渡邉医院

手術を受けた患者さんアンケートPart3

 手術を受けた患者さんアンケートの最後の検討は、術後の患者さんの不安についての検討です。

[5]術後の患者の不安について。

 最後に術後の患者の不安についてのアンケートの結果を紹介します。回答は、「出血と痛み。」などと複数回答もありますが、やはり術後の一番の不安は「術後の出血」で28.1%でした。次が「痛み」で26.7%、次いで「排便がうまくでるか」が19.4%でした。「不安がない」という人も16.0%あり、これらで全体の90.2%でした。残りの9.8%は、「術後再発しないか?」、「術後どの程度でよくなるのか」、「術後どの程度入院が必要なのか」、「術後経過よく治っていくか」、「肛門が正常に機能するか」など、術後の傷が順調に治っていくかどうかを心配する人が多かったようです。

 術後の痛みについては、今まで述べてきた痛みに関するアンケートの結果を示してあげればいいと思いますが、術後の出血に関しては、完全に創が治ってしまえば別ですが、「何月何日以降は、出血しません。」と断言できないところがつらいところです。また、出血に対しては医者側の心配する出血と、患者さんの心配する出血とは多少異なっています。
 医者にとっては、出血に対して止血術をおこなったり何らかの外科的処置をしなくてはならない早期出血や、晩期出血に神経をつかいます。
 一方患者さんにとっては、早期出血や、晩期出血も心配なことですが(術前にこれらの出血について説明することも要因と思いますが)、創部にあててある綿花についている出血や、排便の際の出血が心配だったり、これらがいつまで続くのかに気をまわしたりします。
 当然といえば当然ですが、医者が特に心配していない出血が患者さんにとってはとても重大なことになります。
アンケートの中には、「どの程度の出血が心配でなくほっておいていいのか、どのくらい出血したら困った出血なのかわからない。」と答えたものもありました。
 当院では、出血についての説明を次のようにしています。当院での術後の早期出血はほとんどが術後3時間以内におきています。そこで患者には術直後に「術後1時間目と3時間目に術後の傷を見ます。うちでは術後早期の出血は3時間以内にほとんどがおきています。3時間目に出血していなければ、今日は困った出血はおきません。」とまず説明します。
 術後3時間目に診察したときには、「困った出血はありません。ただ傷はあるので、あててある綿花に血がついていたり、排便のときにポタポタ落ちる程度の出血がありますが、これは心配ありません。便がしたくなったら迷わずしっかり出して下さい。」と説明しています。
 術後1日目に手術についてや、今後の傷の治りについてのだいたいの予定を説明しますが、晩期出血については、「術後710日目ごろにおきる出血のことを晩期出血といいます。これは、内痔核の根元を縛った糸がはずれるころに、糸がはずれたということだけが原因でなく、周囲の壊死組織が炎症をおこしたりすることなどでおきる出血のことです。」と説明します。
 また出血のしかたについても、「710日間のあいだに傷がある程度治っているので、傷口から流れ出てくるような出血はありません。内痔核の根元を縛ったところからの出血なので、直腸のなかにだんだん血がたまり、便意を感じます。排便してみると血の塊がゼリー状にでてきます。これが頻回におき、下痢のようになります。」
 いつのまにか出血するということはなく、下痢のように出血するので、患者さん本人が必ずわかるということも教えてあげる必要があると思います。ただ手術をした人皆が出血するのではないので、「内痔核の手術をしている病院の全国の平均で約0.5%の人にこういう出血がおきます。」と説明しています。
 この説明だけで十分かどうかはわかりませんが、参考にして下さい。このように、出血一つをとっても必ず医者と患者とのギャップはあります。このギャップを理解して、これをうめるように医者は努力していかなければならないと思います。

 最後に前にも述べましたが、最近Day Surgery (日帰り手術)が注目されています。ただこれをおこなうにあたって、誰のためのDay Surgery なのかをしっかり考えなければなりません。医者側の立場だけでおこなって、手術はしたものの毎日救急車で通院しているなど困ったことになりかねません。本当に外来手術でできるのか?術後の処置が患者さん本人でできるのか?術後の不安が十分とれているか?など患者側の立場で考えていかなければなりません。これが私たち医者が忘れてはならないことだと強く感じます。私の感じていことがわかっていただければと思います。