな同じように治っていきます。
これまで何回かにわたって内痔核に対しての痔核根治術に関してお話してきました。内痔核の手術にはデザインが大切なこと、そして、治りに影響を与えるのがドレナージであることなどをお話しました。内痔核に対して痔核根治術を行う時にこれらのことに注意して手術を行うと、皆さん個人差なく同じように治っていきます。
年齢に関しては、例えば全身麻酔で開腹手術が必要な場合などは、やはり年齢的な影響もあると思います。でも、渡邉医院では局所麻酔で痔核根治術を行います。しかも体にあまり大きな侵襲はかかりません。こんなことから、年齢的な差はありません。また内痔核の大きさでも差がありません。
そもそも内痔核ができる場所は痛みを感じないところにできます。内痔核が大きくても小さくても肛門にできる傷は同じです。渡邉医院では半閉鎖式といって、肛門の中の傷は縫ってしまいます。ですから内痔核が大きくても小さくても肛門の中にできる傷は一緒です。また傷の治りに影響を与えるドレナージの傷も、内痔核が大きいから大きな傷になる、小さいから小さな傷ドレナージですむというわけではありません。内痔核を切除するためにできる肛門の中の傷を具合よく予定通りに直すために肛門の外にわざわざ傷を作ってドレナージを作ります。ですから、内痔核の大きさに関係なくドレナージの大きさも決まってきます。ですから、たいていの場合はどんな内痔核の手術をしても傷の大きさ形は同じになります。
「たいていの」と言ったのは、時に、内痔核は肛門の3時、7時、11時(左、右後ろ、右前)の3か所にできますが、それぞれの内痔核が肛門の外側の外痔核部分が連続しているタイプの内痔核があります。こういった場合は少し手術に工夫がいります。でもそれでも同じように治っていきます。肛門の中の傷を治すためのドレナージは約15mmですので、前回お話した計算式に当てはめると、(15×1.19)+3.6日=21.45日で、約3週間で治っていきます。
ただ、排便時の痛みがスッと楽になる7~10日までの排便時の痛みには差があります。内痔核の手術が1か所で済む人、2か所の人、3か所の人を比較すると、やはり1か所の人の排便時の痛みは2か所、3か所の人と比べると楽です。2か所と3か所との人の間には痛みに差はありません。1か所であるか2か所以上かで排便時の痛みあ差が出ます。でも、7~10日までの排便時の痛みが取れる時期が過ぎるとみな同じように治っていきます。
「内痔核を長い間持っているから」とか、「内痔核が大きいから」とか、「年齢がいっているから」などで内痔核に対しての痔核根治術後、傷が治る期間には差があるのではないかと心配される患者さんもいますが、そんなことはありません。皆さん同じように治っていきます。同じように治っていかない場合は、術後の傷の具合で、どこか治りにくくしている要素があるはずです。そこをしっかり術後診ていき、何か治りを悪くする要素があれば、それを早く、しっかりリカバリーすることで、予定通りに治っていきます。ですから、術後の管理は大切になります。